将棋の順位戦A級8回戦が2月1日に行われ、永瀬拓矢王座(30)が藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、20)に129手で勝利した。この結果、リーグ成績は5勝3敗に。6勝2敗で首位の藤井竜王に次ぐ2番手グループに入り、名人初挑戦の望みをつなげた。次戦、3月2日の9回戦最終一斉対決では、同星の斎藤慎太郎八段(29)との対戦が予定されている。
名人初挑戦へ、勝てば可能性を広げることができる大事な一局。永瀬王座がわずかに残された道を自らの手で切り開いた。大勝負で対するは、長年の研究パートナーでもある藤井竜王。その実力を誰よりも知るだけに、並々ならぬ気合で本局に臨んだ。永瀬王座の先手で、戦型は「角換わり腰掛け銀」に。渾身の研究をぶつけて、序盤早々に絶対王者の持ち時間を大量に削り取った。
激しい攻め合いから一気に終盤戦へと展開。ペースを握った永瀬王座も慎重に時間を投入して指し進めていた。藤井竜王に絶対に優位を渡すまいとばかりに、盤上の緊迫感はどんどん増していく。劣勢に立った藤井竜王も勝負術を繰り出し、必死に追い上げてぐいぐいとプレッシャーをかけたが、永瀬王座は正確な指し回しで猛攻をかいくぐって見せた。最後は自玉を安全地帯に逃がし、藤井竜王の激しい粘りを振り切って完勝。大きな勝ち星を手にした。
この結果、A級は6勝2敗に藤井竜王と広瀬章人八段(36)、5勝3敗に永瀬王座、斎藤慎太郎八段(29)、菅井竜也八段(30)、豊島将之九段(32)の4名が追走している。最終局の結果次第では、3敗グループに属する永瀬王座にも挑戦権獲得の可能性が残されているだけに、次戦の斎藤八段戦も絶対に負けられない一戦に挑むことになる。挑戦権争いはいよいよクライマックスへ。3月2日の一斉対決は、どの対戦カードも絶対に見逃せない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)