医師に聞く“はしか”の正しい怖がり方「ワクチン2回でまず防げる」接種有無を調べる方法は
【映像】「はしか」ワクチン接種してる? 確認方法は
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 先週、都内で3年ぶりの感染が公表された麻疹。いわゆる“はしか”だ。はしかは5類に分類される感染症で、空気感染するなど感染力が非常に強く、免疫がないと感染後、ほぼ100%発症すると言われている。咳や高熱、鼻水と風邪に似た症状の後に発疹が現れ、肺炎や中耳炎などと合併しやすく、まれに死に至る場合もある。

【映像】「はしか」で真っ赤になった肌(画像あり)

 ニュース番組「ABEMA Prime」に出演した、チャンコ増田氏は30代ではしかに感染したという。

「その頃も『はしかが流行っている』という報道があった。僕は今年53歳で1970年生まれだ。おそらくはしかのワクチンを打っていない世代だと思う。当時、仕事で東北本線に乗って移動したぐらいしか記憶がない。そのときにウイルスをもらって感染したんだと思う」

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 いきなり39度まで発熱したチャンコ増田氏は「あまり身体が強いほうではないので、また風邪を引いたのか」と思ったという。

「解熱剤だけ飲んで様子を見ていた。多少下がっても、最終的にまったく熱が引かなかった。7日目の朝に、ヒキガエルのような斑紋がお腹にできて、Googleで調べた。『もうはしかで確定だ』と思って、119番に電話をかけて、救急搬送で病院に行った」

 検査後、はしかと診断されたチャンコ増田氏は即入院。個室に隔離された。

「病院に入った時も熱を測ったら39度2分だった。その日は、右腕と左腕、両方から一気に点滴で水分を流し込んだ。初日は5リットル、点滴のパックで10本の輸液を受けた。その後、何日間か1日1リットルぐらいの点滴を受けて、やっと熱が下がってきた。菌がいなくなるまで、17日ぐらい隔離された」

 退院後、体重を測ると、98キロあった体重が84キロに減っていたという。医者からは「助かったのは太っていたからだ」と言われたという。

「痩せている人だったら脂肪が真っ先に燃えて、次に内臓脂肪、最後は肝臓の貯まっている栄養が燃えると医者から聞いた。人生で一番『死ぬのではないか』と思ったが、この時ばかりは生まれて初めて『太っていてよかった』と思った」

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 大阪市・梅田にある太融寺町谷口医院の院長・谷口恭氏は「はしかの感染力はものすごく強い」と警鐘を鳴らす。

「新型コロナが流行した時、オミクロン株の感染力がものすごく強いと言われたが、はしかには全く敵わない。はしかは空気感染をする。分かりやすく言うと、教室に1人感染者がいるだけで、ほかの人が感染する可能性がある。他のウイルスよりも極めて感染力が強いと考えてほしい。感染後は、だいたい10日から2週間の潜伏期間があり、全く症状が出ない」

 発症すると、どのような症状が身体に出るのか。

「インフルエンザのように熱と倦怠感が出る。場合によっては、咳や鼻水も出る。普通の風邪みたいな症状だ。はしかの特徴は熱が1回下がる。この時、あまり患者さんは自覚を持たないが、口の中に白い点々、ブツブツができる。これはコプリック斑と呼ばれる。口の中のブツブツが消え出した頃、もう一度高熱が出る。この時はものすごくしんどい。痒くはないが、全身に赤い発疹も出て真っ赤になる。子どもだったら後遺症もなく治ることが多いが、脳炎や肺炎、脳炎まで起こすと、命に関わる。稀だが、亜急性硬化性全脳炎と言って、治った後、5〜10年して徐々に神経が侵されていって、亡くなるケースもある」

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 大人が感染した場合、チャンコ増田氏のように症状が重くなるのだろうか。谷口氏は「一般的に、子どもより大人のほうが重症化しやすい」と答える。

「治療方法がないので、ワクチンで防ぐしかない。はしかのワクチンが定期接種になったのは1978年だ。今の30〜40代、もしかしたら50代前半ぐらいの人も、ワクチンを打っていないことがある。51歳以上の人はワクチンを打っていない可能性が高い。ワクチンは1回だと不十分だと言われている。2006年に2回打つルールに変わったから、18歳未満ぐらいの方は2回打っている」

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 加藤厚生労働大臣もワクチンの接種を呼びかけている。一方で、接種状況は年代によって違いがあり、生まれた年によっては、回数が不十分、もしくは受けていない可能性がある。ワクチンを打ったかどうか、覚えていない人は、どうすれば確認できるのか。

「回数の区別はできないが、内科系のクリニックで抗体検査をすれば分かる。抗体がある一定以上あれば、ワクチンを打つ必要がない。ある程度抗体があれば1回、全くなければ2回打てばいい。妊娠中の人は打てないので、妊娠されている方のパートナー、一緒にお住まいの方は打った方がいい」

 その上で、ワクチンのリスクについて、谷口氏はこう話す。

「ワクチンをどうしても打ちたい人もいれば、打ちたくない人もいる。どんなワクチンでも“絶対に安全”はない。ただ、間違った知識は持たないでほしい。ワクチンによって重篤になるのは100万人に1人と言われている。100万人に1人のリスクを背負いたくない人は、打たない選択をするかもしれない。ただ、打つメリットはある。新型コロナはワクチンを打っても感染することがあるが、はしかの場合、ワクチンを2回打っていれば、まず防げる。もし感染したら、命を脅かされたり、後遺症が残ったりするかもしれない。客観的な立場からメリットとデメリットをそれぞれお話しして、最終的にはご自身で決めてもらう。当院では、ほとんどの方が接種する選択をしている」

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 風疹の場合、妊婦に感染すると、母子感染によって子どもの失明に繋がるケースがある。はしかはどうか。

「はしかに母子感染はないが、妊娠中の女性が感染すると、赤ちゃんは助からないことが多い。お母さんの命も危ない。妊娠中のはしか感染は、絶対に避けなければいけない」

(「ABEMA Prime」より)

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