この記事の写真をみる(2枚)

 1990年、第70回文學界新人賞受賞、第103回芥川賞候補となり注目を浴びた河林満による「渇水」。〈生の哀しみ〉を鮮烈に描いた名篇が、『凶悪』(13)、『孤狼の血』シリーズ(18、21)、など、多くの重厚な作品を世に贈り出し続ける映画監督・白石和彌の初プロデュースにより刊行から30年の時を経て映画化。2023年6月2日(金)より全国公開される。この度、映画『渇水』の特報映像&ティザービジュアル&新キャスト情報が解禁となった。

【映像】「息子1人大学にやるのもしんどい…」中間層が一番苦しい? 年収400万円家庭の現実

 監督を担当したのは、相米慎二、市川準、阪本順治、森田芳光、宮藤官九郎ら錚々たる監督作品で助監督としてキャリアを重ねた髙橋正弥。主演には、『土竜の唄 シリーズ』(14、16、21)、『彼らが本気で編むときは、』(17)、『湯道』(23)など数々の映画作品、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(22)でも話題となり、華やかな人気と、多彩な役どころを変幻自在に演じ分ける実力を併せ持つ俳優・生田斗真。水道料金を滞納する家庭の水を日々停めて回る業務に就く水道局員の主人公・岩切俊作が、心の渇きにもがきながらも“生の希望”を取り戻していくという難しい役どころを体現する。 

水道局員と幼い姉妹、一件の「停水執行」の先には…

 本編映像初公開となる特報映像では、水不足の深刻化を伝えるニュースの音声と共に照りつける太陽を見上げる主人公・岩切俊作(生田斗真)と同僚の木田拓次(磯村勇斗)が水道料金を滞納する家庭を訪れ、水道を停めて回る「停水執行」の様子が映し出される。そんな日々の中、岩切が出会ったのはたった二人で家に残された幼い姉妹だった。県内全域で給水制限が発令される中、最後のライフラインである水道を停めてしまってもいいのか。「停めるんですか、水道」と問う姉妹の真っすぐな瞳に葛藤を覚えながらも、岩切は規則に従い停水を執行するが――。

 「疑問を持たずに波風を立てずに日々を過ごすことが上手な生き方かもしれませんが、ふと立ち止まり、自分を見つめ直す事も悪くない。そう思わせてくれる作品です。」という生田のコメントに示唆されるような、映像のラストには「このままじゃダメなんだよ」と叫ぶ岩切の姿が収められている。

 また、物憂げに俯く主人公・岩切俊作の表情が印象的なティザービジュアルも同時解禁に。“渇いているのは、心でした――。”というコピーとともに、物語の行方に期待が高まる特報映像とティザービジュアルに仕上がっている。

新キャストとして豪華実力派俳優陣が解禁 音楽を手掛けるのは向井秀徳

拡大する

 そして今回、新たに7名のキャスト情報も解禁された。姉妹の母親・小出有希を演じるのは門脇麦。主人公・岩切俊作の同僚で岩切とともに停水に回る木田拓次役に磯村勇斗。岩切の妻で、息子を連れ実家に帰ったきり戻ってこない岩切和美を尾野真千子が演じる。そして、二人きりで家に残された姉妹を演じるのは、しっかり者の姉・小出恵子役の山﨑七海、天真爛漫な妹・小出久美子役の柚穂。オーディションで選ばれた二名がたった二人で懸命に生きる姉妹を体現した。その他、水道料金滞納者の一人、伏見役に宮藤官九郎、水道局料金課の佐々木課長役を池田成志が演じる。また、劇中の音楽を、NUMBER GIRLやZAZEN BOYSなどカリスマ的人気を誇る向井秀徳が手掛けていることが明らかになった。

キャストコメント

門脇麦(小出有希役)
母親の役というだけでまだ想像がつかない部分も多く、その役を遠く感じるものですが、さらにさらに遠い、私には理解が困難な役を皆様に支えていただきながら自分なりに手繰り寄せて演じました。 きっと今もどこかに存在する姉妹のお話です。 聞き飽きた綺麗事かもしれませんが、優しい世の中になってほしいと、演じながら改めて強く願う作品でした。

磯村勇斗(木田拓次役)
脚本をいただいて読んだときに、この作品に参加したいと強く思いました。
水道局員を軸に、僕たちのライフラインである「水道水」を通して社会問題に切り込み、そこで出会う人々の葛藤に、僕は惹かれました。
人の心も渇いていく世の中で、何か生きる希望を届けられたらと思います。

尾野真千子(岩切和美役)
とても気持ちが歯痒くなる映画です。
台本を読んだ時それぞれの気持ちがチクリチクリと刺さってポロポロと泣きました。
観てくださった人の心にも刺さりますように。

山﨑七海(小出恵子役)
オーディションが決まった時は本当にびっくりしました。何度もオーディションを重ねて小出恵子を知っていくうちに、どんどんこの役が好きになっていって。なので参加出来た事が嬉しさでいっぱいでした。 岩切との出会いで姉妹が変わっていく、普通の姉妹とは違うけどどんな時でも助け合って生きていく姉妹を見てもらいたいです!

柚穂(小出久美子役)
この作品は初めての長期間の撮影でしたが、現場の人や出演者の人がとても優しく仲良くしてくれたので、自然に「久美子」になることが出来ました。私にはお姉ちゃんがいないので、本当にお姉ちゃんが出来たみたいで嬉しかったです。 ぜひ「渇水」をたくさんの人に観てもらいたいです。

宮藤官九郎(伏見役)
「最初に水道を止められる役は宮藤さんしかいないと思ってた」と力説された時には戸惑いましたが、 髙橋監督には数々の現場でずいぶん助けられましたので、俺でよければ水道止めて下さいと快諾しました。 とても切なく過酷な物語ですが、社会の理不尽を描くだけでは終わらない希望の光が見えた気がしました。 公開おめでとうございます。

池田成志(佐々木課長役)
天候不順な時に天候不順な題材を撮るって、ホント世の中ままならないよなぁとか思いながら撮影に臨みました。短い期間の撮影でしたが、何か明確なようで、明確ではないものを演じる、難しさみたいなものを感じました。映画経験をもっと積みたいです。かなり結構前から知ってる斗真君と、初めて仕事したのも嬉しかったです。

ストーリー

 日照り続きの夏、市の水道局に勤める岩切俊作(生田斗真)は、来る日も来る日も水道料金が滞納する家庭を訪ね、水道を停めて回っていた。県内全域で給水制限が発令される中、岩切は二人きりで家に取り残された幼い姉妹と出会う。蒸発した父、帰らなくなった母親。困窮家庭にとって最後のライフラインである“水”を停めるのか否か。葛藤を抱えながらも岩切は規則に従い停水を執り行うが――。

(c)「渇水」製作委員会

「見えない貧困が進んでいる」全国7300カ所の「子ども食堂」にも物価高
「見えない貧困が進んでいる」全国7300カ所の「子ども食堂」にも物価高
「風俗のフリーランス化が進む」歌舞伎町で売春する若い日本人女性急
「風俗のフリーランス化が進む」歌舞伎町で売春する若い日本人女性急
歌舞伎町“立ちんぼ”に若い日本人女性が急増…進む風俗のフリーランス化「買うことで助けてあげている感覚の人も」
この記事の写真をみる(2枚)