早稲田大学の指導教授だった男性からセクハラを受けたとして、元大学院生が損害賠償を求めていた裁判で、6日、判決が言い渡された。
2017年、早稲田大学の大学院生だった深沢レナさんは、当時指導教授だった男性から、「俺の女にしてやる」発言などセクハラを受けた。その後、男性教授と早稲田大学に対し、660万円の損害賠償を求める裁判を起こしていた。
6日、東京地裁は「“俺の女発言”は性的な観点から深沢さんを扱うものであり、意思に反して許容しがたい不快感を与えるものと言える」と、男性教授と早稲田大学に対して55万円の支払いを命じた。
判決後、深沢さんは「大学にも関係者にも傍観者の方々にもこの件から何か学んでほしい」と訴えている。
今回のように、大学などの学術機関で優位な力関係のもと人格を傷つけ、性的言動で不利益を与える「アカハラ=(アカデミーハラスメント)」。
こうした「アカハラ」はなぜ起きるのか。早稲田大学政治学研究科 修士課程修了(政治学)で「The HEADLINE」編集長の石田健氏は3つの要因を挙げた。
「大学院というのはハラスメントが起きやすい環境で、その要因の1つが学生が“20代半ば”と年齢が高いこと。企業に就職できるくらいの年齢であるにもかかわらず、大学で研究する以外のキャリアを断っているため、方向転換は難しい。次に、ここまで努力を重ね狭き門を通って大学の教員や専門家になろうとしている途中である点。最後に、大学教員と学生はクローズドな関係で、徒弟制度のように教えを受けるため、第三者の目が入りづらく、ハラスメントを助長しやすい環境にある」
ハラスメントを防ぐ方法はないのか。
「大学院では論文を書いて出すときに、メインで指導する主査とサブで指導する副査がいる。基本的にはクローズドな関係なので、1対1でやるとハラスメントが起きやすくなるため、2人以上の教員をつけるといい。そうすることでアカハラやセクハラを受けたとしてもそれ以外の人に助けを求めることができる。しかし、非常に狭い専門領域となると、主査以外は立ち入れない、ということが起こりうる。加えて、相談窓口もハラスメント防止に役立つ。各大学でセクハラやアカハラの窓口を作っているのだが、実質的に機能していないところもあるので、今回の件を踏まえてそこを機能させることが重要だ」
(『ABEMAヒルズ』より)