子宮頸がんワクチン 医師が男性への接種も勧める理由「感染確率0にできる研究も」
【映像】イギリスとカナダは80%超え。なぜ、日本人は「HPVワクチン」を打たないのか?
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 子宮頸がんはワクチンで予防でき、健診も非常に有効だ。しかし、世界に比べて日本の接種率と検診への意識は共に低いという。その要因を木下喬弘医師に聞いた  。

【映像】イギリスとカナダは80%超え。なぜ、日本人は「HPVワクチン」を打たないのか?

 そもそも子宮頸がんは、性的接触のある女性の50%以上が一生に一度は感染すると言われる「HPV(=ヒトパピローマウイルス)ウイルス」が原因とされ、感染者の一部が子宮頸がんに罹患するという。日本では毎年1.1万人が子宮頸がんに罹患し、2900人が亡くなっている。

 厚労省が2019年に調査した「HPVワクチンを3回接種した女性の割合」は、カナダ、イギリス、オーストラリアが約80%と非常に高いものの、日本は1.9%と非常に低い。

子宮頸がんワクチン 医師が男性への接種も勧める理由「感染確率0にできる研究も」
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 世界では当たり前に接種されている「HPVワクチン」だが、なぜ日本の接種率は低いのだろうか。木下医師は「日本ではワクチンの“積極的勧奨”を中止した経緯がある」と明かす。

「日本ではワクチンを打つことによって『手足が動かなくなる』『学校に行けなくなった子が出た』といった報告があり、積極的勧奨を中止した。その影響で80%ほどあった接種率も実質0と言える1%未満になり、女性を“子宮頸がんから守られない”状況が10年ほど続いてしまった。その後、厚生労働省も安全性に対する研究を行い、『問題ない』と して2021年11月に勧奨再開をしたが、まだ接種率は低く最新の厚生労働省の資料でも(接種率は)対象年齢の30%ほどで世界と比べると低い。

 この10年間、国もメディアも『子宮頸がんなどを防げるワクチンがあるんですよ』といったことをほとんど伝えてこなかった。全く知らないという方もかなり多く、まだ『危険なワクチンなのではないか』という認識を持っている人もいるだろう」

 「HPVワクチンに対する認識が改善されていない」。そう指摘する木下医師は「子宮頸がんには3つの特徴がある」として次のように解説する。

「1つ目は30代の罹患者が1番多い“若い人がなるがん”ということだ。2つ目は、検診時点で前がん病変を見つけると、がんになる前に治療できるので検診が非常に有効ということ。最後の3つ目はHPV(=ヒトパピローマウイルス)と いう“感染症が原因になるがん”ということだ。珍しくはあるが、ワクチンを打つことで防ぐことができる。

 20 歳を超えたら2年に1回子宮頸がん検診を必ず受けていただきたい。(子宮頸がんは)ほとんどの場合、がんになる前の段階で治療できるし、子宮を残す治療を受けられる場合が多い。子どもを持つこともできるので、進行したがんの状態で見つかるのではなく早期の症状がない段階で見つけて治療を受けることが何よりも重要だ」

 “予防と早期発見が可能”ながん。そう語る木下医師は、性交渉で感染する可能性が高いことについて、「男性のワクチン接種も非常に重要だ」と訴えた。

「異性愛者の場合は基本的に男性から女性に感染して、女性からほかの男性に感染が広がっていくケースが多い。男女どちらも7割ほどが接種すれば、感染確率は限りなく0にできるという研究もある。男性の接種も非常に重要だ。

 日本では97年度生まれ以降なら無料でワクチン接種できる。男性も保険適用にはなっていて、9歳以上の男性は“4価のHPVワクチン”を受けられる。ただ、自費になってしまので3回接種だと大体5万円ほどの出費になってしまう。それでも(HPVウイルスは)男性のがんの原因にもなるので、男児からでも接種を検討していただきたい」

(『ABEMAヒルズ』より)

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