佳境を迎えた欧州5大リーグだが、先週末は首位チームに“異変”が起きたらしい。
先週末、欧州の各国リーグで注目の試合が繰り広げられた。最大のビッグゲームはブンデスリーガの首位攻防戦、バイエルン対ドルトムントだった。注目の一戦は、ドルトムントのゴールキーパーのミスもあって、ホームのバイエルンが4-2で勝利。デア・クラシカーを制したバイエルンが2位から首位に浮上した。
実は先週末、欧州5大リーグのうち実に3つのリーグで首位チームが敗戦を喫したという。それでは各リーグの“首位チームの事情”を見ていこう。
[写真]=Getty Images
■ブンデスリーガ
週替わりで首位が入れ替わるような大接戦となっている今シーズンのブンデスリーガ。第24節まで首位を走っていた絶対王者のバイエルンだが、3月19日に行われた第25節のレヴァークーゼン戦に敗れて首位陥落。代わりに、今年に入って快進撃を見せているドルトムントが首位に浮上していた。そして迎えた今月1日の“デア・クラシカー”では、結局バイエルンが“威厳”を示して首位に再浮上。これでバイエルンは前人未到の11連覇に向けて“マジック8”となった。
3月24日にユリアン・ナーゲルスマン監督を解任してトーマス・トゥヘルを招聘したバイエルンは、新体制の初陣となったビッグゲームを見事に白星で飾った。試合は前半13分、バイエルンのフランス代表DFダヨ・ウパメカノのロングボールを敵GKが空振りしてゴールイン。思わぬ形で先制したバイエルンは、そこから一気呵成に攻め立てて開始23分間で3ゴールを奪って見せた。
データ会社『Opta』によると、トゥヘル新監督はバイエルンの指揮官として史上最速(23分)でのブンデスリーガ3ゴールを奪ったことになるという。そんな申し分ないスタートを切ったトゥヘル体制は、終盤に2ゴールを返されるも、4-2で首位チームを撃破してわずか1試合で1位に返り咲いた。
やはり、こうした大一番で頼れるのはベテランの存在だ。これが歴代最多となる40度目のデア・クラシカー出場となったバイエルンの生え抜き、FWトーマス・ミュラー(33歳)は絶妙なポジショニングで2ゴール。現役のフィールドプレーヤーとしてブンデスリーガ歴代最多出場を誇るアタッカーは、これがブンデスリーガで通算25回目のドッペルパック(1試合2ゴール)。現役選手としては歴代最多記録を更新することになった。
そんなド派手な“デア・クラシカー”が終わり、一息つきたいところだが、ブンデスリーガは待ってくれない。今週末には「フライブルク(4位)vsバイエルン(1位)」と「ドルトムント(2位)vsウニオン・ベルリン(3位)」という極上のカードが予定されている。再び首位が入れ替わる可能性も低くなさそうだ!
■リーグ・アン
フランスのリーグ・アンでも首位チームが黒星を喫した。最近11年で9度目のリーグ優勝を目指す王者パリ・サンジェルマン(PSG)は、今月2日に行われた第29節のリヨン戦で0-1の敗戦を喫することに。ポゼッション率60%以上を誇ったホームのPSGだが、16本のシュートを放ちながら最後までゴールを奪うことができなかった。対するリヨンは、FWアレクサンドル・ラカゼットがPKをポストに当てて絶好機を逃しながらも、後半に20歳の“若き才能”が見事にネットを揺らして値千金の決勝ゴール。
フランスU-21代表FWブラッドリー・バルコラ(20歳)は今季リーグ戦4点目。2023年に入ってからカップ戦も含めて「6ゴール・4アシスト」と大ブレーク。『Opta』によると、20歳212日のバルコラは欧州5大リーグに所属する選手の中で今年に入ってから公式戦2桁ゴールに直接関与した最年少プレーヤーだという!
さらに、昨年10月からリヨンを率いるローラン・ブラン監督は古巣のPSGを相手に圧倒的な勝率を誇っているという。これがリーグ・アンで7度目のPSG戦だったが、なんと「5勝2敗」(勝率71%)という成績。これはリーグ・アンでPSGと5回以上の対戦を経験している監督の中では歴代最高の勝率だという!
敗れたPSGは、2位に6ポイント差をつけて依然として首位をキープしているが、これでリーグ戦は2連敗。チャンピオンズリーグではバイエルンに敗れて16強で敗退しており、今年に入って既に8敗を喫したことになる。暗雲が漂い始めたPSGでは、リヨン戦の試合前に退団が噂されるFWリオネル・メッシの名前がアナウンスされると一部のサポーターから口笛(ブーイングと同じ意味)が吹かれた。そして、試合後にはチーム全体にブーイングが送られることになった…。
■セリエA
セリエAでも異変が起きた。2日に行われた首位ナポリと4位ミランの大一番は、連覇の可能性が風前の灯火となっている昨季王者が“意地”を見せた。敵地スタディオ・ディエゴ・アルマンド・マラドーナに乗り込んだミランは、序盤からチャンスを作り出すと、ポルトガル代表FWラファエル・レオンと司令塔のMFブライム・ディアスが大暴れ。それぞれ2ゴールに絡む活躍で4-0の勝利に貢献したのだ。
ナポリにとっては2007年のアタランタ戦(●1-5)以来となる4点差での大敗。ホームゲームに限ると、2000年10月のボローニャ戦以来となる23年ぶりの屈辱となった。それでもナポリは今季ここまで完璧なシーズンを過ごしており、2位ラツィオに16ポイント差をつけているため“33年ぶりのリーグ制覇”までマジック5。リーグ優勝はほぼ安泰だが、10日後にチャンピオンズリーグの準々決勝でも対戦が控えているミランに対して苦手意識を持ってしまったかもしれない。
そうなると注目は、筋肉系の怪我で今回の試合を欠場したエースのFWヴィクター・オシムヘンである。本人は「チャンピオンズリーグの対戦には間に合うと確信している」と断言するが、本当に間に合うのか? セリエAで得点王争いを独走するナイジェリア代表ストライカーの回復具合に注視したい。
■プレミアリーグとラ・リーガ
プレミアリーグとラ・リーガでは“異変”が起こらなかった。プレミアリーグでは首位アーセナルが、下位に低迷するリーズをホームに迎えて4-1で快勝。2位マンチェスター・シティとの8ポイント差を維持し、19年ぶりのリーグ制覇にまた一歩近づいたが、まだまだ分からない。次節、アーセナルは難敵のリヴァプールと敵地で戦うほか、今月26日にはシティとの天王山を控えているのだ。
ラ・リーガでは、首位を快走するバルセロナが最下位のエルチェを4-0で撃破。2位につけるレアル・マドリードも勝利したため勝ち点差は広がらなかったが、それでも残り11試合で12ポイント差。バルセロナの4シーズンぶりのリーグ優勝は堅そうだ!
(記事/Footmedia)