チェルシー
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 チェルシーの2022-23シーズンが終了した。同クラブは、今月18日に行われたチャンピオンズリーグ(CL)準々決勝セカンドレグのレアル・マドリード戦に敗れ、欧州カップ戦から姿を消すこととなった。すでに国内カップ戦でも敗退しており、リーグ戦では中位に甘んじているため現地メディアはこぞって「シーズン終了」と報じている。
 
 大型補強と2度の監督交代を決行しながら下降線をたどるチームの調子。今シーズンのチェルシーがどれほど苦しんでいるのか見てみよう。

[写真]=Getty Images
 

■得点力不足

ゴール欠陥症に嘆くチェルシー
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ゴール欠陥症に嘆くチェルシー


 
 様々な問題を抱えるチームだが、最大の悩みは“得点源”だろう。「5億ポンド(約836億円)以上もの補強を行いながらゴールに絡んでくれる選手を獲れなかったなんて最大の謎だ。ゴールの気配がしない」とリヴァプールなどで活躍した元イングランド代表FWマイケル・オーウェン氏が指摘するように、チェルシーの“ゴール欠乏症”は深刻だ。
 
 カップ戦を含めて直近6試合でわずかに1ゴール。プレミアリーグに限ると今シーズンここまで31試合で30ゴールに留まっており、昨シーズンの同時期の半分以下の得点数だ。今季プレミアリーグで得点ランク首位を独走するマンチェスター・Cのノルウェー代表FWアーリング・ハーランドの一人の得点数(32ゴール)を下回っているのである。このままだと1995-96シーズンの46得点を下回り、プレミアにおけるクラブワースト記録を打ち立ててしまうのだ。
 
 歴としたストライカーが不在のため決定力不足に喘いでいるのは事実だが、そもそもあまりチャンスを作れていない。データサイト『FBref』によると、チェルシーのゴール期待値はリーグ10位となっている。今シーズンのプレミアリーグでのチーム最多アシストは、1月に加入してから適応に苦しんでいるウクライナ代表FWミハイロ・ムドリク等の2アシスト。3本以上のアシストを記録した選手が一人もいないのは、今シーズンのプレミアリーグにおいてチェルシーとウォルヴァーハンプトン(ウルブス)の2チームだけとなっている…。
 

■ブライトンに憧れて…

グレアム・ポッター前監督
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ブライトンから引き抜いたポッター前監督はわずか7カ月で解任となった


 
 昨年クラブを買収したトッド・ベーリー会長が目指すのは、欧州の舞台でも躍動するレアル・マドリードやマンチェスター・Cではない。彼が目指すのはブライトンなのだ。昨夏、チェルシーはブライトンからスペイン代表の左サイドバック(SB)マルク・ククレジャを引き抜くと、9月には同クラブから指揮官まで連れてきた。さらに、11月にはブライトンで人材発掘責任者を務めていたポール・ウィンスタンレー氏まで引き抜いたのだ。完全なる“ブライトン化”を図ったチェルシーだが、グレアム・ポッター前監督は就任からわずか7カ月で成績不振により解任された。
 
 とはいえ、ブライトンへの憧れは決して間違いではなかったようだ。今月15日に本拠地『スタンフォード・ブリッジ』で対戦した際には、1-2のスコア以上の実力差を見せられてブライトンの前に屈することに。チェルシーは「26本」ものシュートを浴びることになったのだが、データサイト『Opta』によると、この被シュート本数は集計を始めた2003-04シーズン以降で、チェルシーのリーグ戦のホームゲームにおける最多の数字だったという。
 
 これでブライトンへの憧れはさらに強まった可能性があり、今度はロベルト・デ・ゼルビ監督をブライトンから引き抜くのではとも囁かれている。チェルシーの動向を警戒したイギリス紙『ガーディアン』の記者は「試合後、ブライトンはチームバスに乗る際にちゃんと点呼をすべきだ!」とポッドキャストで冗談を飛ばした。
 

■歴代最低の監督?

フランク・ランパード暫定監督
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就任から4連敗を喫したランパード暫定監督


 
 ファンの希望はチェルシーの“悪癖”にあった。過去にCLを2度制しているチェルシーだが、そのいずれもがシーズン後半以降に監督交代に踏み切り、見事に頂点まで上り詰めていたのだ。そのため今月に入って2度目の監督交代に踏み切り、クラブOBのフランク・ランパード氏を暫定監督に据えたときは、2012年や2021年の栄冠の再現に期待が寄せられた。
 
 しかし、現実は甘くなかった。2期目のランパード体制は初陣となった8日のウルブス戦に敗れると、前述のブライトン戦やレアル・マドリード戦を含めて発足から4連敗。1993年11月以来、30年ぶりの公式戦4連敗という屈辱を味わった。そしてランパード暫定監督は、「118年」のクラブ史において初めて就任から4連敗を喫した監督となってしまったのだ…。
 
 もちろんランパード暫定監督に責任はない。18日のレアル・マドリード戦は、敗れたとはいえ欧州王者を相手に善戦した。やはり決定力を欠いて完封負けを喫するも、何度か決定機を作り出したのだ。「今日は調子が良く、最も動けるメンバーを選んだ。ファイナルサード以外の部分はレアル・マドリードとも互角に戦えた」と監督も試合後に手応えを口にした。
 
 それでも2年ぶりに帰ってきた指揮官の手腕を疑問視する声も聞かれる。ブライトン戦で4バックを試したあとにレアル・マドリード戦で3バックに戻すなど、少し不可解な采配があり、何より監督交代の最大の利点である“カンフル剤”になれなかったのだ…。
 

■最悪の最悪は?

チェルシー
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今季の残り試合で意地を見せられるだろうか


 
 現在チェルシーは、プレミアリーグで31試合を終えて勝ち点「39」の11位につけている。首位アーセナルとは「35」ポイント差もつけられており、むしろ「16」ポイント差の最下位サウサンプトンの方が近い状況だ。プレミアリーグの残留ラインは約「40」ポイントと言われているため、1988年以来となる35年ぶりの降格の心配はなさそうだ。
 
 しかし、クラブワーストの成績でシーズンを終える可能性は十分にある。1992年のプレミアリーグ発足以降、チェルシーの過去最低ポイントは1995-96シーズンと2度目のジョゼ・モウリーニョ体制が途中で崩壊した2015-16シーズンの「50」。残り7試合で11ポイント以上を稼がなければ、最低成績を更新してしまう。順位で見ると1993-94シーズンの14位がクラブ最低記録となっている。
 
 果たして、泥沼のチェルシーは残りの試合で意地を見せることができるのだろうか?

(記事/Footmedia)

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