日本代表・三笘薫はなぜ世界最高峰の舞台で輝けるのか?
【映像】三笘薫 厳しいマークのなかドリブル突破からのチャンスメイク

プレミアリーグ】ブライトン-ウルブス(日本時間4月27日/アメックス・スタジアム)

 日本代表・三笘薫が所属するブライトンは日本時間29日、イングリッシュ・プレミアリーグ第34節でウルブスと対戦する。この試合を前に、戦術分析YouTuberとして人気のLeo the football氏と元北朝鮮代表・鄭大世氏が、“三笘が輝ける2つの理由”を挙げた。

【映像】三笘薫 厳しいマークのなかドリブル突破からのチャンスメイク

 今節のブライトンは、来季の欧州カップ戦出場権獲得に向け、絶対に落とせない一戦だ。24日は、FAカップ準決勝でマンチェスター・ユナイテッドとの120分間の死闘を繰り広げ、PK戦の末に敗退。中2日で迎えた前節ノッティンガム・フォレスト戦は1-3で逆転負けを喫し、今季2度目の連敗となるなど、今季の好調ぶりにかげりが出ている。

 過密日程の苦しい戦いのなかでも輝きを見せるのが三笘だ。今季はここまで、同一シーズンにおける日本人最多得点記録となる7点を挙げ、4アシストをマーク。そのほか、“ゴール未遂”や“アシスト未遂”など数字には現れない数々のチャンスを生み出している。

 では、三笘はなぜ、プレミアリーグ移籍1年目でブレイクできたのか。ウルブス戦でゲスト解説を務める戦術分析YouTuberとして人気のLeo the football氏が分析する。

「一つは、“フィジカルのある人が理詰めのドリブルをしている”こと。単純にぶっちぎるのではなく、相手のベクトルの逆を突くドリブルです。足が速くない選手が考えるプレーを、足が速い選手がやっている。爆発的なスピードを生む一歩目は“反発ステップ”と呼ばれていますけど、行きたい方向とは逆に足を踏み込む『抜重』というスキルで加速しています。さらに、その加速が落ちないように一歩目にアウトサイドで触るなど細かな工夫もある」

 純粋な速さやテクニック頼みではなく、それをいかに発揮して相手を凌駕するか突き詰めて思考された理論的ドリブルが三笘の武器だという。さらに、「日本で持っていた強みが海外で通用しなくなる事例も多いですが、三笘はより一層磨きをかけた。フィジカルトレーニングで体が大きくなり、瞬発力を上げるトレーニングをしたような太ももになっている」と、身体的な側面からも、三笘がプレミアリーグで活躍できている理由を挙げた。

 そして、三笘がブライトンに欠かせないワケを続ける。

サッカーには、リスクを抑えながら多くのリターンを得る方法もあります。でもデ・ゼルビ監督はそれよりもロマンを求めている。ある種、不条理なサッカーですけど、それを実現可能にしているのが三笘の質です。彼本来の能力に磨きをかけて新たな武器として、それを活かしながら監督の要求に応え続けている。スーパーマンみたいな選手です」

 Leo the football氏が三笘のスゴさを語ったように、ウルブス戦で共に解説を務める元北朝鮮代表・鄭大世氏も、その考えに賛同しつつ、三笘が輝けるもう一つの理由を挙げる。

「三笘は、クレバーな判断ができる。その要因は傾聴力だと思います。ドリブラーの典型は、ボールを持ったら離さないこと。身体能力に恵まれた選手は小さい頃から相手より優位に立てるから直そうとしない。限界が来て初めて知る。でも三笘はドリブルだけじゃない。相手に読まれたら反発ステップでえぐれるし、相手にカバーリングが来ていたら、サポートに来た味方を使える。オフ・ザ・ボールの動きで裏も取れる。相手のマトを絞らせない。そういうプレーができるのは、三笘が人の話を聞けるタイプだからということですね」

 技術があり、それを最大化するための思考力があり、自分の能力に驕らず他者から吸収できる傾聴力がある。Leo the football氏が「ロマンを求める」と話したブライトンのサッカーは、同氏曰く「三笘にとって楽をさせてもらえるものではない」という。そのなかで、指揮官から最大の信頼を集めるのは、総じて“三笘の能力の高さ”に他ならない。

 果たして彼は、世界最高峰の舞台でどこまで突き抜けていくのか。自身が打ち立てた最多得点記録の更新にも期待がかかるウルブス戦は29日、23時にキックオフを迎える。
ABEMA/プレミアリーグ)

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