カタールワールドカップでの活躍を終えた、プレミアリーグ・ブライトン所属の三笘薫の評価が試合を増すごとに評価がうなぎ上りだ。プレミアリーグ直近6試合で3得点1アシストと好調をキープし、現地イギリスでも「ミトマのドリブルはネイマールのようだ」と報道され、アーセナルなどのビッグクラブ移籍の噂なども過熱している。
【映像】三笘薫、ドリブル突破だけじゃない チャンスメイク能力、得点力も兼ね備えたオールラウンダー
ワールドカップでの三笘の立ち位置は、ドリブル突破からのチャンスメイクを評価され、“日本代表のジョーカー”として使われる場面が多かった。しかし、プレミアリーグの台風の目となっている好調ブライトンのデ・ゼルビ監督の下、三笘の強みはドリブルだけではないプレーヤーだと証明している。
今までの試合を振り返りながら、「状況判断力が高いドリブル」「右サイドからブライトンが攻撃する場合」「守備から攻撃へ」「1対1の能力」「ゴール前での判断力」などから三笘のプレーを解説していく。
ブライトンのフォーメーションは、基本4-2-3-1。三笘は左サイドハーフが主戦場だ。攻撃時は、右展開の中も逆サイドでフリーを維持し敵の死角を意識しながら、程よい距離感でロングパスを引き出す場面が多い。そして、ボールを受けてからの三笘のプレーを解説する。
・状況判断力が高いドリブル
ドルブル能力が魅力の三笘は、優位な状況を理解しボールを運ぶドリブルをする。少し意表を突いたドリブルは相手を抜き去り、相手の右センターバックを引っ張り出す。
状況判断力が高いドリブルは2対2の場面をつくり、味方FWもスペースを狙う。三笘は球離れ良いプレーも選択でき、敵を食いつかせて自らは裏のスペースを狙う。状況に合わせてのドリブル・パスの使い分けの判断が優れている。
ワイドでのアクションは、左サイドバックのエストゥピニャンと連動性が高く、まわりのアクションや意図を理解して動くことでフリーでパスを引き出す。
・右サイドからブライトンが攻撃する場合
右サイドを突破するシーンで三笘はマッチアップする敵センターバックの死角を意識して前線に上がる。センターリングが上がる瞬間に相手の死角側からゴール前に侵入する。三笘にはボールが渡らなくても、動いたスペースに連動性を持ってエストゥピニャンがゴールを襲うシーンも多い。
・1対1の場合
ブライトンボールの攻撃時にボールは、サイドでフリーの三笘へ。そして高い位置での1対1の場合は必ず仕掛けてセンタリングまで持っていく。特徴は優れたファーストコントロール(トラップ)で次の動作の切れを倍増させる。相手DFは、三笘に自分の間合いを作らせる前に早く寄せるが、切れの良い切り返しは相手の裏を返す。
そして裏返しされたDFは一段下がった守備となりスペースが開く。得意のドリブルもあるが、危険エリアで周りの味方を使うプレーも選択できる。三笘の仕掛けは相手の脅威を与えセンタリングまで行かない場面でもコーナーキックへと進む。三笘のアタックは攻撃の数を増やしてチャンスの数は確実に増える。
・守備から攻撃へ
ブライトンの守備の際は、逆サイドの三笘は敵センターバックを意識して中に絞った守備をする。中央守備を優先しながら、マッチアップするサイドの選手の位置も把握。アーセナルボールを奪ったブライトンが三笘にパスが渡った際にフリーで周りの味方を確認した上でドリブルを開始。迷いのないドリブルは次の想定をしたパスを出す。三笘は走りながら次の展開を想定。
アーセナル戦での三笘得点シーンでは、左サイドの守備をチームでうまく追い込み、中を切り限定をかける守備からアーセナルの冨安からボール奪取に成功。ドリブラーであるが味方との連動や連携でボールを奪い、動かすことにも優れている。考えながら走る三笘は、味方が動いたスペースに走りこみ自動的にフリーになることを見越して、オフサイドにならない位置から飛び出してフリーでパスを引き出し落ち着いたシュートでゴールをゲットした。
・ゴール前での判断力
ゴール前でのスペース察知能力に優れ少ないタッチで振り抜き早いシュートでゴールを奪う。左サイドのワイドでパスを引き出して得意のドリブルで切り込みたい場面だが、良いスペースがあれば、よりゴールに直結する方を選ぶ判断力と実行できる脅威のファーストタッチでゴール前の落ち着いた判断力でゴールを奪う。
再開したプレミアリーグでビッグクラブ相手にも、驚異の突破力とチャンスメイク、得点力で世界中のサッカーファンの注目を浴びている三笘薫。次戦は、アウェイでのレスターとの一戦。果たして世界を魅了するドリブラーはどんなプレーを見せてくれるか。期待は増すばかりだ。
(ABEMA/プレミアリーグ)