“LGBT法案”の成立を目指す自民党の稲田朋美衆院議員と、性別適合手術を受け戸籍上も女性になったタレントのGENKINGが、3月25日のABEMA『NewsBAR橋下』に出演。性的少数者の現状や理解を阻む課題について、橋下徹氏と議論した。
Instagramで「美しすぎる美男子」として注目され、SNSから芸能界へ進出という流れを作った先駆け的存在のGENKING。『行列のできる法律相談所』出演をきっかけに一躍時の人に。自らを「ユニセックス」と表現していたが、有名になればなるほど、“偽りの自分”でメディアに出続けていることに違和感を覚える。2017年に芸能活動をセーブ、性別適合手術を受け、戸籍上も女性となった。
性別の取り扱い変更には、2人以上の医師により性同一性障害だと診断されていること、生殖腺がない又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること、他の性別の性器の部分に近似する外観を備えていること、などの要件がある。
GENKINGも、幼少期に書いた作文を弁護士にチェックしてもらったり、医師に診てもらったりなど準備。性別変更には2年以上かかったというが、「ユニセックス」として見られることに葛藤があったという。
「テレビに出る前から心は女の子だと思っていたし、そう言っていじめられてきた自分がすごく嫌だった。SNSは“自分が男の子だったらこういうふうになりたかった”という理想像としてイケメンを演じていた。でも、喋ると『やーん』という感じなので、やっぱりバレてしまう。テレビでカミングアウトをすることにすごく抵抗はあったけど、その後からフォロワーが増えたり、夢が叶ったりして、短所・マイナス面だった自分の性別が長所に変わった。そして“本来の姿になりたい”と思いながら仕事をやっていたけど、ユニセックスとして出ているので、スカートを履いたり女の子になったりするのは禁止。テレビの時だけは『僕』と言って、キャラクター的にやっていた」
「このままではいつまで経っても女の子になれない」という焦燥感。約300万円を貯め、性別適合手術を受けるためタイへ。
「私の場合は心と体が一致していなかったので、お風呂場で自分の体を見るのも嫌だったし、恋愛もうまくいったことがない。つらい気持ちのままこの先ずっと生きていくんだったら死にたい、じゃないけど、それぐらいつらかった。性適合手術をすると寿命が短くなる、ホルモンバランスが乱れたりして長生きが難しいと言われたけど、満たされないまま生きていくのであれば……と」
橋下氏は「性適合手術は、スペイン、イギリスなどでは法律要件ではないし、ドイツでは憲法裁判所で違憲になった。なぜ日本は要件になったか、当時の議事録を見ると『社会の混乱を生むから』だと。子どもができたらお父さんなのかお母さんなのかわからなくなるから、生殖機能を止めると言っている。これは“最大の過ち”と言われたハンセン病の強制不妊の考え方と同じで、性別適合手術を簡単に法律の要件に入れるのは恐ろしいこと。この問題にみんなが危機感を持たないと」と疑問を呈する。
戸籍上の性別を変えたことで楽になった部分はあるのか。GENKINGは「保険証、免許証、パスポートも全て女性になったので、いろいろなことで楽になった。病院で名前を呼ばれる時も、名前も変わっているのですごくスムーズになった」「私は恋愛をしたかったが、今の彼は女性が好き。手術をしなかったら付き合えていないと思う」と答えた。
一方で、まだ理解を得られないこともあるといい、「私はテレビに出ているので、歩いていると茶化されたりすることはいまだにある。言ってくるのは若い子よりも年配の方が多い。女性も男性も上の世代の方に受け入れられにくいのだなと思う」とした。
稲田氏は「生まれながら変えられない、不可逆的なものだということも理解していない人が結構いる。『趣味でやってるんだろう』とか『病気だから治るだろう』と。『それは違う』と言ってもなかなかわかってもらえない」と課題をあげた。(ABEMA/『NewsBAR橋下』より)