エホバの証人輸血問題 現役幹部が覚悟の証言「疑念が確信に変わってその教えは間違っている」厚労省のガイドラインも無視
【映像】現役幹部が明かす内部文書「S―55」の中身
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「これが長老(幹部)たちがアクセスする教団側のプラットフォームになります」(エホバの証人 現役幹部)

【映像】現役幹部が明かす内部文書「S―55」の中身

  幹部しか入れないというサイト。そこから「教団からの指示」が書かれたページにアクセスできるという。

「S―55」という内部文書。タイトルには「親として子供を血の誤用から守る」と記されている。

エホバの証人輸血問題 現役幹部が覚悟の証言「疑念が確信に変わってその教えは間違っている」厚労省のガイドラインも無視
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 文書には「子供のために輸血を拒否しなければなりません」「親は決して確信を弱めてはなりません」と記されており、病院などが輸血を求め、裁判所が法的な手続きを行なった際の対応についても記載されている。

 エホバの証人とは、100年以上前にアメリカで設立したキリスト教系の宗教団体であり、世界中には約850万人、国内には約21万人の信者がいる。聖書に「血を食べてはならない」という教えがあることから、輸血を拒否することでも知られる。

 内部文書に関する幹部の証言は続く。

「元々は英語でアメリカ本部が出したものを日本支部が受け取って、末端の各会衆(地区)に送られてきて指示が徹底される」「輸血を受け入れたがために破門になるとか、もしくは何らかの処罰を受けるということは実際に知人の間でも目撃したことがあります。(破門されると)たとえ家族であったとしても基本的には一切の交流・話をすることも禁じられる」

 厚生労働省は去年12月「輸血などの医療行為を受けさせないことはネグレクトにあたる」とガイドラインを明示したが、この現役幹部は「厚生労働省のガイドラインが明示された後も教団の輸血拒否の指示は続いている」と明かした。

 教団の日本支部は外部に向けて

「輸血やその他の治療法を受け入れるかどうかは各人の個人的な決定であると考えており、強制されたり圧力を受けたりして決めることではないと教えています」

 と発表しているが、実際の現場の指示は異なるのだ。

「比較的最近、今年に入ってから(幹部に対して)最新の改訂部分に関する説明がなされたので、まさに最新のものとして取り扱っているという理解で間違いありません」(現役幹部)

 今回、証言した理由については

「組織の教理の矛盾であるとか倫理観からの逸脱ということに関して少しおかしいなという疑念を持つようになったのがかなり前になる」「その疑念が確信に変わってその教えは間違っているというふうに考えています」(現役幹部)

 ここからは現役幹部の取材に立ち会ったテレビ朝日社会部 厚生労働省担当の松本拓也記者にも話を聞いていく。

 証言した幹部に危険は及ばないのか?

「彼は幹部しか入れないログイン画面まで見せてくれましたが、幹部であっても教団側に監視されている感じがありました。ログインすると位置情報などが表示されてGPSで場所が把握されることに加え、調べた内容のログが飛びます。かなりリスクを負ったなかで取材に応じてくれたのです」

 それだけのリスクを負ってまで証言した理由は?

「取材のなかで『外部に実態を知ってほしい』という強い想いを感じました。彼は7、8年前から教義に違和感を覚えており、ずっと心に残っていたが、抜け出せない仕組みがあったそうです。いつか世の中に話したい、とタイミングを見計らっていたのでしょう

 続いて、緊迫した事態において輸血拒否がもたらす影響についてみていく。

 輸血が必要な場面というのは、かなり“緊急を要している”が、緊急時にエホバの証人が紹介するという輸血以外の治療を施してくれる病院のリスト・他の治療方法は機能するのか、という点に松本記者は

「いわゆる“宗教2世”として育てられたエホバの証人 問題支援弁護団 田中広太郎弁護士に話を聞くと、信者である自身の母親が大量出血した際も本人が輸血を拒否。結果として助かったもののエホバの証人による病院のリスト・他の治療法などは『自分の場合は役に立たなかった』と話しています」

エホバの証人輸血問題 現役幹部が覚悟の証言「疑念が確信に変わってその教えは間違っている」厚労省のガイドラインも無視
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「取材をした幹部も、『エホバの証人の医療機関連絡委員には医療従事者もいる』としながらも、『多くは知識のない信者で、輸血をせずに手術などを受けてくれる病院も信者が自ら回って調べてという感じでやっているため、当時は受け入れてくれても、いざというときには担当医師が転勤していたり辞めていたりで受け入れてくれないような例もある』と話していました」

 実際に1985年、当時10歳の小学校の子供がダンプカーにはねられ重症となったが、親が信仰を理由に輸血を拒否し、その後死亡したという事件もあるのだ。

 宗教社会学に詳しい専門家である北海道大学大学院の桜井義秀教授は

「子供を保護しているのは親だけではない。社会全体で保護している。輸血拒否などを含む自分の命に関わるような重要な選択というのは社会標準のやり方が適用されるべき」

 つまり、子供の将来を考え最善の治療を受けさせるべき、と指摘する。まして、子供にとって親の言うことは絶対的な力を持つのだ。

「厚生労働省の加藤大臣も『実態を把握していく』と話しています。どこまで国が介入していけるのか、難しいところもありますが実態把握を元にその後の手段を講じることに期待したいです」(松本記者)

(『ABEMA倍速ニュース』より)

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