「機長は胃がキリキリしたはず」JAL機“深夜のUターン”舞台裏を元パイロット・元管制官・乗客らが検証
【映像】福岡空港から折り返す実際の機内のモニター
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  2月19日(日)、18時30分 羽田発福岡行きJAL331便は91分遅れの出発から6時間49分後、Uターンし午前2時50分に羽田空港に着陸した。

【映像】福岡空港から折り返す実際の機内のモニター

 強風、福岡空港上空の混雑と着陸時間の制限、燃料など様々な要因があるが、ここでは、この「長すぎるUターンフライト」における各人の心理を元パイロットや元管制官と共に検証しながら振り返ってみよう。

●20:01 強風で定刻より91分遅れで出発(20:18 離陸) 当時の乗客の心理

 羽田空港付近では強風のため、飛行機の発着が乱れ、2時間近く遅れての離陸となった。これに対して、331便の乗客の一人で『昆虫はすごい』(光文社新書)などで知られる昆虫学者・九州大学教授の丸山宗利氏は

「福岡空港が22時に閉まると知っていたので不安を感じていました」

 と当時の胸中を語った。福岡空港は市街地にあるため、緊急を要する着陸以外は騒音対策から離着陸は7〜22時のみとなっているのだ。

●22:00 福岡空港の運用時間が過ぎ、着陸できず 当時の機長と管制官の心理

 福岡空港の21〜22時の到着便は23便。悪天候による遅延も相次いだためか福岡の上空には「着陸待ち」の飛行機で混雑していた。

 その結果、22時まであとわずかのところで331便は北九州の上空を旋回し始め、着陸できないまま22時を過ぎてしまった。すると「管制塔との交渉の末、許可が下りなかったので関西空港に向かいます」という機内アナウンスが流れた。丸山氏の不安が的中したのだ。機内全体に乗客のため息が広がったという。

 フライトレーダー24で飛行の記録を確認した元日本空港航空パイロット 小林宏之氏は331便は通常とはやや異なる飛び方をしていたと指摘する。

「一番胃がキリキリしたのは機長だと思います。通常福岡行きは燃費を考えて空気抵抗の少ない3万フィートの高度で飛びます。しかし、急いでいた331便は上昇する時間を節約するため2万4000フィートという低い高度をジェット気流を受けながらパワー全開で飛んでいました。燃料消費してでも1分でも稼ごうと努力をされたんだと思う。着陸に際しても機長としては必死で燃料が許す限り頑張って管制塔とやり取りをしたと思う」

 その時の管制官の心理を元航空管制官のタワーマン氏は

「その飛行機を降ろしていいのか、承認が来るまではヒヤヒヤもの。管制官は針の穴に糸を通すような世界で、数秒の間に着陸だせてよいのかを見極めをしなきゃいけないのです」

●22:59 関西空港に到着。しかし、この機体を整備できる整備士がおらず、伊丹空港から呼び寄せる事態に 乗客と地上スタッフの心理

 関西空港に着く直前、「関西空港で給油した後に羽田に戻ります」というアナウンスが流れた。丸山氏は

「(関西空港でさらに時間をロスするということで)乗客に再び深いため息が広がりました」

 と当時を振り返った。331便は給油や整備で約3時間を関西空港で過ごしたのだ。

「この時、実は地上スタッフも壮絶さを極めていたはずです」

 そう語るのは元グランドスタッフの小山千紘氏だ。

「その時間に空いているお店やレストランやコンビニから食事をかき集めてくることになりますが、その確保が難しいのです。『どういう食事をどなたに対して提供したか、それは全員に配れたのか・適した食事だったか』などいろいろな条件を全部押さえられた状態でないと提供できないのです」

●01:44 給油や整備をおこなった後、羽田空港に向けて出発

●02:50 羽田空港出発から約7時間後、羽田空港到着

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 日本航空は、150室のホテルを確保し、乗客335人に現金2万円=総額670万円を渡した。深夜にどうやって用意したのだろうか? 元グランドスタッフの小山氏は

「近隣用ホテル一覧があるのです。地上スタッフは片っ端からホテルに電話して仮予約したはずです。また、各部署には緊急用の金庫があって、中に現金がある。今回の670万円はおそらく各部署からかき集めたのだろう」

 乗客の丸山氏は羽田に戻った際の空港側の対応について

「飛行機から降りると翌日の代替機の質問コーナーやホテルの予約などのカウンターができていました。さらにその先にタクシーの手配の係までいて完璧でした。スムーズに行くように手配してくれました。誰一人声を荒らげる人はいませんでした」


(『ABEMA的ニュースショー』)

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