世界の注目がウクライナに集まるなか、依然内戦が続くソマリアとイエメン。この終わりのない武力紛争に解決の道筋はあるのか。
そんなソマリアやイエメンで、テロ組織の投降兵や逮捕者、ギャングなどの脱過激化・社会復帰支援や過激化防止を実施している日本人がいる。
ニュース番組『ABEMAヒルズ』では『紛争地で「働く」私の生き方』(小学館)を出版した永井陽右氏に「テロ組織から若者を脱退させる方法」と「紛争地で憎しみの連鎖を解く方法」を聞いた。
「全面的に信じてもらい、投降兵を募る」ことは容易ではないと思うが。
「関係構築は1日ではできません。何度も向こうに足を運んで、根気よく顔を見せる。最初は『この外国人野郎め、敵だ』と言われても、何度もこちらから姿勢を見せることがとても大事です。そうした中で、彼ら一人ひとりが『この人本気で(僕のために)言っているんだ』と徐々に心を開いてくれました」
この活動は現地の人も敬遠するほど、命の危険と隣り合わせだと思うが。
「プロとして徹底的な危機管理のもとで任務を遂行しているが、それでもやはり熾烈な紛争地なのでリスクをゼロにすることはできません。現地では現地人スタッフ、政府、軍の人々など多くの方々と密に連携しています」
この活動をして11年。振り返ってみて、今までの道のりから見えてきたことは。
「テロ組織を含む武装勢力にいるほとんどの兵士たちが若者だと気づきました。彼らが若者だということは忘れられがちで、“人殺しの奴ら”というレッテルを貼られてしまったりするのです。しかし、彼らも大きな可能性を彼らも持っているんだと学びました」
ジュネーブで国際規範を作ろうと活動しているそうだが、どんなことを訴えようと考えているのか。
「若者はテロ組織を含む武装集団に関わっているとしても変わらず若者である。これがとかく忘れられがち。こうした組織に今いる人や、脱退した若者たちを“若者と認識”して、若者として復活できるようにすることができれば、ものすごい可能性を秘めた話になります。そのため、まずは彼らも若者なんだというところをみんなで認識するところから始めるのです」
道のりは長いと思うがこの先はどんなスパンで考えているのか。
「最終的には10年ぐらいのスパンで見て、1つか2つ国際規範を作っていきたいです。その国際規範の下でこうした組織にいる若者たちを“若者としても”捉えて、復活できる環境・世論を全世界的に作っていきたい。それができれば終わりない武力紛争への一つのアンサーとなります」
(『ABEMAヒルズ』より)
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