日本代表FW三笘薫が所属するブライトンのピッチに、頼れる“あの男”が帰ってきた。
日本時間2月5日に行われたプレミアリーグ第22節でブライトンはボーンマスと対戦した。この試合ブライトンは相手の守備に苦戦したものの、最終的には三笘の劇的な決勝ゴールによって1-0で勝利を掴み取った。
その劇的な勝利もさることながら、試合のトピックとなったのはエクアドル代表MFモイゼス・カイセドがチームに復帰したことである。
ブライトンは1月下旬に首位・アーセナルからのオファーを受け、カイセド本人もSNSで移籍志願のコメントを出していた。しかしクラブ側はカイセドの売却を断固として拒否。エクアドル代表MFに1月中のチーム活動参加を禁止する対応を行った。
結果的に冬の移籍市場でカイセドは退団せず、市場が閉まると練習に復帰。そして、先日行われたボーンマス戦で56分から途中出場し、再びブライトンのユニフォームを着てピッチに立った。強引な移籍志願によってサポーターとの関係に亀裂が入っているのではという心配もあったが、それは杞憂に終わった。カイセドはスタジアム中に鳴り響く程の大きな拍手で迎え入れられた。
攻守で際立つカイセドの“存在感”
この試合、ブライトンはボーンマスに苦戦を強いられていた。序盤に複数の決定機を作るもゴールを決められない。その後には、攻め込むものの決定機をあまり作れない状況が続き、ボールロストからカウンターでピンチを迎えるというシーンも見られるようになった。
しかし56分にカイセドが投入されると、悪い状況は改善の方向へ。的確なボール捌きでパスワークを活性化させ、良い形でアタッカーにボールを届ける回数が増加した。その結果、再び決定機を作れるようになり、持ち前の機動力と球際の強さを活かしたボール奪取でカウンターを未然に防ぐなど、攻守に渡って奮闘。結果的に勝ち点3を得ることとなるブライトンは、カイセド一人の投入によって攻守両面で大きな改善がなされたのだ。
三笘の決定機を増やす「カイセド効果」
カイセドの復帰は、当然三笘薫にも好影響を及ぼす。ブライトンの指揮官ロベルト・デ・ゼルビのサッカーは守備的なMFであるボランチの選手を起点に攻撃を行う傾向がある。つまりボランチの質がチームの攻撃のクオリティに直結するのだ。
カイセドはプレミアリーグでもトップクラスの守備的MFであり、彼がいることによって安定して三笘のような前線の選手にボールを供給することができる。エクアドル代表MFの存在によって三笘が良い形でボールを持てる回数が増加するのは疑いようもなく、必然的に三笘の武器・ドリブル突破を主とした決定機の演出を見られる回数も増えていく。
「最高の選手」主将の信頼とチームメイトとの絆
ボーンマス戦で示されたように、カイセドの存在がブライトンに与える好影響は非常に大きい。攻守のさまざまな局面で効果的なプレーを行い、チームを助けることができる。また次節からは、累積警告で欠場していたアルゼンチン代表MFマクアリステルが戻って来るため、再びプレミアリーグ屈指のボランチコンビを形成でき、チームのクオリティが更に上がることが見込まれる。
ブライトンは現時点で勝ち点34の6位だ。チームに復帰したカイセドが引き続き高いパフォーマンスを発揮すれば、ブライトンがクラブ史上初の欧州カップ戦出場権を手にすることも現実味を帯びてくるだろう。
試合後、ピッチに跪くカイセドと抱擁するチームメイトたちの姿もみられ、主将のダンクも「カイセドは最高の選手」と信頼を口にしている。大きな衝撃を乗り越えたブライトンはまたひとつになり、クラブ史上初の快挙に向けて大きく前進した。
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