ほぼ相手に主導権を握られ、殴られっぱなしで大流血。止まらないヒジ、ヒザ地獄でレフェリーストップさえ近づいていたファイターが、右一発で全てをひっくり返す驚きの大逆転KO。あまりにも劇的なストライカー同士ならではの結末に実況席も「これは大逆転! なんちゅう試合だ!」と絶叫した。
4月7日にタイ・バンコクで開催されたONE Championship「ONE Friday Fights 12」。イ・ドギョム(韓国)とギエルメ・アントゥネス(ブラジル)の試合は、一方的に攻められていたドギョムが2ラウンド、突如放った右ストレート一撃で見事なKO勝利。ONEデビュー戦を白星で飾った。
ともにONE初参戦のストライカー対決。32歳のベテラン韓国人ファイターである2連敗中のドギョムに対するは、5連勝中のアントゥネス。
開始とともにローブローの洗礼を受けたドギョムだが、バックブローからテイクダウンと畳み掛ける。しかしラウンド中盤になると、アントゥネスが体格差を活かした前蹴り、さらに左右のフック、鋭利なヒジなどを次々と当て、組んでからのヒザなど、かなりアグレッシブに攻勢をかける。
2ラウンドに入るとアントゥネスの攻撃はさらに凶暴化。ヒジを振り回し、ヒザとの組み合わせでドギョムを流血に追い込むと、さらに傷口に刷り込むようなヒジ。勢いの止まらない攻撃にABEMA実況の小出アキラ・アナウンサーも「えげつない」と言葉に詰まる。
しかし、パンチを真正面で貰いながらもドギョムは諦めない。右ストレートで懸命に反撃すると、一瞬、アントゥネスが怯んだ瞬間に、飛び込むような右ストレートを打ち抜いた。
これまで攻撃一辺倒だったアントゥネスは、意表を突く右をまともに被弾。コーナーポストに吹っ飛ぶように両手を広げて倒れ込み、その様子を見たレフェリーが割って入って試合を止めた。
100発殴られ続けても、1発でやり返す豪快な大逆転劇に、小出アナは「なんちゅう試合だ! 大大大逆転」と大興奮。ゲスト解説の現役ファイター・中田大貴も「諦めないことは大事ですね。改めて学びました」と続いた。
ONE参戦前は2連敗だったドギョムは、この劇的KOでじつに2年8カ月ぶりの勝利。ニックネーム「野生の草(雑草魂)」に相応しい、終始劣勢からの素晴らしい勝利だった。