2023年1月、女子高生にみだらな行為をした疑いで“メンズ地下アイドル”の男2人が逮捕された。
メンズ地下アイドルとは何なのか？ なぜ被害者となった未成年は300万円もの大金を注ぎ込んでしまったのか？ 自分にとっての「イチオシ」を応援する“推し活”の実態についてテレビ朝日 社会部 花川有紗記者に話を聞いた。
「メンズ地下アイドルとは、メジャーではなくインディーズとして活動をしているアイドルです。主にライブ出演で歌やダンスなどを披露し、その後特典会を行うのが基本的な流れです。メジャーデビューしているアイドルとの大きな違いは、直接触れ合える、顔や名前を覚えてもらえるという距離感の近さにあります。彼らはライブ入場料のほかに、ライブ終了後の2ショット撮影などで収入を得ています」(以下、花川記者)
その距離感の近さが要因となって今回の事件が起こったとも考えられるが、ファンとの交流はどのようなものなのか。
「ファンの方との交流は特典会がメインです。特典会では1対1で直接触れ合うことができ、今回逮捕された容疑者のグループでは1枚1000円程のチェキを購入すると1分一緒に話す時間が設けられます。1枚の撮影ごとに1ポイント貯まり、1000ポイント貯めると映画館デート、1500ポイント貯めると遊園地でデートできるなどの特典がありました」
地下アイドルというと女性アイドルの印象が世間では強いが、男性アイドルと女性アイドルの違いとは。
「男性アイドルのほうが接触の距離感が近いように感じられます。今回逮捕されたグループの一例ですが、ハグをしてチェキの撮影を行ったり、マスク越しにキスをしたりしていました。もちろん全てのメンズ地下アイドルが同様のことを行っているわけではなく、ファンと一定の距離を保って活動を行っている方もたくさんいます」
メンズ地下アイドルを巡り、今特に何が問題視されているのだろうか。
「交際を匂わせながら『デートがしたい』と言葉をかけ大金を使わせたり、ファンが18歳未満と認識しながらアイドル側がこのような行為を行っていたことも今回大きな問題になっています。ファンはお小遣いで得られる特典では満足できず、パパ活や援助交際、家のお金を持ちだしたりすることで自身の生活を犠牲にしていたのです」
そこまでして推しを応援する心理とは？
「ファンとしてもこういった行為は正しくないと認識がある一方で、それでもお金を手にして推しと長時間一緒にいたいという気持ちが強い方が多いです。こうした未成年の推し活に対する警視庁への相談は保護者や知人からのものがほとんどで、2021年15件だったのに対し、2022年は50件と3倍以上に増えています」
社会問題の1つになりつつある過激な推し活の実態、こういったトラブルを防ぐ方法とは。
「推し活自体が危ないというわけではなく、しっかりと自分を見失わず適度に付き合っていくことや、自分に見合ったお金の使い方をするのが大切です。『もっとお金を使ってくれたら中心メンバーになれる』など、母性本能をくすぐるような発言もするアイドルも多くいます。これらの言葉の真意はお金を使わせるための発言であることが多いので注意が必要です」
