クロアチアサッカー協会(HNS)は2月28日、同国代表を率いるズラトコ・ダリッチ監督の『ザ・ベスト・FIFAフットボールアウォーズ2022(通称 The Best)』に対する声明を掲載した。
先月27日、FIFAが主催する『The Best』の各賞が表彰された。同賞は、2021年8月8日から2022年12月18日までの期間において、クラブと代表チームで活躍した選手および監督を表彰するもの。各賞の選出方法は、FIFAに加盟する各国代表チームの監督とキャプテンに加えて、世界中のジャーナリストとファンの投票によって決定される。今回は男子最優秀賞をリオネル・メッシが、最優秀監督賞をリオネル・スカローニ監督が、最優秀GK賞をエミリアーノ・マルティネスが受賞し、カタールW杯で優勝したアルゼンチン代表が独占する形となっていた。
FIFAはパリで行われた表彰式に伴い、各国代表チームの監督とキャプテンの投票先も公開。しかしそこで、投票権を有しているはずのダリッチ監督が『The Best』に参加していないことが明らかになっていた。そして翌日、同指揮官はHNSを通じて同賞に対する遺憾の意を表明した。
「私は、クロアチア代表チームに対するFIFAの態度に失望している。なぜなら、代表チームとして成し遂げたすべてのことに基づいて、我々は世界のサッカーを統括する組織から、これまで受けた以上の敬意を受ける資格があると強く信じているからだ。カタールW杯とUEFAネーションズリーグの両方でベスト4に入ったのは、クロアチア代表だけ。世界最強のチームであるブラジルとの試合に勝利し、世界中の一面を飾った我々は、フランスと並んで、直近のW杯2大会で2つのメダルを獲得したチーム。今年、我々はパリでフランスを、コペンハーゲンでデンマークを破り、ブラジルとベルギーをワールドカップから追い出した。EURO2020以降、23試合を戦ってきて、負けたのはたった2回だ」
さらに、ダリッチ監督は各賞にも言及。クロアチア代表から最終候補者になったのは、男子最優秀賞にノミネートされたルカ・モドリッチただひとりだけ。この受け入れがたい結果について、同指揮官は心境を吐露している。
「男子最優秀賞にノミネートされた14人を見ると、偉大なルカ・モドリッチを除いて、その他のクロアチア人選手はどこにいる? 最終候補に残った選手や監督に多大な敬意を払っているから、彼らの名前を挙げたくはないが、FIFAクラブワールドカップで優勝し、カタールW杯でも輝かしい活躍をしたマテオ・コヴァチッチは、この候補としてふさわしくなかったのだろうか? ヨシュコ・グヴァルディオールの名前はどこだ? 彼はW杯とブンデスリーガの両方で、ほとんどのメディアからベストイレブンに選出されている。そして、ドミニク・リヴァコヴィッチは、カタールでの活躍を以ってしても、最優秀GK賞の最終候補者5人に入る資格がなかったのだろうか?」
「最優秀監督賞の最終候補者の5人は、私が非常に尊敬する監督ばかりだ。でも、代表チームの監督が3人もいて、その中にUEFAネーションズリーグの決勝トーナメント進出と、カタールW杯でのメダル獲得を両方成し得たものはひとりもいない。(候補者に入った)モロッコの監督と選手らのW杯での成功には敬意を表するが、彼らと対戦した2試合では、最初は引き分け、2度目はクロアチアが銅メダルを獲得している」
最後にダリッチ監督は、人国約400万人の小国ながら世界中を熱狂させた功績と事実を認めて欲しいと、切実な願いを口にしている。
「もし、イングランド、ブラジル、スペイン、ドイツ、イタリアの選手や監督が、我々のような結果を残していたら、サッカー部門におけるありとあらゆる賞の候補に挙がっていることだろう。クロアチア、クロアチアの代表チーム、クロアチアの選手、そして私自身に対して、もっと敬意を払って欲しい。FIFAは、クロアチアのような小さな国が世界の大国と戦えるという事実を広めるべきだ。以上のことを考慮して、私は今年の『The Best』には参加しないことを決めた。もちろん、今回受賞した選手や監督には、ふさわしいお祝いを申し上げたい。特にルカは、4位という素晴らしい結果を残してくれた。私にとっては、常にナンバーワンだけどね」
なお、クロアチア代表の主将ルカ・モドリッチは男子最優秀賞の投票を行い、1位にカリム・ベンゼマ、2位にリオネル・メッシ、3位にキリアン・エンバペをチョイスしている。