パートナーと夫婦同姓になる法律婚ではなく、別姓のまま夫婦になる「事実婚」を選択した女性を描いた漫画が話題を集めている。さまざまな選択肢がある中、彼女はなぜ事実婚を選んだのか。その胸の内に迫った。
事実婚を選択した経緯を描いた漫画をInstagramに投稿し、話題となっているのは、キクチさん(@kkc_ayn)。キクチさんが事実婚を選択したのは、子どもが苦手だったり、苗字を変えたくないという理由からだった。
娘1人の3人家族で育ってきたというキクチさん。事実婚の選択の背景には母親の死が大きく関係していた。
「私が法律婚したら、父は戸籍上独りぼっちになってしまうのがすごく寂しいなと。“キクチ”という家族のつながりを大事にしたいと考えたときに、法律婚ではない事実婚であれば今の戸籍をキープできるので、そういう選択をした」
役所には婚姻届の代わりに「世帯合併」の届け出を提出し、事実婚の夫婦に。しかし、法律婚とは違う点もいくつかあったという。
「住宅ローンやクレジットカードも家族カードが作れたりするところと作れないところとか、法律婚と同等の制度が受けられないところもあった」
事実婚を選んだ夫婦の場合の違いは、以下4つだ。
①子ども
父子関係が生じないので認知の手続きが要る
②死亡の相続
夫婦の一方が亡くなったとき、相続の資格がない
③税金の控除
配偶者を養うときの税制上の優遇が受けられない
④医療行為の委任
病院によっては万が一の時に代理のサインが認められない
こうしたリスクも踏まえ、キクチさんは場合によっては法律婚をすることも検討しているという。
近年では、結婚した後も旧姓を名乗ることを認める「選択的夫婦別姓」の導入を巡る議論も多く上がる中、キクチさんは「戸籍のルーツを大事にしたい」と話す。
「子どもから見た時の親とのつながり、“家族としてのキクチ”を大事にしたい。けどパートナー、女性と男性、個人として考えたときは自分のアイデンティティを優先したいという矛盾した考えもある。立場として一概に選択的夫婦別性とか、それを良しともしないし悪ともしないし、中立的な立場」
同棲と事実婚は何が違うのか。そもそも自分はなぜ「結婚」をしたいのか――。
パートナーとの今後を考える中、かなり悩んだというキクチさんが出した答えは、「夫婦」になりたいという思い。そして、人生を共に生きていきたいということだという。
ニュース番組『ABEMAヒルズ』では、コメンテーターとして出演した株式会社SchooのCCO・滝川麻衣子氏に、法律婚で不便だったことはあるか聞いた。
「元々新聞記者をやっていて、仕事上は旧姓の滝川を名乗っている。しかし、海外の取材に行ったときに、パスポートの名前は戸籍名だが名刺や入館証は旧姓と表記が違うというのが起きたことがある。パスポートに併記する方法もあるが、書類や証明するもが必要だったりと、手続きが面倒だ」
そういった手続きの他にも、例えば子どもがいて離婚してしまった場合、苗字が変わると子どもにも影響が出てしまう。選択的夫婦別姓という選択もあるが、それについてはどうか。
「夫婦同姓を選んでいるのは日本のみ。考え方の違う人たちが世の中にはいるわけで、その違いをちゃんと認めるのであれば、選択肢を増やすのが1つのあり方かと」
(『ABEMAヒルズ』より)
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