日本代表・三笘薫の大活躍で話題を集めるブライトンは、1月29日にFA杯4回戦でリヴァプールと対戦する。直近のリーグ戦では3-0で強豪を粉砕したブライトン、再び勝利をおさめることができるか。
今季のブライトンは昨年9月に就任したイタリア人監督ロベルト・デ・ゼルビの下で緻密に設計されたポゼッションサッカーを展開。リーグ戦では勝ち点31の6位という好成績を残し、来季の欧州カップ戦出場の可能性もでてきた。一昨シーズンは残留争いをして16位、昨シーズンは9位のクラブとして大きな躍進を遂げている。
一方で、対戦相手のリヴァプールは苦しいシーズンを送っている。近年のリヴァプールはドイツ人監督ユルゲン・クロップの下でUEFAチャンピオンズリーグ優勝やプレミアリーグ優勝など輝かしい成績を残してきた。しかし、今季はセネガル代表FWサディオ・マネの退団や中盤の補強に失敗したことが原因となり、昨季と比較して勝ち点を落とす試合が増加。リーグ戦では勝ち点29の9位と低迷している。
対照的なチーム状況の両者は1月15日のリーグ戦でも戦っており、この試合はブライトンが3-0で勝利している。両チームの勢いの差が顕著に現れ、スコア、内容共にブライトンの完勝だった。この試合には日本代表FW三笘薫も先発し、得点やアシストこそなかったが、得意のドリブルで何度もサイドを切り裂き、決定機を演出するなど存在感を発揮した。
そんな両チームの再戦で三笘はどのような活躍を見せるだろうか。三笘の目線に立って、リヴァプールとの対戦を予想していきたい。
三笘薫、サイドバックとのマッチアップはどうなる?
ロベルト・デ・ゼルビ監督就任以来、日本屈指のドリブラーは得意の左ウイングのポジションで出場している。そうなると基本的にマッチアップするのは右サイドバックの選手だ。リヴァプールには現状、右サイドバックの起用法に関して3つの選択肢がある。
リヴァプールの右サイドバックのスタメンはイングランド代表DFトレント・アレクサンダー=アーノルド。リヴァプールのアカデミー出身のDFは世界屈指のキック精度を持ち、正確無比なサイドチェンジによる局面打開や、高精度のクロスからのチャンスメイクを持ち味としている攻撃的なサイドバックだ。ただし守備には課題も多く、1対1の際に簡単に突っ込んで躱されてしまったり、クロスが飛んできた際にボールウォッチャーとなりマークを見失って失点を招いたりするシーンが多い。
実際に前回の対戦では、三笘はアレクサンダー=アーノルド相手に突破を見せる場面が多く、再びこのマッチアップとなれば攻撃面で三笘が優位な状態になるはずだ。
ただし今季のリヴァプールは守備面に大きな課題を抱えており、直近ではこの攻撃的なサイドバックを途中出場させる試合が増えている。そのため本職は中盤だが、サイドバックでもプレーが可能な元イングランド代表MFジェームズ・ミルナーとマッチアップする可能性が高い。ミルナーは運動量が豊富で知的なMFのため、サイドバックとして必要な守備をそつなくこなすタイプだ。しかし今年の1月で37歳になったベテランで、加齢の影響によるスピード不足がいなめない。そう考えると、三笘にとっては、比較的やりやすいマッチアップになるはずだ。
最後に、リヴァプールが三笘を最大限リスペクトして来た場合、本職はセンターバックのイングランド人DFジョー・ゴメスを右サイドバックに配置する可能性がある。ゴメスは長身ながらスピードもある身体能力が売りのDFで、単純なマッチアップでいうと抜き切るのは容易なタイプではない。ただし試合によってムラっ気があり、集中力を切らして、ボールウォッチャーになることもあるタイプだ。
90分間マッチアップして、全戦全勝とはいかなくとも、一度や二度は相手の裏を突くことができるだろう。三笘は逆に90分を通じた駆け引きが重要になってくる。試合序盤はわざとシンプルにパスを戻し、勝負どころで仕掛けるなどの緩急を、普段以上に意識してもいいかもしれない。
いずれにしても現状、リヴァプールは右サイドバックの守備力にやや難を抱えており、三笘としては十分に活躍できる相手だと言えるだろう。FAカップでも日本代表戦士は活躍できるのか、注目していきたいところである。
(文・内藤秀明)