先日、マンチェスター・Cのベルギー代表MFケヴィン・デ・ブライネがプレミアリーグで通算「100」アシストを達成。プレミアリーグの歴史に名を刻み大きな話題となった31歳の司令塔だが、現在の同リーグには、将来的な「100」アシスト到達へ大きな期待がかかるプレーヤーが何人か存在する。今回は偉大なプレーヤーたちが名を連ねる、プレミアリーグの歴代アシストランキングや次に「100」アシスト到達が期待できる選手などを見ていこう。
[写真]=Getty Images
■歴代最多はギグス
マンチェスター・Cのデ・ブライネは、1992-93シーズンに産声を上げたプレミアリーグにおいて史上5人目の「100」アシスト達成者となった。同リーグでアシスト数の歴代最多記録を持つのはマンチェスター・Uの英雄ライアン・ギグス氏だ。元ウェールズ代表ウインガーは、マンチェスター・U一筋でプレミアリーグ歴代2位となる632試合に出場。そして歴代最多の「162」アシストを記録した。
ギグス氏に次ぐ2番目の記録を持つのはアーセナルやチェルシーで活躍した元スペイン代表MFセスク・ファブレガス(現:コモ)だ。歴代屈指のプレイメーカーは通算350試合に出場して「111」アシストの数字を残した。
3位は元マンチェスター・Uの万能型FWウェイン・ルーニー氏(現:DCユナイテッド監督)だ。トッテナムのFWハリー・ケインに抜かれるまでイングランド代表の歴代最多ゴール記録を保持していたルーニー氏は、マンチェスター・Uやエヴァートンでリーグ通算491試合に出場し「103」アシストをマークした。
4位は暫定監督としてチェルシーに帰ってきたクラブOBのフランク・ランパード氏だ。元イングランド代表MFはチェルシーでの13シーズンに加え、ウェストハムやマンチェスター・Cでもプレミアリーグのピッチに立ち、609試合の出場で「102」アシストを記録した。
そして史上5人目の「100」アシストを達成したのがデ・ブライネだ。237試合での達成は、セスク・ファブレガスが持っていた293試合を大幅に更新して最速記録でもあった。デ・ブライネは今シーズンここまでリーグ最多の14アシストをマークしており、今シーズンのうちに歴代3位のルーニー氏の記録(103アシスト)までは到達する可能性も十分にある。
ちなみに、デ・ブライネのプレミアリーグでの初アシストは、チェルシー時代の2013-14シーズン。ハルとの開幕戦に先発出場し、元ブラジル代表MFオスカルのゴールをお膳立てした。結局、2アシスト目を記録することなく半年後にチェルシーを退団。ヴォルフスブルクを経て、2015年にマンチェスター・Cに加入すると、そこから約8年で「99アシスト」を稼いだことになる。そのため「1クラブでのアシスト数」はマンチェスター・U一筋のギグス氏(162アシスト)に次いで歴代2位だ。そしてデ・ブライネは、あと1アシストで史上2人目となる「1クラブでの100アシスト」を達成することになる。
■2部門で“センチュリオン”
これまでデ・ブライネはプレミア通算237試合で62ゴール100アシストをマーク。稀代のチャンスメーカーは、ゴール数よりも圧倒的にアシスト数の方が多くなっている。ちなみに「得点」と「アシスト」の両部門で“センチュリー”、いわゆる「100」を達成している選手はわずか3名しかいない。
まずはギグス氏だ。プレミアリーグ発足前から活躍していたレジェンドは、同リーグで22シーズンに渡り、計632試合に出場して「109ゴール162アシスト」を記録。両部門で100を超える“2部門センチュリオン”を初めて達成した選手となった。
2人目はランパード氏だ。チェルシーでの最終年となった2013-14シーズンに通算「100」アシストを達成。最終的にプレミアリーグで609試合に出場して「177ゴール102アシスト」の数字を残した。そして3人目がルーニー氏だ。彼もマンチェスター・U最終年の2016-17シーズンに通算「100」アシストに到達して2部門でセンチュリオンを達成。最終的に491試合で「208ゴール103アシスト」まで記録を伸ばした。
■次の100アシストは?
