「私は当事者ではないけど、やっぱりショック」。女優・宮地真緒がショックを受けた出来事。それが、長年マネージャーを務めてきた所属事務所の社長、井出智さんの病気だった。
「私は子宮頸がんを患っていて、標準治療をしてきたが、2022年の10月に標準治療が終わってしまい、今は緩和のステージに入っている。患部に痛みがあるので、痛み止めを飲んで緩和している状況」(芸能プロダクション「Andmo」の代表取締役・井出智さん)
井出さんは30代半ばだった2019年に、腹痛が続いたことがきっかけでクリニックを受診。その後大学病院で検査したところ、がんが発覚した。子宮全摘出の手術や放射線治療などによって治療は終了したものの、2020年に再発。二人三脚で共に歩んできた宮地は、その経緯を見守ってきた。
「『この人に私の人生を預けよう。もしそれが間違っていたとしても、私は信じてついていこう』と一番最初にお会いしたときに思った」(宮地真緒)
宮地は、井出さんが独立して立ち上げた現在の会社について行くほどの信頼を寄せていた。しかし、井出さんは弱った姿を見せなかったという。
「体調が良くなさそうだなと思うときはあったけど、見えないので。逆に私もいつも通り。私は私の仕事を全うすることが一番の仕事なので、本当に強いなと思う」
「一緒に病院に連れていってもらった。抗がん剤がこれ以上ないことも聞いていたし、治験をやるかやらないかの判断をしに病院に行くときに私も一緒に行った。診察室にも『いいんですか?』と言いながら一緒に入った。でも、先生も井出さんもすごく淡々と状況を話し合っている感じだった。すごく難しいけど、私はこれ以上『頑張ってください』と言えないなと。井出さんが決めて納得して、楽しく笑顔で生きてほしいから、そこに関して私が口をはさむことではない。先生と井出さんが冷静に状況を話し合っているところを目の当たりにしたので、これ以上、私が悲しんだり悔しがったりする場ではないと思った」
抗がん剤治療などを経て、標準治療でできることがない今。井出さんが思うこととは。
「忙しさにかまけて自分の体をないがしろにしていたツケが回ってきた。若かったこともあるが、健康でないと何も始まらないことが分からなかった。もしタイムスリップできるなら、その時の自分にワクチン打つとか『検診行きなさい』という言葉を伝えたい。だから、私の言葉を聞いて『それじゃダメなんだ』と思ってくれる人が一人でも出たら、私がこうやって話している甲斐があったなと思うので、人ごとだと思わないで、女性だったらまず検診に行こうと思っていただきたい。男性でも、自分のパートナーに『検診に行って』という言葉を投げていただきたい」
闘病中でも仕事に全力を注ぐ井出さんの姿を見た所属俳優たちは、自然とがん予防の啓発活動に取り組むようになったそうだ。
身近な人が当事者となったことで、自分の体を大切にすることはもちろん、がんという病気に対しての意識にも変化があったと宮地は語っている。
「がんになったら絶望ではなくて、がんになったからこそ周りが勉強することもある。がんは治さなくてはいけないのかと言われると、私はそうではないと思っている。がんとの共存も、辛い治療をして100%消す人もいれば、明るく楽しく過ごして30%残ったまま生涯を終える人もいる。どちらがいいかはもちろんその人の選択肢だけど、『そういう生き方もできるんだな』と思えたし、『がんは怖いもの。戦わないといけないもの』ではない。病気にならないのが一番いいと思うし、見つかるなら早いほうがいいので、検診はとても大事だなと。自分がなったときに、どうするかの選択肢はたくさんある。啓蒙というほどのものではないかもしれないが、私の声が届く範囲の方にちょっと耳をかしてもらえたらなと思う」
(『ABEMAヒルズ』より)
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