共通テスト「親ガチャ」問題に反響 「本当に得をしている人はこのテストを受けていない」の声も…生まれた環境で人生は決まるのか
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 いよいよ到来した受験シーズン。2023年度大学入学共通テストが1月14・15日に実施され、不安と緊張の中、およそ51万人が出願し試験に挑んだ。

 今回の試験では歴史の問題でジェンダー問題が出題されるなど、時代を投影する内容も出題された。その中でも特に注目を集めたのは、倫理の“ある問題”だ。

【問題文の一部】
G:「すごい豪邸…、こんな家に生まれた子どもは運がいいね。不平等だな」

H:「生まれた家とか国とか、個人が選べないもので差があるのは不平等だとしても変えられないよ。与えられた環境の中で頑張ることが大事だよね。この家の子どもだって社会で成功できるかどうかは本人次第だと思う」

G:「いや、その子どもも、家が裕福なおかげでいい教育を受けて将来お金を稼げるようになったりするでしょ。運の違いが生む格差は社会が埋め合わせるべきだよ」

【映像】何が言いたい? 共通テスト「親ガチャ」問題の内容全文(画像あり)

 格差問題や社会との関わりを扱ったこの問題に、Twitterでは「親ガチャ問題だー!」と指摘の声が上がった。そのほか「親ガチャとか、あんまり気分よくないかも」「問題ってどうやって決めるんだろう?」「親ガチャで得してる人は、内部進学や推薦ばかりでこのテストすら受けてない」などの声もあった。

 ニュース番組「ABEMA Prime」では、この問題について議論を展開。『ゼロから始める就活まるごとガイド2025年度版』の著者で、大学ジャーナリストの石渡嶺司氏は「センター試験の時、こういう会話文形式はほぼなかった。今回は倫理だが、共通テストになってから、多くの科目で会話文形式や、資料を読み解く問題が非常に増えた。センター試験では一問一答式、暗記でどうにかなっていたが、今の共通テストでは読解力が必要になっている」と話す。

共通テスト「親ガチャ」問題に反響 「本当に得をしている人はこのテストを受けていない」の声も…生まれた環境で人生は決まるのか

 倫理で“親ガチャ”を思わせるような内容の意味について、石渡氏は「やはりそれだけ親ガチャが社会的にかなり注目されるキーワードだった。出題の意図としては、そういった問題意識を常日頃から持っているかどうかだ」という。

 実業家でeスポーツチームαD代表の石田拳智氏は「僕も母子家庭で貧困家庭だ」と明かす。

「僕は中卒だが、結局自分次第だと思う。ちゃんと能力を身につけて、自分のやりたいことすればいい。大学に行ってお金を持っている人たちや、社長の子供が『羨ましい』『ムカつく』と思うなら、自分はそいつを超してやろうと思って、今に至っている。家庭環境が違ったら大学に進んで、会社に入る道もあったと思うが、学歴はあくまで“就職で使えるもの”にしか思っていない。僕は経営者なので使わない」

 石田氏は今回の倫理の出題内容をどのように受け止めたのか。

「かわいそうなのは親ガチャを引けなかった人たちよりも、親ガチャを引いた人たちだ。顔が良い、お金持ちのところで生まれたとしても、大学に行っていたら確実に勉強や努力をしている。でも、それを『お前の家はお金持ちだから良いよな』や『お前は顔が良いからいいよな』という一言で否定されたりする。努力した結果が“親ガチャのおかげ”となんでも結び付けられる。僕の友だちにもいるが、ちょっとかわいそうだ。でもちゃんと裏で努力している。一部の『親のお金でやってうまくいった』みたいな人たちがいるが、本当に僕は一部だと思う」

共通テスト「親ガチャ」問題に反響 「本当に得をしている人はこのテストを受けていない」の声も…生まれた環境で人生は決まるのか
共通テスト「親ガチャ」問題に反響 「本当に得をしている人はこのテストを受けていない」の声も…生まれた環境で人生は決まるのか

 一方で、パックンは「とても面白い試験問題だ」と評価する。

「僕も母子家庭で育って、公立高校に行った。公立高校で得た情報だけでは、おそらく日本の良い大学に入れないだろう。親ガチャ問題だと思う。日本の義務教育、普通の公立高校で得られるような情報で、良い大学に入れるような試験にしてもらいたい。僕もある意味、当たったほうの人間だと思う。自分の子どもは、それよりも当たっていると思う。だから、周りの期待度がすごく高くなる。親ガチャで当たった人も、他の全員と平等に競争しなきゃいけない社会を作ったほうが、みんなハングリー精神を持つのではないか。共通テストの問題になったことで、この親ガチャ問題をみんなで考えるきっかけになった」

共通テスト「親ガチャ」問題に反響 「本当に得をしている人はこのテストを受けていない」の声も…生まれた環境で人生は決まるのか

 早稲田大学社会科学部2年でユーグレナ初代CFO、現在は丸井グループアドバイザーを務める小澤子氏は「『本当にやりたかったら自分の力でできる』は、おっしゃる通りだと思う」とした上で「実際その気持ちになれる人がどのくらい社会全体にいるか。本当にトップの人たちだけではないか。AO入試に関しては超トップ校でなければ、しっかり経済的な差が出てくる。一部の塾に入って、親御さんがお金を積むことで、経験もセットで提供してくれて、修了書ももらえる。その修了書を『AO入試で書こう』みたいな一連の流れを作っている会社もある。それはいかがなものかと思う」と話す。

共通テスト「親ガチャ」問題に反響 「本当に得をしている人はこのテストを受けていない」の声も…生まれた環境で人生は決まるのか

 ジャーナリストの堀潤氏は「高等教育の無償化という議論にもつながっていく」とした上で「年収が200万円未満の家庭だと大学進学率が20%台、年収が1200万円超の家庭では進学率が80%にのぼる。年収に比例して大学の進学率も変わっている」と指摘。

「変わるべきは学校側だ。今までの価値観でやっていたら、親ガチャ問題の呪縛からは全く解き放たれない。今はAO入試も『体験格差』と言われているぐらいだ。さまざまなバックグラウンドを持った子供たちに、大人が『すごい才能だね。一緒に勉強しよう』と言わない限り、テストの評価軸の中で縛られてしまう。才能を見つける技量を持った大人が増えない限り、この問題は変わらない」

(「ABEMA Prime」より)

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