運命の最終節まで切り2カ月を切り、佳境を迎えたプレミアリーグ。今シーズンのタイトルレースや残留争いの行方を占う上で目が離せない試合が続くが、シーズン終盤に差し掛かると来シーズン以降のことも気になってくる。
注目が集まるのが選手たちの去就だ。新たに加わる選手がいる一方で、クラブを去っていく選手もいる。一体どの選手がクラブを離れていくのだろうか? 英国放送局『BBC』が各クラブのサポーターに「未来が不確かな選手」を聞いているので今回はそれを紹介しよう。各クラブのファンの目線から見て、残りの1カ月半が正念場となる選手は誰なのだろうか。
[写真]=Getty Images
■アーセナル
19年ぶりのリーグ制覇を目指す首位のアーセナルでは全選手がチームに貢献しているように見えるが、中には今シーズンいっぱいで放出されそうな選手もいる。ミケル・アルテタ監督の元で若い才能が躍動するアーセナルは最終ラインも若さが溢れており、22歳のウィリアン・サリバと25歳のガブリエウ・マガリャンイスがリーグ屈指のセンターバック(CB)コンビを形成している。そのため、27歳の控えCBロブ・ホールディングの去就が囁かれているようだ。
契約が残り1年のホールディングは、怪我で不在のサリバの穴をそつなく埋めているが、それでもサリバと比べると見劣りする。ファンも「たまにプレー判断が怪しい」として今回のリストでホールディングの名前を挙げた。無論、人間性を考えると彼はチームとって欠かせない存在。おそらく、今のアーセナルには不要な選手がいないため、苦渋の選択となったのだろう。
■マンチェスター・C
世界的プレーヤーをずらりと並べてアーセナルを猛追するマンチェスター・Cでは、夏に最終ラインのテコ入れが行われるかもしれない。去就が気になる選手としてファンが挙げたのはDFアイメリク・ラポルテとMFカルヴィン・フィリップス。二人とも怪我の影響があって、今シーズンここまで出番が限られており、ラポルテは今季リーグ戦でわずか7試合、フィリップスも6試合の出場にとどまっている。
昨年夏に加入したばかりのフィリップスはまだまだこれからということで、最も気がかりなのはラポルテだ。「同ポジションでは頭一つ抜け出しているはず」と高い評価を受けつつも、だからこそ「出場時間に対して思うところがあって夏に移籍を希望するかも」と考えられているようだ。もし本当にラポルテが退団するのなら、スペイン代表として昨年のFIFAワールドカップカタール2022に出場したセンターバックは引く手数多となるかもしれない。
■ニューカッスル
今シーズンのプレミアリーグで大躍進を見せるエディ・ハウ監督率いるニューカッスルも余剰戦力は少なそうだが、ファンは意外な選手の去就に注目しているという。それがプレミアリーグ屈指のドリブラーとして名高い26歳のFWアラン・サン・マクシマンである。2シーズン連続でプレミアリーグ最多となるドリブル突破回数を誇ってきたウインガーだが、今季はハウ監督の元で定位置を確保できておらず、ここまでスタメン出場は11試合だけ。
ファンの評価も複雑で「スター選手に見えることもあれば、明らかにやる気が感じられない試合もあり、見ていてフラストレーションを感じる」との声も。そのため「安定して好パフォーマンスを発揮できないのなら彼に残された時間は少ない」とファンは考えているようだ。果たしてニューカッスルはリーグ屈指のドリブラーを手放すことになるのだろうか。
■マンチェスター・U
マンチェスター・Uでは最古参のプレーヤーが放出されるかもしれない。2011年にアトレティコ・マドリードから加入した32歳のGKダビド・デ・ヘアは、過去に幾度となく神がかり的なセーブでチームを救ってきた。これまでクラブ史上最多タイとなる4度(2014、2015、2016、2018)もクラブ年間最優秀選手に選ばれた同選手は、今季も守護神を任されているものの夏に契約が満了となる。
