オリバー・グラスナー

 フランクフルトは9日、クラブを率いるオリバー・グラスナー監督が今シーズン限りでクラブを離れることを発表した。

 グラスナー監督とフランクフルトの現行契約は2024年6月30日までとなっていたが、契約満了を待たずに退任することが決まった。フランクフルトは「綿密な協議と詳細な分析の結果」とした上で「スポーツ面での発展やシーズン後半の全体的なパフォーマンスから、クラブ関係者は現状を見直すこととなった」と伝えている。

 現在48歳のグラスナー監督は自身の母国であるオーストリアで監督キャリアをスタートさせた。2019年夏にヴォルフスブルクの監督に就任し、ブンデスリーガに初挑戦。2020-21シーズンには4位フィニッシュへと導き、CL出場権を獲得した。同シーズン終了後にフランクフルトの指揮官に就任。就任初年度の昨季はブンデスリーガこそ11位に終わったものの、ヨーロッパリーグ(EL)で躍進。決勝トーナメントではベティス、バルセロナ、ウェストハム、レンジャーズを破り、クラブに42シーズンぶり2度目となる同タイトルをもたらした。

 迎えた今シーズンは序盤からブンデスリーガの上位争いに食い込んでいたものの、後半戦はやや失速。現在は10戦未勝利と、2月18日に行われた第21節ブレーメン戦を最後に白星から遠ざかっている。一方でDFBポカールでは勝負強さを発揮。3日に行われた準決勝では鎌田大地のゴールなどでシュトゥットガルトを3-2で下し、決勝戦進出を決めていた。決勝戦では大会2連覇を狙うライプツィヒと対戦。フランクフルトにとって2シーズン連続のタイトル獲得が懸かった一戦は、グラスナー監督にとってもクラブを率いての最後の試合となる。

 フランクフルトのSD(スポーツ・ディレクター)を務めるマルクス・クレシェ氏は、クラブ公式HPを通して「様々な憶測が飛び交い、ここ数週間から数ヶ月の間にはコーチを不安が取り囲んでいました。これらを解消し、監督とチームの焦点を完全にシーズンの目標とカップ戦の決勝に向けるためには、我々は将来の問題を明確にすることが不可欠だと考えています。だからこそ、私たちは最高のお別れをするために協力し合い、最後の試合に全力を注ぎたいのです」と決断の背景を説明。加えて、グラスナー監督もコメントを発表している。

「クラブ経営陣の決断を受け入れます。彼らは適切な説明をしてくれたためです。マルクス・クレシェとティモ・ハードゥング(有資格部門担当)は、正直にかつフェアな状態でクラブの考えを伝えてくれました。これまでの数年間、我々の交流が常に建設的で高いレベルの相互尊重に基づいていたのと同じようにです」

「しかし、今は別れを告げたり、振り返ったりする時ではありません。私たちにはまだ決定的な使命が残っています。これからの数週間、ベルリンで開催される偉大な決勝戦に向けた準備を進めるだけでなく、ブンデスリーガのラストスパートをかける必要があります。このような姿勢がフランクフルトにタイトルを持ち帰ることに繋がるはずです。なので、私はできる限りのことをやっていきます。クラブが来季もヨーロッパのカップ戦出場権を獲得することは、私にとって非常に重要なことなのです」