さて、次にプレミアリーグで「100」アシストを達成しそうな選手だが、なかなか予見するのが難しい。現役選手で最も「100」アシストに近いのは元スペイン代表MFダビド・シルバで「93」アシストだ。しかし彼は3年前から母国スペインのレアル・ソシエダでプレーしており、今後プレミアリーグに復帰することは考えにくい。
現役の“プレミアリーガー”で最も「100」アシストに近いのは37歳の元イングランド代表MFジェイムズ・ミルナーだ。これまでリーズ、ニューカッスル、アストン・ヴィラ、マンチェスター・C、リヴァプールと渡り歩いてきた万能プレーヤーは、プレミア歴代3位の610試合に出場しており、これまで歴代9位の「87」アシストをマークしてきた。大台まであと13アシストだが、今シーズンを含めて最近3シーズンは1アシストずつしか加算できていない。このペースだと、100アシストまであと13年もかかってしまうのだ! もちろん、今シーズンいっぱいでリヴァプールを退団し、来シーズン以降はレギュラーとしてプレーできるクラブでアシストを量産する可能性もあるが、一体どうなるのだろうか?
現役プレミアリーガーでミルナーの次にアシスト数が多いのは、マンチェスター・Uのデンマーク代表MFクリスティアン・エリクセンだ。トッテナムやブレントフォードでも活躍したゲームメーカーは、これまでプレミアリーグ通算257試合に出場して「73」アシストをマーク。今シーズンも7アシストを記録しており、31歳という年齢を考えると来シーズン以降もアシスト数を伸ばせるはずだ。
エリクセンの次はチェルシーのイングランド代表FWラヒーム・スターリング(28歳)で「58」アシスト。さらにマンチェスター・Cのアルジェリア代表FWリヤド・マフレズ(32歳)の「56」アシスト、リヴァプールのスコットランド代表DFアンドリュー・ロバートソン(29歳)の「55」アシスト、サウサンプトンのイングランド人FWセオ・ウォルコット(34歳)の「55」アシストと続く。
やはり全員が20代後半以上の選手のため、時間との戦いでもある。そう考えると、現実的に「100」アシスト到達が期待できるのは、リヴァプール所属のイングランド代表DFトレント・アレクサンダー・アーノルドだろう。高精度の右足を持つ24歳は、これまで189試合で歴代53位の「48」アシスト。今季は3アシストに留まっているが、それまでは3シーズン連続で2桁アシストを記録しており、試合に出続けることができれば必ず「100」アシストに到達するはずだ。
また、将来的なことを考えるとアーセナルとイングランド代表で活躍するFWブカヨ・サカにも期待が持てる。これまでプレミアリーグでは127試合で「25」アシストを記録。決してハイペースとは言えないが、昨シーズンの7アシストに続いて今季はリーグ2位の10アシストと着実に数を増やしている。何より、彼はまだ21歳。アーセナルの主軸として間違いなく今後もアシスト数を伸ばすことだろう。
■最多アシスト賞
気になる今シーズンの最多アシスト賞争いだが、これは優勝争い同様にマンチェスター・Cとアーセナルの一騎打ちになりそうだ。現在、最多アシストをマークしているのデ・ブライネで「14」アシスト。2位は4本差でデ・ブライネを追うサカ(10アシスト)だ。そして3位もアーセナルで、ベルギー代表FWレアンドロ・トロサール(9アシスト)となっている。その後は、クリスタル・パレスのU-21フランス代表MFマイケル・オリーズ(8アシスト)、アーセナルのノルウェー代表MFマルティン・ウーデゴーア(7アシスト)が続いている。
やはり本命はデ・ブライネである。マンチェスター・Cには得点王争いを独走するノルウェー代表FWアーリング・ハーランドがおり、デ・ブライネとのコンビから7ゴールを叩き出している。これが今季プレミアリーグで最もゴールを生み出している“ゴールデンコンビ”で、彼らは今後もゴールを量産しそうな気配がする。
プレミアリーグにおける1シーズンの最多アシスト記録は、2002-03シーズンのティエリ・アンリ氏と2019-20シーズンのデ・ブライネが達成した「20」アシスト。今季のデ・ブライネには、その記録更新にも期待が寄せられている。
ちなみに、プレミアリーグで最多アシストが『プレミアリーグ・プレイメーカー・オブ・ザ・シーズン』として正式にアワード化されたのは2017-18シーズンから。同賞の発足以降、過去5年のうち2シーズン(2017-18、2019-20)はデ・ブライネが受賞しており、彼は前人未到の3度目の受賞を目指している!
(記事/Footmedia)