報道によると、マンチェスター・Uはデ・ヘアの高額な給料を減額して再契約を希望しているようだが、今のところ交渉はまとまっていない。そうなると、クラブ歴代9位の出場数(532試合)を誇る同選手の退団もあり得るかもしれない。ファンは「エリック・テン・ハフ監督はGKにビルドアップに参加することを求めており、ブレントフォードのダビド・ラヤのような、よりモダンなGKを獲得すべき時が来たのかも」と守護神の交代を予見している。
■トッテナム
トッテナムでは、今シーズン期限付きでバルセロナから加入している27歳のDFクレマン・ラングレの去就が気になる。プレミアリーグでの20試合を含め、今季ここまで公式戦27試合に出場して3バックの一角を務めるラングレ。ファンも「チャンピオンズリーグ(CL)のマルセイユ戦では貴重なゴールを決めたほか、多くの試合に出ている。完全移籍を勝ち取るために残りの試合に出場する」とCBの動向に注目する。
ちなみにラングレのローン契約には完全移籍のオプションは付随していない。彼の未来はトッテナムにあるのか、それとも保有元のバルセロナにあるのか。選手本人の意向次第となるが、アントニオ・コンテ監督を解任したことでトッテナムは夏に方針転換するかもしれない。
■リヴァプール
4年前に欧州制覇を成し遂げ、3年前には悲願のリーグ優勝も果たしたユルゲン・クロップ監督のリヴァプールだが、今シーズンは試練の時を迎えている。ここまで8位に留まっており、クロップ監督体制のフルシーズンで初めてCL出場権を逃すことが濃厚だ。そのためファンも「夏に大幅な改革が迫っている」と立て直しに期待している。
既に31歳のFWロベルト・フィルミーノの退団が発表されているが、他にもチームを去る選手が出てきそうだ。ファンは28歳のMFナビ・ケイタや37歳のMFジェイムズ・ミルナーの去就も気になるそうだが、今季の残りのゲームが勝負となるのは25歳のDFジョー・ゴメスだという。万能型DFは長いこと将来を嘱望されてきたが、怪我に悩まされたこともあって完全に定位置を確保するに至っていない。今シーズンのうちに「これから何年間も戦力になることを証明すべき」とファンは見ている。
■チェルシー
リヴァプールと同じく不振に喘ぐチェルシーは、シーズン中に2度も監督交代に踏み切るなど迷走状態。CLでは準々決勝に勝ち上がっているものの、リーグ戦ではここまで11位と苦しんでいる。そんなチェルシーで、サポーターの気がかりとなっているのが24歳のMFメイソン・マウントだ。
2シーズン連続でクラブ年間最優秀選手に輝いた生え抜きは、クラブの未来を背負って立つプレーヤーだが一時期のような“絶対的な存在”とは言い難い。昨季はプレミアリーグで11得点10アシストと活躍したが、今季はここまで3得点2アシスト。「誰もが彼に期待しているが、ここ数年の疲労の蓄積が少し見られる」とサポーターも危惧している。契約が残り1年となり、移籍噂さえ囁き始められているのだ。
とはいえ、そんなマウントには朗報が。グレアム・ポッターの後任として、フランク・ランパード暫定監督が今シーズンいっぱいチェルシーを率いることになったのだ。2部のダービー時代からお世話になっている恩師の元なら、マウントも自信を取り戻せるはず。そのためにも、まずは腹部の怪我を治してピッチに立つ必要がある。
■レスター
レスターでは昨年のFIFAワールドカップカタール2022で久々にイングランド代表に選出された25歳のMFジェームズ・マディソンが退団濃厚となっている。チームは最近8試合も勝利から遠ざかっており19位と低迷。ブレンダン・ロジャーズ前監督を解任し、元ノリッジのディーン・スミス監督を招聘したばかりだ。
降格の危機に瀕するレスターのサポーターは「情けない今のチームにあって唯一、輝きを放っているのがマディソンだ。夏にはマンチェスター・Uやニューカッスルといったプレミアリーグの上位勢に移籍するだろう」とエースの残留を諦めているようだ。
果たして、どの選手が実際にチームを去ることになるのか。夏の移籍を見据え、今シーズンの残りの試合に注目したい。
(記事/Footmedia)