将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2023」のエントリーチームを決めるトーナメントの模様が4月8日に放送され、関西ブロックは古賀悠聖五段(22)、関東Aブロックは郷田真隆九段(52)、関東Bブロックは行方尚史九段(49)が勝ち上がり本大会出場を決めた。経験豊富なベテランから伸び盛りの若手とバランスの良い構成となった今期のエントリーチーム。さらに全員が大会経験者とあり、実力・実績ともに戦力は折り紙付きだ。前回チームは本戦でも大暴れでその存在感を大いに示しただけに、今大会でもその活躍に大きな期待が寄せられている。
指名が無いなら、自分で出場権を勝ち取るだけ。そう言わんばかりの圧巻の指し回しで『最後の1枠』の座に就いた。チーム最年長で、リーダーを務めることになった郷田九段は、第4回大会では振り飛車党のエース・菅井竜也八段(30)率いるチーム菅井、第5回大会では同世代の佐藤康光九段(53)のチーム康光のメンバーとして大活躍。長考派のイメージを打ち破るように、持ち時間5分・1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールに適応し、2大会通算7勝7敗と指し分けの成績を残している。今期は指名が無かったが、自力で出場権を射止め、「厳しい予選を勝ち上がることができたので、非常に嬉しく思っています。苦しい将棋もありましたし、勝ち運に恵まれた。世代の近い行方さんと、年の離れた若手バリバリの古賀さんということで、楽しくやっていけたらと思います」とほほ笑んだ。新チームとともに臨む今大会へ、「内容面で良いものというのをまず大事にしてきいたいということと、予選突破の勢いを活かして、ひとつでも上に出られるように頑張りたいと思っています」と飛躍を誓った。
行方九段は第3回以来、3期ぶりの出場となる。前回は、木村一基九段(49)のチーム木村のメンバーとして出場。個人で0勝4敗と初日が出ずに大会を去った。「(今期の予選では)一回でも勝てれば御の字と思っていたので、まさかここに立つとは夢にも思ってなかった」と喜びを噛みしめた。新たに結成したチームは「想像だにしないメンバー。奨励会の頃からずっと目標にしてきた3つ先輩の郷田九段と、古賀くんは師匠・中田功八段は私の兄弟子ということで自分は“おじさん”にあたる関係。非常にやりがいのあるメンバーで一緒に戦うのが楽しみ」と瞳を輝かせていた。
プロ入り3年目に突入する古賀五段にとっても、今大会は2度目の出場。前回は同門の兄弟子・佐藤天彦九段(35)のチームメンバーとして奮闘した。大先輩とのチーム結成にはやや驚いた表情を見せていたが、「お二人ともリーダーでもおかしくないような方々なので、とても頼もしい気持ち」と貴重な経験を積むことができることを喜んだ。「前回大会で大活躍したエントリーチームに続けるように、頑張りたいと思います」と爽やかな笑顔を見せていた。
異色メンバーによるエントリーチームは、佐藤康光九段のチーム康光、糸谷哲郎八段(34)のチーム糸谷と同じ予選Dリーグに参戦する。どちらも実績、経験はもちろんのこと、ベテランから新進気鋭の若手とそれぞれが最強布陣を組んでおり、激戦は必至。しかし負けず劣らずの実力と、激戦のエントリートーナメントを駆け抜けた勢いはどのチームにも負けない。今期も“エントリー旋風”が吹き荒れることは間違いない。
◆ABEMAトーナメント2023 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり、今回が6回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士14人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全15チームで行われる。予選リーグは3チームずつ5リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)