「受け一方の手が結果的に勝因に」藤井聡太叡王、1分将棋で導き出した角打ちの一手に解説者もファンも驚き「これを見つけるセンス」「秒で指してたよね…」/将棋・叡王戦第3局
【映像】藤井九段が「受け一方の手が結果的に勝因に」と語った角打ちの瞬間

 将棋藤井聡太叡王(竜王、王位、棋王、王将、棋聖、20)に菅井竜也八段(31)が挑戦する第8期叡王戦五番勝負第3局が5月6日に愛知県名古屋市の料亭「か茂免」で指され、藤井叡王が大熱戦を制してシリーズ成績を2勝1敗とした。藤井叡王が苦しい場面で逆転へと繋げた角打ちの一手に、解説者は「受け一方の手が結果的に勝因に」と驚がく。視聴者からも「これを見つけるセンス」「受けがえぐい」と多数のコメントが寄せられていた。

【映像】藤井九段が「受け一方の手が結果的に勝因に」と語った角打ちの瞬間

 3連覇を目指す藤井叡王に、タイトル奪取を狙う菅井八段が挑戦する注目の五番勝負は第3ラウンドに突入。後手の菅井八段は3局連続で三間飛車を志向し、前局と同じ相穴熊の戦いとなった。長く難解な中盤戦ではやや振り飛車ペースでの進行となり、藤井叡王は「かなり形勢判断が難しい将棋で、どうやって本格的な戦いに入っていくのかわからないまま指していた」。踏み込みを決断するも終盤戦を前に持ち時間を使いきった藤井叡王は、解説が千日手の可能性を指摘する局面を迎えることとなった。

 千日手か、打開か。終局後のインタビューで藤井叡王は「こちらから打開するのは難しいかなと思っていたが、打開される可能性もあるのかなと思っていた」、菅井八段は「終盤は千日手のような変化もあったが、形勢判断が良くわからず、千日手にした方が良かったのかなと思う」と話し、両者の間ではギリギリの駆け引きが繰り広げられていたことを物語っていた。

 本局では、藤井叡王が勝ちを目指して打開を決断。しかし、ここから菅井八段が角から攻め込んで抜け出すことに成功し、このまま後手が押し切るかと思われたが、藤井叡王が秒読みの中で敵陣に角を打ち付けつつ自陣に利かせる妙手を放つ。菅井八段は「見えていなかった」とし、端歩を進めたが「勝負手みたいになってしまって、この局面は負けかなと思っていた」。ともに1分将棋となる中で、藤井叡王は得意の終盤力を活かし最後のラッシュ。「1分将棋になってから悪い手が続いた」と肩を落とす菅井八段を詰みに討ち取り、163手で熱戦を制した。

 ABEMAの中継には、藤井猛九段(52)が出演。ポイントになった角打ちの局面を「この手は見えない。普通に受け一方の手なのに、最後までめちゃくちゃ利いていた。急に(後手の)攻め手が無くなり苦しくなった。結果的に勝因となったすごく良い手」と解説。「形勢が良くなくても、最後引き寄せてしまうというのはすごい武器。藤井さんに勝つのは大変ですね」と感嘆とともに、挑戦者の心情にも寄り添った。

 互いに秒読みの極限状態の中、千日手を選ぶか否かの判断能力を発揮した対局者にファンも大興奮。「これを見つけるセンス」「かっこいい手ですね」「受けがえぐい」「秒で指してた角ね…」「どっちもマジでかっこよかった」「最後もピッタリかよー」「なんてかっこいい」と多数の声が寄せられていた。

 3連覇まであと1勝に迫った藤井叡王は「中盤から非常に難しい局面が続いて、苦しくしてしまった場面もあったかなと思うですけど、熱戦にすることができて、その中で粘り強く指すことができたのは自分にとっても収穫。少し間が空くので、また良い状態で臨んで精一杯戦いたいと思います」とコメント。再び追いつきフルセットを期す菅井八段は、「今日の将棋は自分としては上手く指せていたが、終盤の重要な局面での感覚が間違っていたのかなと思う。また修正して次局頑張りたいと思います」と前を向いた。

 第4局は約3週間後の5月28日、岩手県宮古市の「浄土ヶ浜パークホテル」での開催が予定されている。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

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