FAカップ5回戦、ストーク・シティ(イングランド2部)vsブライトンで、日本代表MF三笘薫がアシストという結果を残してチームを勝利に導いた。両チームスコアレスで迎えた30分、イングランド人DFルイス・ダンクからのスルーパスに三笘が反応、ストークDFスターリングの背後を完璧に取り、中央へと折り返した。最後はアイルランド代表FWエヴァン・ファーガソンが仕留めている。
このアシストはこれまでの三笘とは違った。プレミアリーグでは前節フルアム戦で徹底的な対策を敷かれるなど、多くのクラブが「三笘封じ」の作戦を練る中、日本代表MFも新たな形で得点に関与。得意とするドリブルではなく相手選手の背後を取る動き出しからのアシストだった。
三笘薫ら4選手の意志疎通による完璧なアクション
スルーパスを出したセンターバックのダンクにボールが入った場面、相手選手のスライドが遅れたのに加え、ブライトンの左サイドバック・ランプティが同サイドに開いたことによってストークMFが引っ張られ、縦にパスを通すためのスペースがポッカリと空いた。そのタイミングで三笘は足元にボールを要求するふりをして裏抜けの動きを見せた。ダンクはその動きに合うパスを供給し、ファーガソンもその折り返しを予測してゴールに向かって走り出していた。このゴールはブライトンの4選手の意思疎通によって生まれていたのだ。
試合後、ブライトンのデ・ゼルビ監督は三笘を「ベリースマート」と絶賛し、スルーパスを出したダンクに対しても「正しい瞬間、正しいタイミングでスペースを狙った」と三笘との連係について賛辞を述べている。
三笘にみられた「変化」とは
この試合、ドリブルで相手選手を翻弄するプレーは目立たなかったものの、普段よりやや中央寄り、ピッチを縦に5分割した際にサイドと中央に挟まれたハーフスペースと呼ばれるスペースでのプレーが多かった。デ・ゼルビ監督は2月の会見で三笘に対して「もっと中に入ってチームメイトと絡んでほしい」と要求しており、監督からの期待にしっかりと応えた形で結果をものにした。
その要因として三笘の意識があったのはもちろんのこと、ストーク戦は普段左サイドバックでコンビを組んでいるエクアドル代表のエストゥピニャンではなく、ランプティだったことも挙げられるだろう。右サイドバックが本職のランプティはエストゥピニャンのようにドリブルで仕掛けて高い位置に積極的に上がるわけではなく、頻繫に大外のレーンでポジションを入れ替えながら相手選手を自らに引き付けるなど、どちらかと言えばサポートの意識が強かった。彼の存在で三笘が内側のレーンでボールを引き出しやすい環境となっていた。
三笘が足元でボールを受けて仕掛けることが得意であることは周知の事実であり、相手チームも当然のように警戒している。このドリブルという大きな武器に加え、この試合では裏抜けという「オフザボール」でも違いを見せたため、“三笘対策”はさらに困難になるだろう。
今週末、ブライトンはプレミアリーグ第26節でウェストハムと対戦する。前節に軽傷を負ったため出場の可否は直前にならないとわからないが、ウェストハムの右サイドバック、ツォウファルはアストンヴィラ時代に誰も止めることのできなかったグリーリッシュを完封するなどマンマークに定評のあるサイドバックだ。早速、三笘に「オンザボール」と「オフザボール」との使い分けが重要となるテストの場が与えられそうだ。
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