「歌が上手くてもセンターになれない」整形アイドルオーディションを仕掛ける狙いは? 企画したプロデューサー「顔を変えただけで成功するわけじゃない」
【映像】整形アイドルオーディションに潜入
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 「全身整形費用全額無料」と書かれた文字。合格者は美容整形を行い、その代金を運営側が負担するという、整形アイドルプロジェクトが話題を集めている。

【映像】審査方法も「独特」 整形アイドルオーディション 実際の様子

 20日のオーディションを取材すると審査員が参加者の“口の中”をチェック。他にも、顔などを触り、美容整形が可能か、目元やあごなどの肉付き、骨格などにも注目していた。プロデューサーは、再生回数およそ1900万回の人気美容系YouTuberわかにゃんさん。自身も美容整形マニアで、総額1000万円を“課金”したという。

 整形は珍しいことではなくなったものの、大きな声では言いづらい一面もある。オーディションの狙いについて、わかにゃんさんは「内面や技術は良いのに、顔でオーディションに落ちてしまった子を選びたかった。そういう子たちを外見から内面まで含めてプロデュースしていきたい」と話す。

 見た目で人を評価する“ルッキズム”への批判が高まり、美しさにも多様性が求められる時代。『ABEMA Prime』では、わかにゃんさんと議論をした。

 そもそも、このオーディションを企画した狙いはどこにあるのか。

「自分自身もアイドル出身。自信がなかったり、運営に推されなかったり、そうした理由が絡んでメンタル面で辞めていく子をたくさん見てきた」と実体験を語るわかにゃんさん。

 歌やパフォーマンスが良くても、顔でセンターになれない、結局は外見で評価されるという実情を踏まえ、「そこを見ずにメンバーを採ったら、もっと良い子が採れるのではないか」と、整形を前提にした理由を話す。

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 顔を変えずに他の才能で勝負するというやり方もあるはずだが、「会ってみたら歌がうまいのに、書類で落とされて、面接すら行かせてもらえなかった子がめちゃくちゃ多い。結局、アイドルは顔がメインという実態を見た」とわかにゃんさんが言うように、そう簡単にいかないからこその企画なのだ。

 また美容整形には“コンプレックスの克服”という側面もある。わかにゃんさんによると「応募した人にはプライベートでいじめに遭った経験やトラウマを抱えている子も多い。顔を変えたことで自信を持ったり、内面にどんな変化が訪れるのかまでクローズアップしたい」という。

 一方、見た目に対する社会問題の解決に取り組む、マイフェイス・マイスタイルの外川浩子代表は、「美容整形は人生の一つの選択肢でいいと思う。安心安全に美容整形ができ、それで自分らしい人生を生きられるなら良いのではないかと思う」とした上で、3つの課題を指摘する。

「情報開示、カウンセリング、年齢制限だ。これらをクリアしたところで初めて美容整形という道があるのではないかと思う」

 年齢制限について、外山氏が想定しているのは成人年齢の18歳。「結婚や性行同意に制限があるのと同じで、美容整形にも制限を設けた方がいい」というのがその理由だ。

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 ただ、オーディションには「下は13歳、上は37歳」という幅広い年齢層が応募。しかも、わかにゃんさんが「You Tuberとしてコメント欄を見ていると、10代がとても多い。特に中学校から高校に上がり、友達が変わるタイミングでバレないように整形をしたい子が多い」というように、美容整形を望む人は、18歳未満にも非常に多い。

 未成年には当然、お金の問題も出てくる。

 外川氏は「パパ活などでお金を稼ぐ人も出てくる。課題の1つ目にあげた情報開示は、いくらかかって、そのお金をどう捻出したかも含めて全部オープンにしていくという意味。それを踏まえてみんなが選択していくのであればいいと思う」と指摘。

 美容整形には課題もあるが、一般化も進みつつある。だからこそ「“人間は中身が大事だ”と一辺倒なことを言うのではなく、“中身も大事だし外見も大事。だから私たちにとって見た目はどんな意味があるのか”といった提示の仕方を、特に小学生ぐらいにやるべき」と外山氏は提案する。

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 「それを自分たちのアイドル番組でも取り上げようと思っている。結局、顔を変えただけで成功するのではないというところの裏側にもクローズアップしたドキュメンタリーにしたい」と言うわかにゃんさん。

 “人は中身が大切”という綺麗事では解決できない課題が多く存在する現実世界で、新たなアイドルオーディションが、図らずもルッキズムと美容整形の課題を浮き彫りにしている。(「ABEMA Prime」)

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