将棋藤井聡太王将(竜王、王位、叡王、棋聖、20)に羽生善治九段(52)が挑戦する“世紀の一戦”、第72期ALSOK杯王将戦七番勝負の第2局が1月21・22日の両日、大阪府高槻市の「摂津峡花の里温泉 山水館」で行われる。棋界を代表するスーパースター同士がタイトル戦で初激突とあり勝負のゆくえはもちろん、両者の動向にも大きな注目が集まっている。タイトル通算獲得100期を目指す羽生九段の長年の研究仲間、長岡裕也六段(37)が“レジェンド”に起こった変化の一片を語った。

【映像】藤井聡太王将が先勝を飾った王将戦第1局

 第72期王将戦七番勝負は1月8日に静岡県掛川市の「掛川城二の丸茶室」で開幕。初防衛を目指す若き王者・藤井王将に、挑戦者決定リーグを6戦全勝で勝ち上がった52歳のレジェンド・羽生九段がタイトル通算100期獲得を掲げて挑戦と、将棋ファンにとって大注目のシリーズとなっている。

 1月16日に行われた竜王戦1組ランキング戦・羽生九段対佐藤天彦九段(35)戦のABEMA中継には、2009年から羽生九段の研究パートナーを務めている長岡六段が出演。当時プロ入り数年の長岡六段に謎の電話番号から着信があり、出てみたところ相手は将棋界の頂点に君臨する羽生九段。さらに、内容は研究会のお誘いで震え上がったというのは有名なエピソードだ。

 10年以上の長きに渡って研究会を共にする羽生九段が約2年ぶりにタイトル戦の舞台に復帰したとあり、研究パートナーの長岡六段もどこか表情が明るい。序盤戦術に精通している長岡六段だが、羽生九段が信頼を寄せる要因は、深い事前研究、準備にもあるようだ。

 「大きな変化はないですが、近年タイトル戦から少し遠ざかっていたこともあり、特別気合を入れて研究しているなという雰囲気は感じました。研究会をやっていると、どの程度まで研究しているかというのはお互いに分かってくる部分があるんですね。今までよりもさらに深く研究されているような雰囲気を感じました」とレジェンドの変化を明かした。

 「羽生九段の研究は『ひとつの変化を一直線で深く』という考え方よりも、『幅広く多くのものを』という印象が強いんです。相手がこうきたらこうやる、というのは皆さん考えると思うんですけど、そういったところをより多くのパターンで考えているのかなと感じました。特に藤井王将が指される戦型というのを特別意識しているのかなと思いますね。

 (王将戦開幕前の)前回の研究会では、僕も“藤井対策”というのをちょっと意識したんです(笑)。トップ棋士たちが考えて試行錯誤していることなので、私が軽く考えてもあまり意味がなく、基本的には身の丈にあったものしか出せないんですけど…。

 僕自身はオールラウンダーではないので、変幻自在にすべてをやることはできませんが、自分が指す戦型の中で少しでも参考になる手が出せればな、と考えていきます」

 第1局では、羽生九段が意表を突く「一手損角換わり」を採用。結果としては黒星発進となったが、後手番ながら積極性を見せ、見ごたえ充分の一局でファンを魅了した。羽生九段が先手番となる第2局ではどんな作戦を用意しているか、皆が開戦を心待ちにしている。

 藤井王将が連勝でリードを広げるか、羽生九段が追いつくか。大注目の王将戦第2局はきょう1月21日午前9時から1日目の対局が始まる。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

【映像】藤井聡太王将が先勝を飾った王将戦第1局
【映像】藤井聡太王将が先勝を飾った王将戦第1局
【中継】第72期ALSOK杯王将戦七番勝負第二局1日目 藤井聡太王将 対 羽生善治九段
【中継】第72期ALSOK杯王将戦七番勝負第二局1日目 藤井聡太王将 対 羽生善治九段
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王将挑戦中の羽生善治九段 研究仲間が明かす変化「特別気合を入れて研究している雰囲気感じる」