勉強量、努力量がチームカラーだと、さらりと言える棋士もそうはいないだろう。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2023」予選Aリーグ第2試合、チーム永瀬とチーム稲葉の対戦が4月22日に放送された。チーム永瀬は、永瀬拓矢王座(30)をリーダーに、4年連続でチームを組む増田康宏七段(25)、タイトル挑戦経験もある本田奎五段(25)という3人組。若さと実績が重なる構成で、優勝候補の一角にも挙げられている。今回のチームについて、永瀬王座は「勉強量という感じが、うちのチームの特色なのかなと思います」と紹介。このコメントにファンから「研究仲間なんだね」「強そう」といった反応が寄せられた。
永瀬王座といえば、紹介する人が口々に「ストイック」という言葉を用いるほど、将棋に対する姿勢がものすごい実力者。年間の研究時間は数千時間に及ぶとも言われ、盤外のことでも、将棋にとってプラスになると思われるものは何でも取り入れる貪欲さもある。藤井聡太竜王(王位、叡王、棋王、王将、棋聖、20)がプロデビュー間もないころから研究パートナーとなり、ともに腕を磨いてきた仲でもある。また盤上では、大きなリスクを負って攻め込むというよりも、自玉の生命力を維持して入玉に持ち込むような将棋も多く、持将棋・千日手を厭わないことから「負けない将棋」と評されることもしばしばだ。
そんな永瀬王座が今回パートナーに選んだのが増田七段と本田五段。増田七段は4大会連続でドラフト指名し、過去3大会は優勝・ベスト4・ベスト4と勝ち上がる原動力になったよき相棒だ。また本田五段も研究会で番を挟む間柄。永瀬王座からすれば、2度目の優勝を目指す上で、強くて気心も知れた理想的なチームになったと言えるだろう。
将棋界一の研究量を誇る永瀬王座が、チームカラーを「勉強量」を表現したことに、ファンからも反応が続出。おそらくこの大会で指した将棋、交わした会話もまた、次の戦いへと活かされていくことだろう。
◆ABEMAトーナメント2023 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり、今回が6回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士14人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全15チームで行われる。予選リーグは3チームずつ5リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)