ドラフト会議も4回目となれば“力戦”を求めるのが、将棋指しの性かもしれない。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2023」のドラフト会議が4月1日に放送される。今回もリーダーを務める広瀬章人八段(36)は例年コンセプトを明確にしたチーム構成をしてきたが、今年は「特に考えていません」と明言。そのかわりに「ドラフトをおもしろくしたい、かき乱したいと思っています」と、本戦の前から盛り上げ役を狙う。
麻雀、早稲田、麻雀。過去3回の団体戦では、広瀬八段の趣味や出身大学という関連から仲間を選んだ。それぞれのチームで結束を強め予選を突破。自身もフィッシャールールへうまく対応し活躍してきた。「最後の最後まで勝敗がわからないところがおもしろさでもあり、やっている方としては難しさもあります」と、見た目の楽しさと指す上での苦労をまとめた。「時間はいくら残しても勝負どころで使うとなくなってしまう。ペース配分、タイムマネジメントが難しいですね。ぎりぎりのところでしっかり指せる人と、苦手な人はどうしてもいるので、そういったところは慣れても難しいというのが正直な感想です」と、経験値ではカバーできない部分も見えてきたという。
ルールのおもしろさ、難しさを把握し、盤上で見せるパフォーマンスも安定してきた。チーム動画にもいろいろ挑戦した。次にどこでファンを楽しませるかといえば、やはりドラフトだ。1回目のドラフトではリーダー棋士同士が相手の様子をうかがい、重複を避ける傾向が強かったが、回を重ねるごとに、指名が重複してでも取りたい棋士を取る、むしろくじが引きたいという意見も増えてきた。「ドラフトをやっていて思うのは、予想外の人が予想外の人を選ぶんですよ」。事前に作戦を立てても、あっさり崩れてしまうことも珍しくない。ならば、ぶつかることを承知の上で取りたい人をまっすぐ取りにいく方がシンプルだ。「あまり深く考えず人気のありそうなところから攻めていきます。どうしても若手が中心になると思いますが」と、若手有望株の名から書いていく。
広瀬八段自身は毎回本戦にまで進んでいるが、頂点を争うところまでは行けていない。「最終的には本戦を勝ち上がっていけるチームになればというのが目標です」。ドラフトからファンを楽しませにいく構想が、初の優勝へとつながるか。
◆ABEMAトーナメント2023 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり、今回が6回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士14人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全15チームで行われる。予選リーグは3チームずつ5リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)