ルチアーノ・スパレッティ監督

 ナポリを率いるルチアーノ・スパレッティ監督が、23日に行われたセリエA第31節ユヴェントス戦を振り返った。同日、イタリア紙『ガゼッタ・デロ・スポルト』が伝えている。

 1989-90シーズン以来のスクデット戴冠が目前に迫っているナポリは今節、不正会計に伴う勝ち点「15」剥奪処分が一時的に撤回されて、3位へと浮上したユヴェントスと対戦した。ナポリは、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)によって失点を取り消されるなどの幸運にも恵まれ、スコアレスのまま後半アディショナルタイムを迎えると、FWジャコモ・ラスパドーリが値千金の決勝点。このまま“ウノゼロ”勝利を飾り、次節にもセリエA優勝が決定する可能性がある。

 クラブ史上3度目の“スクデット”をほぼ手中に収めているナポリ。スパレッティ監督も「私はファーストクラスの窓からの景色を見たことがない。旅をする時は、いつもヒッチハイクをしていた」と前置きしつつ、「スクデットを獲得できる位置にいるという事実は、すべての犠牲を返済してくれるもの。私や、その他大勢がそうだと思うが、ごく平凡なスタート地点からトップに立てば、より満足感を覚えるものだ」と優勝を前に胸中を明かした。

 またスパレッティ監督は、自身のキャリアを回顧。現役時代はセリエC(3部相当)のクラブを転々とするなど、スター街道とは無縁のキャリアだった同指揮官は「以前、私がベンチでサッカーシューズを履いていたことを取り上げられたことがある。子供の頃から欲しかったものだけど、当時はお金がなくて買えなかった。だからこそ、たまにはそれを履いて立ち返ろうと、思い返そうとするんだ。おそらく私は、このようなチームを率いるチャンスを得るまでに、選手としての名声を以てチームを指揮した他の監督よりも、困難な道を歩いてきただろう」と思いを巡らせている。

 今季はセリエAにとどまらず、チャンピオンズリーグでもクラブ史上初となるベスト8入りを果たすなど、欧州にサプライズを巻き起こしたスパレッティ監督。欧州5大リーグの一角に連ね、伝統と由緒あるセリエAを制覇した指揮官として“名将”の仲間入りを果たすことはできるのだろうか。