「縁側のある日本家屋は東西の揺れに弱い」 古い家の地震リスク、建て替えではなく“減築”も 専門家「創意工夫が必要」
【映像】お金をかけずに耐震性を上げる方法
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 5日、最大震度6強の地震に見舞われた石川県。珠洲市では全壊7棟、半壊9棟、一部破損が336棟という建物被害が出た。中には1階部分が完全に潰れてしまった住宅も。特に被害が大きかったのは古い家屋だ。

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 地震大国日本。いつ起こるか分からない災害に一体どう備えるべきなのか。ニュース番組『ABEMA Prime』では、古い家の危険と対策を専門家に聞いた。

▪️地震に弱い家の特徴

 今回の地震で全壊した建物について、名古屋大学名誉教授で政府の地震調査研究推進本部政策委員会で委員長を務める福和伸夫氏は「1階の庭や道路に面する側がすべて開口部になっていて、柱だけで支えている。屋根の力しか受けない2階より、上階の力も受ける1階にはたくさんの壁が必要だが、この家は不足している」と説明。

「縁側のある日本家屋は東西の揺れに弱い」 古い家の地震リスク、建て替えではなく“減築”も 専門家「創意工夫が必要」
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 一般的に家屋は、柱構造と壁構造とで強度が異なり、後者のほうが地震に強いという。「棒=柱だけの四角形は横からの力で平行四辺形のようにひしゃげてしまうが、面=壁があれば変形しづらくなる原理と同じだ。昔の建物は壁が少ない、屋根が重い、柱梁のところをしっかり固めないので、平行四辺形になりやすい特徴がある。例えば、縁側は日当たりの良い南に面しているので、南北の揺れには強いが東西の揺れには弱くなってしまう」。

 建物の強度ばかりが注目されるが、重要なのは「地盤」だと指摘。「日本の耐震基準は最低限のことしか定められておらず、“基準を守っていれば絶対に安全”というものではない。基本的に日本のどこにでも同じ建物を作ることができるが、大切なのは柔らかい地盤はよく揺れるということ。上物ばかりを強化してもダメだ」とした。

 危険な地盤の見極め方を聞くと、「正確には設計書を見なければわからない」としながらも「近年、私たちが見る地震は田舎が多いので勘違いしている可能性があるが、昔ながらの集落は比較的安全な場所に住居を建てている」と述べた。

▪️地震への対策

 住んでいる地域の地盤が弱いと分かった場合は、引っ越しを考えた方がいいのだろうか。

 福和氏は「引っ越す必要はない。建物に働く力を減らすか、建物を強くすればいい」と語る。「建物に働く力は『重さ』と『揺れ』の掛け算だ。だから軽くすればいい。例えば瓦の屋根を軽い素材にしたり、2階建ての建物を平屋建てに減築する。お年寄りは徐々に部屋がいらなくなるので建て替えよりも現実的」と説明した。

 建物を強くする方法については、耐震工事と建て替えのどちらを選ぶべきなのか。「人の価値観次第だ。家をきちんと直すにはお金がかかるが、ある程度見栄えを犠牲にして耐震性だけ上げるということであれば、そんなにお金はかからない。例えば、一部屋だけ鉄で造ったシェルターにしたり、就寝時の対策としてベッドの上に天蓋をつけるという選択肢もある。それぞれの人ができる対策を考える創意工夫が必要」と述べた。

 議論の最後、福和氏に「もし、東京で家を建てるなら?」と聞くと「僕は東京には建てない。人が集まりすぎると大変だからだ。どうしても住まないといけないとすれば、軟らかい地盤や低い土地、傾斜地ではなく、平らな大地の上を選ぶ。鉄道は、蒸気機関車の騒音などを理由に、人が住むエリアを避けて作られた。つまり、今の線路はもともとは谷だ。だから駅は低い場所にあり地震があった時によく揺れる」と述べた。

(『ABEMA Prime』より)

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