「自分が放水に行けるならよっぽど楽だった」 細野豪志氏が語る緊迫の“3.11”対応とその裏側 有事対応に橋下氏「政治家は現場に行くべきだ」
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 元環境大臣・元原発担当大臣で自民党の細野豪志衆院議員が11日のABEMANewsBAR橋下』に出演。東日本大震災を振り返るとともに、有事の対応について橋下徹氏と議論を交わした。

【映像】2011年当時の総理補佐官&原発担当大臣の細野氏

 地震発生時は議員会館の会議室で打ち合わせをしていたという、細野氏(当時は総理補佐官)。その後、すぐ官邸に向かったという。

 「菅総理はすぐに“自衛隊に行動”ということになり、しばらくして津波が発生。いろいろな自治体に連絡したが、連絡が取れないところが出てきた。官邸の中で話をしていたのは、『場合によっては街が消滅したのではないか』と。夕方には原発の問題も重なり、おそらく世界でどこも経験したことがないような事態だった」

 官邸内が状況把握や各所対応に追われる中、細野氏には原発対応のサポートへ入るよう指示が。当時の菅直人総理が東電本店に乗り込んで行ったというニュースがあったが、その時、細野氏はどう動いていたのか。

 「今から菅総理が来るからきちんと受け入れ態勢を作ってくれと、東電本店に先遣隊で送り込まれた。その数時間前に東電撤退騒動というのがあって、吉田所長から初めて電話を受けたのだが、現場も含めてギリギリに追い込まれていた。これはまずいということで乗り込み、撤退はするなと。政府と東電とで統合本部を作り、総理が1時間ほどでいなくなった後は1人で残ることになった」

 サバンナ高橋茂雄は「東電に行って『撤退するな』と、一会社に総理の権限でそんなことができるのか」と驚く。細野氏は「自衛官は『事に臨んでは危険を顧みず』と宣誓していて、総理には指揮権がある。ただ民間の電力会社にどこまでやらせるかというのは、まだ決着がついていない。ただ東電は“フクシマ50”と呼ばれる人たちが残った。よく奇跡と言われるが、技術的な問題よりはあの現場に残ったことがそうだ。後にアメリカやフランスに行って状況を説明したが、みんな小さな声で『うちの国ならとても残らない』と。個人主義の国だと、『俺は家族の元に帰る』という人が必ず出る」と答えた。

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 橋下氏は「原子力発電の国策民営というか、事故が起きた時に民間企業に背負わせるのではなく、そこは公務員の立場などに切り替えられるなど、前提の仕組みを作るべき。民間に対して「非常事態だから」と言って強制させるのは反対だ」との考えを示す。

 細野氏は「4号機のプールの水が空になっていたら、それこそ東日本全体が危なくなる、最悪の事態になるというのはおおよそ想像ができた。そうなれば、例えば決死隊を作って最低限の水を入れる、スラリーをぶち込んで封じ込めるといったことやらなければならない。自衛隊にも線量の制限があるため、“上限を取っ払ってくれ”というのはかなりやり取りした。当時防衛大臣の北澤さんの答えは、『自衛官を守るためにそれはダメだ』『代わりに線量いっぱいまでやるから』。アメリカではどんな高い線量でも現場に行くよう軍人に指示を出せるが、本人が希望する場合という条件がある。命を懸けて英雄になる人が出てくるということが前提だ。これは核戦争を想定していて、攻撃されることがあった時に最後の砦のところまで考えている。そこは日本との差を感じた」と答えた。

 実際に細野氏は現場でどのようなことを考えていたのか。「空中から放水した後、地上から警察、消防、自衛隊が放水した。三者が三すくみになりながら、“行くなら行くぞ”と。警察のある幹部から電話があって『細野補佐官、その場所は安全か?』と聞かれたが、答えられなかった。答えは1つ、『行ってくれ』だ。そう言った以上は、被害が出て重篤な状態になったらこちらが責任を取るしかない。海江田さんもかなりの時間、東電の本店にいたので、2人でさんざん話したが、ここで万が一被曝して危機管理の要員が深刻な事態になったら、その時には我々は腹を切ろうと。私が行ってできるならよっぽど楽だろうと、本当に思った」。

 そうした有事における対応について、橋下氏は「本当に大変な立場だったとは思うが、政治家が“腹を切る”と言ったって辞めるだけだ。僕が国政政党を作った時、制度として作ろうと思って国会議員から猛反対されたが、ああいう現場には誰か政治家が行くべきだ。責任をとる=職を辞めるくらいでは、国民に対して命令を出すには足りないと思う。指揮官が行くかどうかは別として、政治家が邪魔にならないような形でも現場に行くべきだ。現場を共有することで初めて命令を出せると思う。成熟した民主国家でそこがない限りは、政治家の指示に国民はついてこられないのではないか」と述べた。(ABEMA/『NewsBAR橋下』より)

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