今季の優勝争いの行方を占う“天下分け目の戦い”だ。19年ぶりの王座奪還を狙うアーセナルと3連覇を狙う王者マンチェスター・シティの大一番が日本時間27日4時より行われる。
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アーセナルは勝てば優勝に王手、負ければ... “天下分け目の戦い”
現在首位に立つアーセナルはここまで23勝6分3敗の勝ち点75。3連敗で始まった昨シーズンとは大きく異なり、圧倒的な強さでここまで首位をひた走ってきた。このままアーセナルが首位を独走し、優勝かと思われたが、そう簡単にはいかなかった。
先日のアンフィールドでのリヴァプール戦、2-0から追いつかれて勝ち点3を取り損ねた。そのゲームを皮切りに3試合連続でドローが続いており、2試合未消化の2位マンチェスター・シティとの勝ち点差は5まで縮まった。
3連覇を狙うマンチェスター・シティはここまで22勝4分4敗の勝ち点70と、例年通りの強さで好調アーセナルに喰らいついてきた。規格外のゴールマシーン、ハーランドを新たにスカッドに加えたチームは30試合78得点とリーグ最多のゴールを奪っている。
そんな両チームが日本時間27日に対戦する。舞台はマンチェスター・シティのホーム、エティハドスタジアムだ。シーズン前半の対戦ではマンチェスター・シティが3-1で勝利を納めている。またアーセナルが最後にマンチェスター・シティに勝利を収めたのは、アルテタ監督にとって初のシティ戦であった2020年7月のFAカップ準決勝。しかも、当時は最前線のオーバメヤンを生かしたカウンターサッカーであり、今とはスタイルが全く異なる。そこからはマンチェスター・シティが7連勝しており、アルテタは1勝7敗とかつての恩師に長らく勝てていない。このことを踏まえればマンチェスター・シティに分がありそうだ。
「この試合に勝てばリーグ制覇というわけではない」アルテタの本音は
アーセナルが最後にリーグ制覇を成し遂げたのは2003-2004シーズンである。19年ぶりの優勝へ、残るは6試合となった。しかし優勝へは茨の道である。
大一番のマンチェスター・シティ戦のあと、チェルシー、ニューカッスル、ブライトンと上位チームとの連戦が待っている上に、ELスポルティング戦で負傷したサリバの不在という大きな痛手がある。サリバが出場した27試合では1試合平均0.9失点、勝率は77.8%であったが、サリバが出場しなかった試合は1試合平均1.8失点、勝率は40%まで落ちている。
ジャカもマンチェスター・シティ戦に間に合わない可能性があるなど負傷者の影響が懸念される一方で、アーセナルはUEFAヨーロッパリーグ、FAカップともに敗退しており、残るはリーグ戦のみだ。そのため全ての力をリーグ戦に注ぐことができる。
アルテタ監督は、記者会見で「タイトルを獲得できると信じているか?」と問われ「100%」と回答。この一戦を「タフな挑戦」と位置づけつつも、「この試合に勝てばリーグ優勝をしたということにはならない」とし、集中すべきはあくまで19年ぶりのリーグ制覇であることを強調した。
現在3試合ドローが続いており、暗雲が立ち込めているアーセナルだが、このタイミングで優勝をめぐる直接対決があることはある意味では良かったとも言える。この大イベントで勝てば強豪との連戦に向けて悪い流れを払拭し、良い流れを取り戻すことができるかもしれない。
この一戦は「決勝」 名将ペップ 自らサポーターに共闘を呼びかける
逆転優勝を狙うマンチェスター・シティは例年シーズン後半戦にめっぽう強く、直近公式戦16試合でも13勝3分と絶好調だ。センターバックを最終ラインに4人配置する戦術が見事にハマり、そこからというもの圧倒的な強さを見せている。またプレミアリーグ、UEFAチャンピオンズリーグ、FAカップ優勝の可能性を残しており、3冠に向けてモチベーションはかなり高い。
過密日程が続いているマンチェスター・シティであるが、先日のFAカップ、シェフィールド・ユナイテッド戦ではターンオーバーを行い、アーセナル戦に向けて主力メンバーを温存している。最終ラインを形成するアケの怪我による離脱は間違いなく痛手だが、それでもラポルテとカイル・ウォーカーの両名が控えにいるのは心強い。彼らが穴を埋めることができるかどうかがカギを握るだろう。
またプレミアリーグの残りの日程を見ると、マンチェスター・シティはボトムハーフとのゲームを多く残している。残留をめぐって戦うチームはモチベーションが高く、マンチェスター・シティ相手となれば自陣に選手を固めて勝ち点1を狙う可能性もある。そのチームから常に勝ち点3を獲得することは決して簡単なことではないため、アーセナルとの大一番に勝利して少しでも余裕を持たせたいと考えているだろう。
この一戦を名将グアルディオラは「決勝戦」と呼び、「マンチェスターをブルーに」と指揮官自らサポーターに共闘を呼びかけている。この2人の指揮官の対照的な発言も、かえってこの試合が持つ大きな意味を感じさせる。
いずれにせよ“天下分け目の戦い”の後も優勝のためには連勝が必須だ。まずは今夜。そして、その後の熾烈な争いを制して、最後にトロフィーを掲げるのはどちらのチームになるのだろうか。
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