日本代表FW三笘薫の活躍は周囲にまで大きな影響を与えているようだ。今シーズンからブライトンに加入した三笘は年明け以降リーグ戦7試合に先発し4ゴール、公式戦全体でも9試合で5ゴールと「好調」と言える活躍ぶりだ。しかし、直近のリーグ・フルアム戦では、試合開始直後に演出された決定機以外は相手が用意してきた三笘対策によって封じられてしまった。
ただ、この三笘対策は日本代表FWに守備能力の高い選手を対峙させるというものではなかった。三笘に対して、1人ではなく複数人で守備につくことで数的優位をつくり出すというものである。そのため他の選手へのマークは薄くなり、その分三笘以外のブライトンのイレブンはより自由に動き回ることができる。つまり日本代表MFが相手ディフェンスを夢中にさせることによって、シーガルズ(ブライトンの愛称)の面々がさらに輝きを増しているということだ。
これは三笘がプレミアリーグ屈指のドリブラーであり、対戦する選手たちにとって大きな脅威となっているからに違いない。日本代表FWの活躍ぶりが同僚たちにも好影響を与えているのだ。今回はそんな三笘の活躍によって輝きを放つブライトンの選手たちを紹介していきたい。
三笘との連係を深めたいエストゥピニャン
エクアドル代表DFエストゥピニャンは、三笘の相棒を務める左サイドバックの選手だ。三笘と同様に今シーズンから加入したプレイヤーであり、同い年でもある日本代表MFとは何かと縁が深い。そんなエクアドル代表DFは、試合では三笘と縦関係のポジションにいるため、最もパス交換をする選手だと言える。しかし、まだ日本代表FWとの連係を深め切れているとは言えず、直近のフルアム戦でも対策された三笘を十分にサポートすることはできなかった。
ただ前述したように三笘には複数のマークがつくため、エストゥピニャン自身はフリーになりやすい。そのため外に張ることの多い日本代表FWが作った中のスペースの有効利用や、三笘が中に切り込んでいった際にできる大外のスペースを使った精度の高いクロスが期待される。ブライトンの指揮官デ・ゼルビも三笘に対して、さらなるピッチの中央でのプレーやチームメイトとの絡みを要求している。日本代表MFが相手から最大限に警戒されるようになった今、エストゥピニャンとの連係はより重要性を増しているのだ。2人がお互いの良さを引き出し合う関係性を作れることに期待したい。
三笘が開けたスペースを上手く活用しているマーチ
三笘とは逆サイドに位置する、イングランド人FWソリー・マーチにも注目だ。マーチの主戦場は右サイドであり、左サイドを主戦場とする日本代表FWとは逆の位置関係にある。2人のポジションは離れているため、一見すると関係がないかのように思われるかもしれない。しかし三笘対策によって、日本代表戦士のいる左サイドへと相手守備陣が重点的に注意を向ければ、右サイドに広大なスペースができる。実際イングランド人FWはそのエリアを有効的に使っており、今季はリーグ戦で5ゴール4アシストと得点への直接関与数ではチーム内でトップに立つ。警戒されている三笘をうまく使ってゴールを奪い、輝きを放っているようだ。
このように三笘薫は、自身でゴールやアシストを決めるだけでなくチームメイトの活躍にも影響している。他にもW杯王者のアルゼンチン代表でスタメンを張るマクアリスターや、新進気鋭の若手ファーガソンとの連係も見ものだ。シーガルズの選手は質が高く三笘を警戒しすぎればすぐにその隙をついてくるだろう。
逆に、全体をカバーしようとすれば今度は日本代表FWが守備陣を切り裂くため、対戦チームにとっては戦いにくい相手なのである。フルアム戦は完封されてしまったものの、今のブライトンならばすぐさま修正し適応することは想像に難くない。これまで以上に三笘をうまく使った同僚たちが輝きを放つことに期待したい。
(ABEMA/プレミアリーグ)(c)aflo