新生チーム康光の誕生に、リーダー陣とファンが沸いた。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2023」のドラフト会議が4月1日に放送された。日本将棋連盟会長で4期目のリーダー出場となる佐藤康光九段(53)は、これまでのベテランチーム編成から一新。「今回はちょっと後輩から刺激をもらおうと思いました」と指し盛りの高見泰地七段(29)、大橋貴洸七段(30)両名を自軍に迎えた。
これまでのチーム康光と言えば、若手有利と言われている早指し戦に対してもベテランの底力を見せつけるべく、谷川浩司十七世名人(60)、森内俊之九段(52)、郷田真隆九段(52)、先崎学九段(52)とレジェンド級の棋士を揃えた布陣で多くのファンを魅了してきた。今期もドラフト指名には多くの注目を集めたが、早々に“方向転換”を明言。そんな中で1巡目に指名したのが高見七段だった。
高見七段と言えば叡王1期のタイトル経験のほか、第4回ABEMAトーナメントではチーム藤井の一員として優勝を果たした実力者。「前回なぜかドラフトで誰も指名しなかったので、役員としてそれはまずいんじゃないかなと(笑)。実績もありますし、礼儀正しい好青年という印象です」と指名の理由を語った。
2巡目には、羽生善治九段(52)とくじ引き合戦の末に大橋六段を獲得。「くじを引いて、私もなんとかいいスタートが切れました。(大橋六段は)そんなに交流があるわけではないですが、高校の後輩なんです勝ちまくっている若手なので、期待を込めて」と出身校の国学院高校つながりが指名の理由だった。さらに、「今までは同世代とか先輩の先生を指名することが多くて毎年自分にいい刺激を頂いていたんですが、今回はちょっと後輩から刺激をもらおうと思いました」と新シーズンの構想を描いていた。
新体制とあれば、チーム動画にも期待が高まる。「お二人ともファンに人気がありますよね。服装とかファンサービスとか…。というわけで、お二人に決めてもらった方が良い気がします」とコンセプトは頼れる後輩たちに一任する構えのようだ。
いよいよ始まる新たな戦いへ。「私自身ここ2年、予選で負けてしまっているので、まずは自分がしっかりして予選通過を目標にしたいなと思います」と着実な前進を見据える。「自分自身も後輩の人たちとチームを組むのは初めてなので、新しい刺激で自分の成長につなげられたらいいなと思います」。チームとしても一人の棋士としても、すべての目的は“成長”のため。今期も貪欲に白星を集めていく。
◆ABEMAトーナメント2023 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり、今回が6回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士14人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全15チームで行われる。予選リーグは3チームずつ5リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)