ひろゆき氏「疑わしきは罰せずじゃないの?」新証拠も…美濃加茂市長の再審請求“棄却”のワケ
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 2013年に起きた中学校のプールへの浄水設備をめぐる汚職事件の再審請求が1日、棄却された。

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 当時、岐阜県美濃加茂市の藤井浩人市長は災害時に生活用水を確保できるとし、市に導入を働きかけていたが、市長になった後の2014年6月、突然逮捕・起訴された。容疑は設備の導入に便宜を図る代わりに業者から30万円を受け取ったとする受託収賄などだ。

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 裁判に臨んだ藤井市長は無実を主張。争点は「30万円を渡した」とする業者側の証言だ。一審の判決は、信用性が認められず、藤井氏は無罪だった。しかし、二審で名古屋高裁は「証言は“具体的かつ詳細”」とし、懲役1年6カ月、執行猶予3年の逆転有罪判決が下された。その後、上告も棄却され、刑が確定した。

「真実がどこにあるのかということを、もう一度多くの方々に考えて頂きたい」(藤井浩人市長)

 再審請求も棄却された藤井氏は、即日異議を申し立てた。今後も再審を求め続けるとしている。

 “開かずの扉”とも呼ばれ、認められることが極めてまれな再審請求。制度そのものに問題はないのか。ニュース番組「ABEMA Prime」に出演した藤井氏は「再審がいかに厳しいか理解していた。大きな期待は正直抱けなかった」と話す。

「司法には失望の連続だ。『あ、またか』という気持ち。今回も新証拠を弁護団がかなり必死になって見つけてくださったが、残念だった」

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 元裁判官で弁護士の西愛礼氏は「“疑わしきは罰せず”が一番大事になる」と話す。

「痴漢冤罪でも同じ問題が生じるが、類型として供述だけしかない事件はけっこうある。汚職や収賄と言われるものも『話がどこまで信用できるか』が重要になる。今回も、証言そのものだけではなく、例えば経緯など『どうやって30万円を捻出したか?』について検察官は調査をして、証拠になっている。金銭授受については、何も物的証拠がなかった。そういったものも全部含めて、裁判官が判断をしたことになる」

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 もし西氏が今回の裁判官だった場合、どのような判決をしたのだろうか。

「裁判官であっても、嘘をついているかどうかを見極めるのは、本当に難しい。一審と高裁で分かれた通り、裁判官によって無罪も有罪も両方いる。大事なのは客観的な証拠と裏付けの有無だ。ただ、どんなに考えて証拠を見ても、分からないときがある。そういうときは、再審でも『疑わしきは罰せず』『疑わしきは被告人の利益に』という原則に従わないといけない」

 西氏によると同じ事件で有罪・無罪が分かれることは「よくある」という。

「私が実際に無罪判決を出した事件で、他の判決で共犯者として名前が挙がっていたこともあった。やはり証拠に基づいて裁判を行う以上、その人ごとに証拠が違ってしまうと、結論も変わってくる」

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 ここで、ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏が「そもそも、藤井さんに『30万円を渡した』と言っている人が詐欺の犯罪者だったじゃないか。詐欺師の発言でも裁判官は信用するのか?」と質問。

 西氏は「基本的に共犯者全員が証人になる。共犯者全員が犯罪者だが『じゃあ共犯全員を信用しないのか?』という話になってくる。前科があるかないかは一旦捨象して、発言が客観的事実・証拠とどれくらい合っているかを見る必要がある」と答える。

「第一審の裁判所は、前科も加味して『詐欺師だからこんな具体的な嘘をつくことができる』と判決に書いた。一方で、高裁の判決文は『いくら詐欺師でもこんなに具体的で精巧な嘘がつけるのか』と見方がはっきり分かれた」

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 続けて、ひろゆき氏は「高裁の裁判官が詐欺師に騙されているのではないか。『疑わしきは被告人の利益に』なのに『この人は疑わしい』と高裁裁判官が思っちゃったわけじゃないか。藤井さん、裁判システムを信用できなくならないか」と投げかけ。

 藤井氏は「全然信用できない。二審は裁判自体も直接話も聞かず、淡々と進んでいった。いきなりひっくり返ったので、何が起こっているのか分からない。そもそも、融資詐欺をしていた人がなぜ僕に『30万円を渡した』と言い出したのか。一審の判決の中で言われているが、その人は当初4億円の詐欺で逮捕されていた。2100万円まで起訴されたところで、私の名前を出し始めた。その後、詐欺事件の捜査がされなくなり、警察が贈賄の事件に切り替えた。本人からすれば政治家との繋がりを適当に話すことで、詐欺事件から免れている」と訴え。

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 冤罪を主張し続ける藤井氏。戦う姿勢には「意味がある」という。

「公民権停止の期間もあり、私の肩書きや家族も元犯罪者になっていてきつかった。いま政治家でいられて、美濃加茂市民の方々に本当に感謝している。この裁判の話を持ち出すのは『市の評判を落とすからやめたほうがいい』とよく言われる。だが、私は冤罪だ。裁判所や警察、検察の判断に私は問題があると思っている。疑問は薄れないし、政治家をやる以上、このような社会をそのままにしておくわけにはいかない」

(「ABEMA Prime」より)

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