古豪フランクフルトがDFBポカールを2連覇した約50年前のような“強さ”を取り戻しつつある。昨季はスペインの名門バルセロナを倒すジャイアントキリングを見せ、ヨーロッパリーグを優勝。そして迎えた今季、UEFAチャンピオンズリーグでも激戦を制してベスト16へ駒を進め、昨季11位だったリーグ戦でもCL圏と勝ち点差2の6位につけるなど絶好調だ。
【映像】未だ契約更新に応じていない「極めて重要な選手」鎌田大地
古豪からの復活を遂げつつあるフランクフルトとは
フランクフルトはブンデスリーガ創立時からリーグに加盟しているドイツで最も歴史のあるクラブの一つだ。1990年代前半までは4度の国内カップ戦の優勝を果たし、リーグ戦でも継続的に上位でフィニッシュしていたが、1990年代後半のブンデスリーガ1部降格を機にリーグでも下位や中位を彷徨うこととなる。長らく辛酸をなめる時期を過ごしていたが2017-2018シーズンはDFBポカールを優勝を果たし、復活の兆しを見せ始める。
大きな転換となったのは、現在もなお指揮官を務めるオリヴァー・グラスナーの監督就任だ。昨季の前半戦では就任1年目ということもあってなかなか結果が上がらなかったが、終盤以降は高い守備強度から織り成される堅牢な守備からのカウンターアタックがハマり、結果としてEL優勝。今季は昨季の勢いそのまま、昨季に築き上げたチームの基盤に頼もしい新エース・ランダル・コロ・ムアニが加わったことで、更なる躍進を続けている。
そんなフランクフルトは兼ねてから日本人選手とのゆかりが深い。過去には高原直泰(2006-2008)稲本潤一(2007-2009)、乾貴士(2012-2015)が在籍。現在は2人の日本人選手が在籍している。1人目が2014年にフランクフルトに加入した長谷部誠だ。「フランクフルトの皇帝」と呼ばれ、ピッチ内外においてクラブからの信頼も厚い。2027年までの長期契約を結んでおり、コーチングスタッフとなるのか選手となるのかはシーズン初めに長谷部の意志で選択することができるという特別待遇の契約を締結している。いかに長谷部がクラブにとって重要な存在であるかがわかるだろう。そしてもう1人の日本人選手が、フランクフルトでアイコニックな存在になりつつある鎌田大地だ。
不動の地位を築く鎌田大地
グラスナーが「極めて重要な選手」と表現するように、鎌田の存在はチームにとって欠かせない。昨季は公式戦46試合で9ゴール3アシストを記録したように攻撃面で決定的な仕事を残しただけでなく、持ち前の創造性でチームの攻撃を活性化させた。鎌田は攻撃の潤滑油として味方を活かすだけでなく、走力と戦術理解度の高さで守備面でもチームを支える。システマチックな戦術と走力を基盤とするグラスナーのサッカーにもってこいの存在だ。
昨シーズンは3-4-2-1の2シャドーの1角を主戦場としていたが、今季は同じくシャドーをこなせるマリオ・ゲッツェの加入もあって主にボランチを務めている。昨季と異なったポジションであっても高いクオリティを発揮し、大活躍を見せている。加えて今季は得点能力が開花。現時点でのブンデスリーガの得点数はキャリアハイの7ゴールで、UEFAチャンピオンズリーグでは、日本人史上初の3試合連続得点も記録。3列目の選手ながら得点源としても重要な役割を果たしている。
今シーズンを持ってフランクフルトとの契約を満了してしまうため、鎌田の移籍の噂は絶えない。ドイツの地で鮮烈な活躍を残している日本人をフリーで手に入れるチャンスを逃すまいと国外のメガクラブがこの日本人MFを注視している。今夏の移籍期間では監督の説得もあってフランクフルトに残留した鎌田だが、未だ契約更新に応じていない姿勢からも本人の野心が伺える。メガクラブへのステップアップを狙う鎌田と古豪から脱却したいフランクルトにとってシーズン後半戦の1試合1試合が重要なものとなってくるだろう。
(ABEMA/ブンデスリーガ)
(C)Aflo