「学校うさぎの廃止」を求めるネット署名に2万人を超える人が賛同し、注目が集まっている。
【映像】端に集まって…学校飼育が崩壊したうさぎ小屋(画像あり)
先月20日、永岡文部科学大臣は会見で「デジタル化が進展する時代であるからこそ、実体験からの学びも重要」とした上で「児童が生き物への親しみを持ち、命の尊さを実感するために、学校における継続的な動物飼育を行うことはやはり意義がある」とコメント。
学校飼育の定番というイメージもあるうさぎだが、体調管理の難しさや長期休み中の世話などが問題視され、「学校飼育には不向き」といった指摘もある。実際にうさぎの保護活動を行う一般社団法人「WILL&LOUIS」代表の熊谷彩氏は「まだまだ、ちゃんとした飼い方が知れ渡っていない」と訴える。
「雑食動物と勘違いされている人も多いが、うさぎは草食動物。だから、餌は草を食べる。一方で、イネ科の草アレルギーをお持ちの飼い主さんも本当に多い。手放される理由の中で、最も多いのは『アレルギー』だ。犬や猫と同じようにアレルギーが出る人もいる」
Twitterでは「卯年だし、うさぎ飼ってみようかな」「静かだし、飼いやすそう」などの声も寄せられているが、熊谷氏によると、前回の卯年(2011年)にも同じようなブームがあったという。
「当時は2匹の保護うさぎが施設にいた。だが春になってくらいから保護されるうさぎが増えた。だいたい毎年2〜5匹くらいだったのが、25匹に増えた」
学校うさぎの問題について、熊谷氏は「もどかしい思いをしている先生たちも多い」という。
「先生たちから『病院に連れて行けない』などの相談をもらっても、私たちも何もできないことがある。『夜間・夏場でもクーラーが付けられないから氷をケージの中に入れてあげている』など、先生方の努力もあるが、本当にそれでいいのか。ちゃんと議論が進んでほしい」
うさぎの保護活動をし、学校飼育を問題視する一般社団法人「LIBERTY」代表の藤田敦子氏は「ペットショップなどで犬や猫より価格的に安かったり、鳴かないから飼いやすいといった、安易な理由でうさぎを選ぶ人も多い」とした上で「学校だからダメ、家なら良いという問題ではない」と話す。
「学校でも家庭でも、やはり適正な飼育環境や育てる大人が必要。生き物だから365日お世話をしないといけない。学校うさぎは、長期の休みに全くお世話されていない、暑さ・寒さ対策がされていない、病気になっても病院に連れて行く予算がないケースも多い。実際にそういった学校からの相談が多い。『ケガをしていて動物病院に連れていきたいけど、学校に言ったらもうお金がないから自然治癒しかない』と言われて放置されている。本当にそういった不適切な環境の中で、動物を育てることが生徒の教育にいいのか。疑問はたくさんある」
近年は学校飼育自体が著しく減っている。理由について、藤田氏は「先生方、生徒さんたちも忙しい。飼育に携わる時間が極端に少なくなっていると思う。アレルギーの問題もある。飼育の難しさが問われている」と見解を述べる。
永岡文部科学大臣は「デジタル化の時代だからこそ、生き物を飼う大切さ、学校における継続的な動物飼育は意義がある」とコメントしているが、藤田氏はどう思っているのか。
「学校で実際に飼育をしなくても、動物愛護や命の大切さは教えられる。実際に保護団体と協働して、保護犬を連れて小学校や中学校を回っている獣医師会もある。不適切な環境で飼われているのを見た子どもが『こういう飼い方でいいんだ』と思ってしまうのも問題だ。中には、温度管理まで気をつけている学校もあるが、ほとんどのところが小屋で、長期休みに餌が出されない学校もある。正しく飼うことを教えるのも、学校教育ではないか」
(「ABEMA Prime」より)
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