4月23日に幕を閉じた統一地方選挙。東京の区長選をめぐっては、3人の女性候補が当選を果たし、実に23区のうち6区で女性が区長を務めることになった。これは過去最多だ。
女性政治家の活躍が目立った中、注目を集めた候補者のひとりが、立憲民主党から出馬したウズベキスタン出身のオルズグル氏だ。選挙ポスターを破られる被害に遭いながら世田谷区議に初当選を果たした。
「大ショックで本当に悲しいです」(オルズグル氏のTwitterから)。そう投稿しながら選挙戦を戦った同氏はなぜ立候補したのか? その苦労や背景にある思いを、『ABEMA Prime』では本人に聞いた。
■21歳で日本に移住 オルズグル氏がぶつかった壁
オルズグル氏は「ポスターが破られている」と選挙管理委員会から電話が入った時のことを、こう振り返る。
「何も悪いことはしていないし、理由もわからない。半年前から駅頭に立って活動していたわけだし、すごくショックを受けた。ただ、落ち込んだからといって活動を止めるのではなく、大好きな日本・世田谷のためにもっとパワーを増そうと思って、前向きに頑張った」
では、どういう思いで立候補し、これまで何を訴えてきたのか。
「私はウズベキスタン出身で、13歳で平仮名に一目ぼれし、14歳の時に最年少で大学に入った。シングルマザーの母親とともに育ち、16歳から学費・生活費を稼ぐために大学に通いながら仕事を始めた。母の苦労を見てきたので、そうした女性を助けたいと思っていた」
「21歳の時に日本に移住してぶつかったのは、日本の大学を出ていないから就職できないという壁。53社に断られてやっと54社目で採用された。その時はすごく壁を感じたし、やはり学歴で判断されると。いろいろなバックグラウンドがある人にとってチャンスを掴みづらいと痛感して、なんとかしたいと思った」
「当時はウズベキスタン国籍だったし、声をあげることすらできず、壁の意識だけが残っていた。25歳の時には会社を作ったが、また壁にぶつかった。“外国人だから”、“実績がないから”と、事業用の物件を貸してもらえなかった。日本は女性議員比率が国際比較で147位。先進国のはずなのに女性の声は届きづらい事実があるし、課題意識が集まってなんとしたいと思った」
「じゃあ何をすればいいか。NPOを作ったとしても、届く人数が限られるだろう。やはり政治で変えるしかないなと思って、日本国籍を取得して、21歳からお世話になっている日本、自分の大好きな、素晴らしいこの国のために全力を尽くしたい。人生を捧げて恩返しをするために、まずこの世田谷区から変えていきたいと思った」
■なぜ立民から立候補? 自民や維新は「ちょっと共感できない部分があった」
なぜ立憲民主党から出馬したのか。
「統一地方選では女性を約42%も擁立している。女性だけじゃなく、マイノリティを応援しているところに共感した。自民や維新に関しては共感できない部分がとても多かった。ただ、それぞれのやり方で頑張っているので、お互いに戦うよりも日本のために頑張ろうというのが私の考え方だ」と説明した。
「立候補して一番大変だったことは?とよく聞かれる。組織票や推薦を一切持っていないし、そもそも外国生まれ・外国育ちなので、応援に来てくれる幼馴染や同級生がいないことが大変だった」と選挙活動の難しさを述べた。(『ABEMA Prime』)
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