「アダルトビデオはちゃんとした仕事なんだよと投げかけている今だからこそ(声を上げた)」
「業務上起こってはいけないミスが起こった時にきちんと対応するビジネス感覚を持ってほしい」(以上、元セクシー女優・タレントの渋谷果歩さん)
元セクシー女優・タレントの渋谷果歩さんが過去に出演したAV作品の無修正データがネット上に流出したとして制作会社や監督を相手どり740万円の損害賠償を求め東京地裁に提訴し、メディアも大きく取り上げた。
制作会社は「訴状が届いておらず、内容が具体的にわからない。コメントは控える」としている。
渋谷さん自身、AV業界にはびこる問題の改善を目指したいわゆる“AV新法”が施行されている今だからこそ、声を上げたという。
しかし、これまでもわいせつ違法動画を配信・販売するなどで検挙される事例は後を絶たなかった。そんななか、今回の渋谷さんの提訴をこぞって各メディアが取り上げたのは業界内において「画期的」なことだったからだという。
なにが画期的なのか。アダルトメディア研究家 安田理央さんは、
「(女優たちは)基本的には泣き寝入りしていた。渋谷さんのような立場の人が声を上げたことには意味がある」
と語る。どうして声を上げることができなかったのか。元セクシー女優の神野藍さんは、「毎日何本も上がる公開サイトをくまなくチェックするのは不可能なこと。そもそも公開されていることに気がつかないことも」「一部シーンを切り取られたものだとしたら、どの作品なのかわからない場合もあります」「監督名で活動している人も多く、本名がわからない。誰を相手どればいいかわからない。逃げられたら終わり」と説明。
そして泣き寝入りの最大の理由は大手を除き、倒産していて消息がつかめなくなるメーカーが多い点にあるという。倒産が増える背景にはAV新法の存在もあると安田さんは分析する。
AV新法の制定より、契約から撮影まで1カ月、撮影から販売まで4カ月の期間を空けることが義務付けられており、この期間、メーカーにはお金が入ってこない。
「流失モノはメーカーが倒産すると出回ることが多いため、AV新法絡みで倒産などに追い込まれると意図的に流失を行うことで稼ごうという会社も出てくる可能性がある」(安田さん)
業界の人々を守るために定められた法律が逆手に取られる可能性もあるというのだ。
とはいえ、今回の提訴・報道を機にAV新法の見直しや業界の改善に向かう可能性もある。
「訴訟ということ自体が表に出るのがほぼ初めて。現役の子たちも含めて『訴訟ができるんだ』という気づきになったのでは。私たちのこれからの希望になる」(神野さん)
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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