圧倒的な記録を残した1月を経て迎えた2月、日本代表・三笘薫に対してプレミアリーグの各クラブは“厳戒態勢”を敷いてきた。公式戦5試合で4得点1アシストの三笘を野放しにするはずもなく、2月に入ると、あからさまに“三笘シフト”の対応が見られるようになった。それ自体が強者の証明ではあるが……3月の初戦を前に「試練」が訪れた三笘の2月を振り返る。
三笘薫・ブライトン戦は3試合 3月のプレミアリーグ試合スケジュール
ボーンマス戦は圧巻の活躍&決勝弾でヒーローに!(2月5日)
この日の三笘はまさにヒーローだった。ブライトンの攻撃において圧倒的な存在感を示し、常にボーンマスの脅威になり続けた。圧巻のドリブルを見せたのは35分、ボックス内でボールを受けた三笘はイングランド人DFアダム・スミスと対峙すると、得意の切り返しで相手を翻弄。経験豊富なDFからアンクルブレイクを奪う絶技で決定機を創出した。
三笘を中心に攻め続けるが、ブライトンはなかなかゴールを決められなかった。嫌なムードが流れ始めたなか、87分についに試合の均衡を破る。味方のクロスボールにストライカーばりの嗅覚で反応した三笘がヘディングで合わせ、値千金の決勝弾を叩き込んだ。
試合終了後のインタビューでは「自分でもこのゴールには驚いています。ヘディングは得意ではありませんから」と三笘は謙虚な姿勢で決勝ゴールを振り返った。
クリスタルパレス戦は決定機創出も決めきれず(2月12日)
互いの誇りがぶつかり合う“M23ダービー”に出場した三笘だが、この試合は彼自身としてもやや悔しい結果に終わってしまった。三笘がボールを持った瞬間、相手のSBと中盤の選手の2枚が寄せてくる対応を見せ、得意の形でドリブルさせてもらえなかった。
それでも25分、三笘は中へドリブルで仕掛けて、敵陣深くに侵入。イングランド人MFソリー・マーチとのワンツーで抜け出し、ボックス内でフリーとなって決定機を迎えた。しかし、右隅へ狙い澄ましたシュートはGKの好セーブに阻まれてしまった。
試合も引き分けに終わり、現地紙「Success World」はこの日の三笘には10点中6点という評価を与え、「前半の決定機以降は沈黙してしまった」と締めくくった。ドリブルで違いを生み出せず、公式戦連続得点も「3」でストップしてしまうなど悔しい試合となった。
フルアム戦は三笘が新境地を切り開く(2月19日)
上位対決となったフルアム戦も、三笘は厳しいマークに晒される。三笘にボールが入ると2人がかりで対応され、得意のドリブルは鳴りを潜め、試合も敗戦に終わってしまった。
ただし、特筆すべきプレーもあった。3分、三笘は低い位置から中へのドリブルを仕掛ける。味方が空けたスペースにドリブルで切れ込み、4人を引きつけて逆サイドへ展開。一連の流れでブライトンはシュートまで持っていき、三笘はチャンスの起点となった。
フルアム戦前のインタビューでブライトンの指揮官、ロベルト・デ・ゼルビ監督は「もっとピッチの内側でチームメイトと一緒にプレーすべき」とメディアを通してメッセージを伝えており、このプレーはそのオーダーに応える形でもあった。大外で仕掛ける従来の形に加え、プレーの引き出しを増やすことで、チームに新しいオプションが生まれそうだ。
世界最高峰と言われるプレミアリーグに徐々に広がる“三笘シフト”だが、彼はその試練に真っ向から立ち向かい、新境地を開拓しつつある。幸運だったのは、三笘対策が進む一方で、延期の影響もあって次の試合までの期間が通常よりも空いたことだ。チームとしても三笘としてもアップデートして万全の状態で次節に望めるはずだ。
3月、三笘がプレミアリーグで再び、世界を驚かせてくれるのか。その期待は高まるばかりだ。
三笘薫・ブライトン戦は3試合 3月のプレミアリーグ試合スケジュール
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