「毎日鼻血が出たり身体がおかしくなっていた」 1年で脱退した元K-POPアイドルが語る過酷なダイエット 専門家が指摘する“徹底した外見”の光と闇
【映像】「K-POP」過酷な契約の実態 元アイドルが告白
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 世界中を席巻する「K-POP」。その裏で、「おもちゃのよう」「言いなりになっていた」と、過酷な実態をあるグループが明かした。

【映像】「身長-120」強いられた過酷なダイエット

 告白したのは、2019年結成の「SKY GIRLS’」。メンバー全員が日本人で、ダンス系専門学校のオーディションで選抜され、その後韓国でデビュー。ところが、メンバーはデビューわずか1年で脱退を申し出た。理由は、事務所代表からの過度な要求やパワハラ、セクハラ、給料の未払いだ。

 しかし、訴えたのは事務所代表だった。事務所はメンバーらと10年の契約を結んでおり、「脱退は契約違反で会社に損害を与えた」とし、これまでの活動費や違約金など約1500万円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴。これを東京地裁は棄却し、メンバーの契約解除を認めた。

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「メンバー側に契約不履行があったかどうかが争点。契約書としては10年間、それを途中で解除できるか。“あまりに強い指揮監督関係”があった場合は、途中で労働基準法が適用されて解約できる場合がある。これが今回の判決の大きな特徴」(レイ法律事務所・河西邦剛弁護士)

 韓国芸能界を長年取材する元東京新聞ソウル支局の金敬哲氏は、韓国におけるアイドル育成の構造を指摘する。

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「韓国では2009年、政府の公正取引委員会が『大衆文化芸能人のための標準専属契約書』というものを作り、これを守るように勧告されている。核心となっているのは、契約期間を7年以上にしてはいけない、という項目。アイドルを1人訓練してデビューさせるまでに約2年半の時間をかけるが、投資されるお金も1人1億ウォン(約1000万円)以上。これを回収するためにできるだけ長く専属契約して活動させるという理屈になっている」

 『ABEMA的ニュースショー』は、SKY GIRLS’の元メンバー、カリナさんとルナさんに話を聞くことができた。

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「毎朝起きてから韓国語で『アニョハセヨ』、LINEで『おはようございます』と必ず挨拶する。『スーパーに行きます』『スーパーに着きました』、帰宅したら『家に着きました』、電車乗ったら『電車乗りました』、というのを全部報告しなきゃいけなかったので、プライベートの時間がなかった。そこまでやらなきゃいけないのかと」(カリナさん)

 幼い頃から抱いていたK-POPアイドルへの憧れ。韓国へ渡った4人を待っていたのは、想像を遥かに超えた日常だった。

 さらに、事務所代表からは「痩せなかったらスケジュールを全てキャンセルする」という指示が。身長160センチ以上であるにもかかわらず、体重が40キロ台になるまで無理なダイエットを強要されたという。

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「何を食べたか、写真をつけて報告しなければいけない。朝起きた時と夜の体重を(代表に)送らなければいけなかったので、ご飯はお茶碗の4分の1とか。極限までみんな体重を落としていた」(カリナさん)
「立った時にすごくクラクラしたり、急に毎日鼻血が出るようになったり。そこまで身体がおかしくなっていた。『疲れている証拠だね』と、休む時間もくれなかった」(ルナさん)

 K-POPの人気は容姿とダンスが重要視される傾向にあり、金氏によると過酷なダイエットは「ごく普通」に行われているというが、こうした生活は心にも影響を与えていく。

「『また怒られるんじゃないか』という恐怖心から涙が止まらなくなったり、過呼吸になって歌えなくなったりした」(カリナさん)

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 それに対し、事務所の代表は、「韓国人が韓国でデビューするのは難しいけれど、日本人は2倍、3倍、いや10倍難しい。メンバーたちも韓国式で厳しく教えてほしい。と言っていた。K-POPアーティストとして綺麗に見せるためであり、韓国のアイドルはみんなやっているから、ダイエットで筋量が下がってパフォーマンスが落ちても、それは乗り越えなければいけないものであった」と主張。

 両者の主張に対し、東京地裁は「高度の減量を求めたのにも関わらず、減量の方法について提供したのはインターネットの動画を紹介した程度であり、適切かつ十分な指導・養成態勢を提供していたとは言い難い」と指摘した。

 また、肝心の歌やダンスに関して、事務所代表からは十分な指導が受けられなかったという。「『YouTubeの動画を見て練習しろ』『この人のマネをしろ』と。『この声ってどうやって出すんですか?』とわからないところを聞いたら、『俺にもわからない』と言われた。他の先生に何回か見てもらった時は、『自分らしくない』『マネしすぎている』とも言われた」(ルナさん)

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 K-POPはグローバルで人気を得るため、小顔で高身長といった西洋的な「美」が基準に。「『自分の身長から120を引いてください』と言われる。例えば、165センチなら45キロ。大手プロダクションだったら精神科病院に週1、2回通わせてダイエットさせる」と金氏は話す。

 さらに、「大手プロダクションは、練習生をデビューさせる前に“ビジュアルディレクティング”というコースを受ける。これは外見の欠点を補うもので、肌の定期的な手入れや、運動によるダイエット、整形手術などが当てはまるが、ダイエットは一番大事な区分の1つ。韓国の大衆は厳しい基準でアイドルを評価していて、事務所は常にその目を気にしている。ネットで『◯◯は太っている』などのコメントがあがると炎上するので、無理なダイエットをさせてでも商品性を保ちたいという意識がある」。

 金氏によると、韓国にアイドル志望の練習生は100万人いるとされ、デビューできるのは1000人以下、さらにそこから成功できるのは100人程度だという。凄まじい競争の中で、SKY GIRLS’の事例は零細事務所であることも原因ではないかと指摘する。

「大手の事務所は責任感を持って日本の若い女性を育てていると思う。しかし、零細なところに行くと過酷なやり方で搾取される。最近は中国ブームが冷えて日本ブームがあり、日本のメンバーがグローバル戦略に役立つことから、日本人の練習生を取り入れようとしている。事務所をぶ時には十分に気をつける必要がある」

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 現在、SKY GIRLS’の元メンバーは全員日本に帰国し、一般企業で働きながら生活している。2人は戻れるならまたアイドルになりたいのか。

「願望はあるけど、自らオーディションを受けに行けるかというと、自信は正直ない」(カリナさん)
「すごく戻りたいかと言われると、今はそこまで自信がない。心が折れてしまった」(ルナさん)

(『ABEMA的ニュースショー』より)
 

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