三笘薫は替えのきかないチームの柱となっている。
リーグ戦では17試合連続でスタメン出場を果たしていた三笘だったが、先日行われたウルヴァーハンプトン(以下ウルブス)戦では、連戦からの疲労を考慮されてベンチスタートとなった。それでも後半の途中から出場すると、快足を活かしたドリブルを披露。ハーフウェーライン付近から瞬く間にペナルティエリア内へと進入し場内を沸かせた。指揮官からの信頼も厚い三笘は、途中出場でも大きな存在感を放っていた。
チームの「大黒柱」になった三笘薫
三笘の所属するブライトンは今季もここまで好調を維持している。4月下旬に行われたFAカップ準決勝ではPK戦の末、惜しくもマンチェスター・ユナイテッドに敗れたものの、リーグ戦では8位と高順位だ。そんな悲願の欧州カップ戦出場に迫るクラブは日本時間5日に早くも同チームとの再戦を控えている。そのためか4月29日に行われたウルブス戦では大胆なターンオーバーを行った。
三笘もこの試合はベンチからのスタートとなったのだが、注目したいのがアルゼンチン代表MFマクアリスターやエクアドル代表MFカイセドも同じく控えとなっていたことだ。どちらもビッグクラブへの移籍の噂が絶えない選手であり、ブライトンに欠かすことのできない存在である。その両選手と共にスタメンから外れた三笘の価値の大きさが、指揮官によって図らずも証明された形だ。もはやクラブや指揮官にとって、日本屈指のドリブラーは替えのきかない大黒柱なのである。
そんな三笘薫は途中出場でもその存在感を発揮していた。82分には、持ち前の快足と切れ味抜群のドリブルで場内を熱狂させた。ピッチ中央付近でボールを受け取った三笘が、一瞬でペナルティーエリア内まで駆け上がり、見事チャンスを演出したのだ。
これには解説を務めた鄭大世氏も「あれをできる選手はなかなかいない」「ミトマジック」と三笘を絶賛。また現地メディアの『Sussex World』も試合後の講評で三笘を「見ていてワクワクするような選手」と高く評価した。スタメンでも途中出場でも変わらず結果を残し続ける三笘には識者も脱帽のようだ。
三笘は「もう1年ここにいる必要がある」
チームの攻撃陣を引っ張る三笘は、ブライトンの指揮官デ・ゼルビからの信頼も厚い。ウルブスとの試合前に行われた記者会見では「彼は非常に良いプレーをしているので私はとても嬉しい」と三笘の活躍に顔をほころばせた。またビッグクラブへの移籍や欧州カップ戦での試合を想像し、「彼は週に3試合プレーすることに慣れる必要がある」と25歳のドリブラーのさらなる成長を期待していた。
このように飛躍を見込みつつも、イタリア人指揮官は三笘がクラブに残留することを希望しているようだ。ブライトン公式によれば、デ・ゼルビは三笘を最も重要な選手の一人と捉えており、クラブに留めて置くことを強く望んでいるという。実際、「彼と私たちのために、もう1年ここにいる必要がある」というコメントを残し、三笘への信頼の厚さをうかがわせた。
デ・ゼルビがブライトンの指揮官に就任した昨年の9月以降、三笘はすっかりクラブの主力に定着した。イタリア人指揮官が、自身のもとで強く羽ばたく三笘へ絶大な信頼を寄せていることは、起用法やコメントからも明らかだろう。次はFAカップで辛酸をなめることとなったマンチェスター・ユナイテッドとの試合だ。日本代表戦士は指揮官の期待にどのような形で応えるのだろうか。
文・小柳津諒(ABEMA/プレミアリーグ)