「見えない貧困が進んでいる」全国7300カ所の「子ども食堂」にも物価高
【映像】7人に1人が貧困状態 子ども食堂にできること

 現在、全国に7300カ所以上もある子ども食堂。

【映像】7人に1人が貧困状態 子ども食堂にできること

 去年1年間で1349カ所も増加し国公立の中学校の数、およそ9000校に迫る勢いだ。

 子ども食堂といえば十分な食事ができない状況にある子どもたちに食事を提供する場というイメージがあるが、近年は別の一面も加わっていると認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえの三島理恵理事は言う。

「コロナでより一層深刻になったのは、経済面だけでなく孤独・孤立の問題です。そのため、地域で暮らしている人たちが繋がり合い関わり合える場所がすごく大事なのです。ほとんどの子ども食堂は『誰でも来ていいですよ』という開かれた形で開催されているので、地域を包み込むような場所になっています」(三島氏)

 誰でも利用できる地域の憩いの場。子ども食堂は食事だけでなく、宿題の見守りや読み聞かせなど行い、様々な人と触れ合える環境だ。

「ある一人暮らしのおばあちゃんは『子どもが元気そうにご飯を食べている姿を見るのが嬉しくって毎回来るんだ』とおっしゃっていました。また『子どもを真ん中に置いた地域のつながり作りをしよう』って一肌脱ぐおじいちゃんも。希薄になった地域を子どもが結び直そうとしているように感じます。みんなが子ども食堂を知ってくださって、何か関われる方法を考えてくれる。そういった『支える輪』が全国に広がったら嬉しいですね」(三島氏)

 新型コロナウイルスや物価高で生活苦に陥る家庭が増えているが子ども食堂に影響はあるのか。

「私たちの調査では約8割の子ども食堂が物価上昇による影響を感じています。そんな状況下でも子どもたちのためにお弁当・食事の質を下げたくないと頑張ってくださっているのです」(三島氏)

 このような懸命な努力を続けるなか、およそ4割の子ども食堂が「民間からの支援が増えた」というアンケート結果もある。

 続いて、以下の数字データを元に東洋経済オンライン編集部長 武政秀明氏と考えていこう。

「2019年 国民生活基礎調査」で日本の子どもの貧困率は13.5%と実に7人に1人が貧困状態にあることが判明した。この数値は現時点でさらに悪化している可能性もある。

「特に都会では『見えない貧困』が進んでいます。身なりが整っていたり、スマートフォンは持っていても食べることに困っている人がいるのです。新型コロナウイルスによる雇用減や物価高で生活が圧迫されているのが現状です」(以下、武政氏)

 解決に向けて、どのような取り組みがあるのだろうか。

「先日、食べられるのに廃棄されてしまう食品を企業や生産者から無償で寄付・寄贈してもらい困窮している人たちや福祉施設などへ提供するフードバンク、そして、経済的に困窮する世帯に食材を無料配布するフードパントリーの現場を取材しました。こういった団体は行政から補助金が出るとはいえ、メインは民間の寄付で成り立っているのです」

「民間」と「行政」、サポートという点ではどう異なるのか?

「民間のサポートがより重要です。というのも、生活保護を受けると財産を手放さなくてはならず、預貯金もできず、保険にも入れないという制約を受けます。一度そのような状況になると抜けられるのは100家庭のうち1〜2家庭程度。だからこそ民間の力でいかに救っていくか、というのが今後の課題です」

 日本の社会としての捉え方はどうか。

「日本は自己責任論が強いです。たしかに貧困にはそういった面もありますが、収入が上がらない、所得の再分配がうまくいかないなど社会の構造も原因の一つなのです」

 社会全体で子どもを支えていく、そんな視点が求められている。

(「ABEMAヒルズ」より)

「今年こそ海外旅行へ」大規模イベントに1万人 “ハワイ”人気も…懸念「物価高い」
「今年こそ海外旅行へ」大規模イベントに1万人 “ハワイ”人気も…懸念「物価高い」
「実質賃金」2年ぶり↓ 物価上昇で前年比0.9%減
「実質賃金」2年ぶり↓ 物価上昇で前年比0.9%減
【就任12年】会えるかな?英首相官邸の"ネズミ捕獲長"
【就任12年】会えるかな?英首相官邸の"ネズミ捕獲長"
大手自動車メーカーの「春闘」、各社労組が相次いで大幅賃上げを要求