「朝晩関係なく、毎日トイレを汚す。スリッパで便を踏んでいることもある」
石橋和美さん(45歳)は母・トキ子さん(83歳)と2人で生活している。和美さんが20歳の時、父が倒れ、その後寝たきりに。14年前、和美さんが31歳の時に父親が亡くなると、今度は母が認知症になった。3つ上の姉は結婚し、すでに家を出ている。
父親が43歳、母親が38歳の時に生まれた和美さん。当時としては晩婚の子どもだ。
「自分の時間はない。ずっと続く本当の絶望ってこれなのかな。『死にたい』とも思った。もうこんな人生早く終わらせたいって。ここまで介護して、私の人生は何のためにあるのだろうか。不安だらけだ」
近年、経済的理由や女性の社会進出などの理由から晩婚化が進んでいる。ニュース番組「ABEMA Prime」に出演した石橋さんは、現在の親子関係について、こう話す。
「小さい頃から『親の面倒を見るんやで』と言われて育ってきた。ほぼ刷り込みだ。今は特に何も感じない。考え出すと自分がダメになってしまう。二の次、三の次だ。自分の体調も全部後回しだ」
父親が亡くなり、すぐに認知症が始まったため、母と老後や介護について話す機会もなかったという。姉や周囲に頼ることはできなかったのだろうか。
「姉はほぼ帰ってこないが、金銭面ではお世話になっている。ケアマネジャーさんやデイサービスも使っている。施設に入居させたいと思ったが、特養ホーム(特別養護老人ホーム)になると、どうしても待ちが長くなる。有料施設はとてもじゃないが金銭的に無理だ。国にはすぐ入れる施設を増やしてほしい」
生活保護の申請に行ったこともあった。しかし、窓口で断られたという。
「『生活保護は今日明日生きられるかどうか分からないギリギリの人が来るところなので、あなたが診断書を持ってきてもダメ。帰ってください』と言われて、追い返された。ケアマネさんに相談すると『世帯分離も手だ』と言われて、市役所に連絡して聞いてみたら『今、ご一緒に住まれているんですよね。介護されているんですよね。無理です』と言われた。だから結局、私の場合は、今逃げても役所が逃がしてくれない。私の人生は今、どうすることもできない」
仲のいい親子関係に憧れもあったという。石橋さんは「年齢の開きは大きい」と話す。
「同級生たちの親はうちの母より10歳くらい若い。一緒にご飯を食べに行った話とかを聞くと、羨ましい。もし両親が元気だったら私は家を出て、好きになれる人がいたら一緒に暮らしていたと思う」
▲NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星氏
NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星氏は「僕も父親が50歳の時の子だから、晩婚の子だ。参観日の時に『おじいちゃんが来ている』と言われたことがあった」と話す。その上で「今後、晩婚化が進むと、もっとこういう問題が起こる。介護保険法は1997年にできた法律だ。晩婚で生まれた子が親を介護しなくてもいい制度だったはずなのに、なぜ届いていないのか」と疑問を浮かべた。(「ABEMA Prime」より)
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