ある変わった場所で「変わったネタ」を提供する「寿司店」が注目を集めている。
「シャリ炊き三年、合わせ五年、握り一生」と言われるほど険しい道を乗り越えた職人が新鮮なネタで握る「寿司」。まさに日本を代表する食文化のひとつだ。
実は、同じく日本を代表する“とある場所”に店を構える寿司店がある。店名は「お魚倶楽部はま」。2010年からこの東大柏キャンパスに店を構え、学生や研究者からも愛されている。
東大で食べられるのは一体どんなお寿司なのか。ABEMA の辻歩アナウンサーが取材を行った。
来店していた客に話を聞くと「ネタがすごく良い。濃厚で脂がのってる感じがすごく美味しい」と大絶賛。また、ネタの分厚さや新鮮さは外国の人々にも好評だ。
ただ、人気の秘密はそれだけではない。この寿司店には「変わったネタ」が多いというのだ。いったいどういうことか?
大将の濱弘泰さんが持ってきたのは発泡スチロールの箱。濱さんも「何が入っているかわからない」ということだが…。
濱さんが持ってきたのは「水族館にもいて綺麗だけど、食べると白身がすごくおいしい」というヒレに毒を持つ魚「ミノカサゴ」や、まるでサメ肌のようなザラザラしたウロコを持つ「サメガレイ」など、寿司店で出てくるのを見たことも聞いたこともない魚ばかり。
実は、「お魚倶楽部はま」ではランダムに入ってくる珍しい魚を「変わりダネ」としてランチや夜帯で提供(870円の「地魚5貫にぎり」など)。それを求めて来店する客が後を絶たないというのだ。
濱さんは「広島のほうからわざわざおばあちゃんが一人で来て、これからどうするの? と聞いたら“ついでだからディズニーランド行く”と。ウチが本命かいという話があったから、本当に嬉しい」と語る。
なかなかハードな見た目の魚たち…本当に美味しいのだろうか? 辻アナは「めちゃくちゃおいしい。歯ごたえありますね。危険な見た目からは想像もつかない味です」と、実食で試したその味を伝えた。
これまで700種類もの魚を扱ったことがあるという濱さん。そこには見た目だけではわからないおいしさを知ってほしいという思いがあった。
「タイやヒラメだけが美味しいのではなく、もっと美味しい魚はたくさんある。それを知ってもらいたい」
もともとは中野に店をかまえていたが、近くに東大の海洋研究所があった縁で、一緒に柏キャンパスへ行くことになったという。
学びの場にきたからこそ出来ることもある。
コロナ禍前のオープンキャンパスでは、深海魚やサメの生態を教授が解説した後に目の前でネタとしてさばき提供する「さいえんす寿司BAR」を開催。子どもたちをはじめ、幅広い世代に魚の魅力を発信した。
そんな魚への探求心と愛から、東大の教授から「教授」と言われるほど。研究者も驚かせるすし職人・濱さん。これからも自身の寿司店から「魚の美味しさや面白さ」を伝えたいという。
「子供たちに魚の面白さを教えることをやりたい。東大の中で、もし魚のことをお話しできる機会があれば、やってみたい。 本当に教授になる? それはないです(笑)」
(『ABEMA Morning』)
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