将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2023」のドラフト会議が4月1日に放送される。山崎隆之八段(42)は、リーダーとして2期目の参戦。前期は同世代のメンバーで“チーム・厄払い”と独自のカラーを見せたが、今期の構成については「自分自身もまだ迷っている」と“戦型”は定まっていないという。「(他のリーダーの)顔色見ながら、ぎりぎりまで迷おうかなと思っています」と直感を頼りに最高の編成を狙う。
独自の世界観と変幻自在な指し回しで多くのファンを魅了する山崎八段。前回は初めてリーダーを務め、松尾歩八段(42)、阿久津主税八段(40)と“チーム・厄払い”を結成した。定跡にとらわれない予測不可能は指し回しには、仲間をも「一生分かり合えない」「魔法を見ているみたい」と呆然とさせたが、個人3連勝を飾るなどチームをけん引。惜しくも予選敗退を喫し、「すごく楽しい一時だったんですが、その期間がすごく短かったので、そこだけがすごく悔しかった」と振り返ったが、今年も“山崎ワールド”の展開に早くも注目が集まっている。
リーダー2期目の今期は、ドラフト会議を前に苦悩の表情を浮かべる。「第1候補が決まれば第2候補の方もだいたいイメージはできているんですが、第1候補をどうするかかなり迷っています。自分としては、絶対的な強いリーダーとスーパーエースがくっつくのを剥がしにいくべきか、強豪なんだけど出るチャンスがなかった人を選びにいくべきなのかとか…。マルチで活躍できる方など考え出すと、3パターンぐらいで迷っています。(他のリーダーの)顔色見ながら、ぎりぎりまで迷おうかなと思っています」。こうなれば、ファンとしてもチーム山崎のメンバー予想は最も難しいと言えるかもしれない。
チーム構成には頭を悩ませる山崎八段だが、フィッシャールール攻略に向けて、しっかりと戦略を練っている様子。「もともと適性がある人は別として、すごく練習が大事。これから予選が始まるに向けてチーム練習をしっかりして、個人でもしっかり勝てるようにしたいです。私自身としては、昨年の反省で急所でチームが苦しくなった時にしっかり勝てるように、今年はなんとか頑張りたいなと思います」。大会も6回目の開催とありフィッシャールール経験者も増えてきたが、大切にするのはやはり地道な“練習”。今期こそ予選突破を目指し、着実な前進を誓った。
今期は同門の森信雄七段(71)門下から、糸谷哲郎八段(34)と千田翔太七段(28)と2人の弟弟子も出場する。糸谷八段から「ハードなチーム動画は山崎八段に」と打診されていたが、「それはないですね(笑)」とピシャリ。「僕も将棋だけで行くと『この人を選びたい』とかあるんですけど、その人を選ぶと激しい動画になるかもしれないというのもあって、ちょっと避けようかなとか思っていたりとか(笑)。私は去年同様に、落ち着いた動画で行けたらと思います」。山崎八段が“選びたい”という棋士は一体だれなのか、ハード系チーム動画は回避できるのか、期待は高まるばかりだ。
山崎八段の目標は明確に「チームの勝利」だ。「今年は個人賞をできたと伺っていますので、個人賞の上位にも食い込めるような活躍を狙っていきたいです。もちろん、チームが勝つのが大切。チームの勝利につながる(個々の)勝ちを挙げるのが目標です」。今期はどのような爆発力を見せてくれるのか。まずはどんな自由な指名を繰り出すのか、ワクワクが止まらない。
◆ABEMAトーナメント2023 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり、今回が6回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士14人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全15チームで行われる。予選リーグは3チームずつ5リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)