政府の少子化対策 泉房穂・前明石市長「総理が腹を決めれば来年からできる」 橋下徹氏「“教育無償化のための消費税3%増”なら理解得られるのでは?」
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 政府が6月にまとめる予定の「少子化対策」について、13日の『NewsBAR橋下』では橋下徹氏とゲストの泉房穂・前明石市長が「たたき台の時点では何も変わらない内容だ」と辛口な議論を繰り広げた。

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 政府与党はその財源について、社会保険料の引き上げなどで捻出する方向だった。しかし、経団連が4月26日にまとめた提言では、社会保険料だけでなく消費税を含めた様々な税も選択肢にすべきとしている。

 泉氏は開口一番、「お金なんか他のところから持ってきたらよくて、増税も保険料もいらない。政治家がやればいいだけ、簡単だ。日本の国民負担率は47.5%で負担の少ない国ではないにもかかわらず、他の国がやれていることすらやっていない。お金の使い道がおかしくて、今国がやっていることの半分は無駄だ」と指摘する。

 明石市は、「医療費(高校生(18歳)まで)」「給食費(中学生)」「保育料(第2子以降全員)」「遊び場(親子の利用料)」「おむつ(満1歳まで(宅配も))」の5つの無料化を市独自で、所得制限と自己負担なしで実現している。

 泉氏はこれを引き合いに、「明石市の年間予算は約2000億円。そのうち子どもに関するお金は、私が市長になる前年の125億円から、最近ではほぼ300億円に増税しないでできている。また、5つの無料化にかかるのは34億円で、2000億円の1.7%。年収600万円の家庭に置き換えれば、月50万円のうち8500円を出せばできる。普通の家計でやりくりするのと一緒で、どこの自治体でもできる」と述べた。

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 橋下氏は「国と自治体が協議しながら、“ここは地方でお金を出してやってね”“国は大学のほうを無償にしていくから”などいろいろなやり方があると思う。いずれにせよ、泉さんが言うように全国の自治体で増税しなくても市長が号令をかければできる」とする一方で、「子育て政策はまとめてやらないと。自治体同士で子どもを奪い合うようだったら意味がない」と投げかける。

 泉氏は「そのとおりで、財政力の弱いところだとしんどくなってくるから、ベーシックな部分は国がやったほうがいい。いろいろな方法があるけど、国がもっと音頭を取るべきだ。自治体はやりくりするしかないけど、それこそ国はお金を刷れて、国債が発行できるんだから」と応じた。

 さらに、橋下氏は「お金の移し替えをやろうと思ったら、移されるほうから凄まじい批判・反発が来る」と説明。泉氏は「1年目から自宅のポストに『市長殺すぞ』と。12年間殺害予告が来ている」と明かすと、「全員に好かれる政治家は仕事をしていない政治家だ。お金を付け替えたり方針転換するんだったら、誰かに嫌われたり憎まれたりするのはしょうがない。それでも『やらなあかん』と思ってやるのが決断なんだから」と続けた。

■橋下徹氏「“教育無償化のための消費税3%増”なら理解得られるのでは?」

 すでに政府が発表している「異次元の少子化対策」の「たたき台」について、泉氏は「あんなのやったって何も変わらない。全部やっても意味がない」と苦言を呈する。

「少子化が加速している今の日本の状況だったら、子どもを生んでもお金がかからない社会にしないといけない。2人目、3人目を生んでも、大学卒業するぐらいまでは親の負担がほぼかからないようなメッセージを出さないと。奨学金などもトータルにやらないと、状況は変わらない」

 これに橋下氏は「大賛成だが、具体的な金額が抜けている。“お金かかりませんよ”といくら言っても、生むほうとしては、“私の年収でいくら足りなくて、いくら公的支援が来るの?”という計算が立たない」と指摘。

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 その上で「家庭によって違うけども、統計上、子育てには大体4000~5000万円がかかり、そのうちの半分が教育費。その上で『教育費無償』と言えば、“1人生むと教育費除いて2000万円ぐらい必要なのか。そうしたら、うちの年収これぐらいだから”と計算が立つじゃないか。2人目はもっと補助を出して、“4000万円までは公的に助成します”となればまた計算できる。教育費無償はマストで、それをメッセージで出すべきだ」との考えを述べる。

 泉氏は「全く同感」とした上で、「日本は子ども、特に教育にお金を使っていない。世界の平均値を見ると、大学卒業までにかかるお金は公が7で、個人が3。日本は逆で、公が3、個人が7だ。フィンランドは公のお金が96%なので、大体どの家庭に生まれても大学は卒業できるが、日本も少なくとも公が7くらいの国にしないと。それをやるのが総理大臣の仕事だ。総理は内閣の人事権を持ってるんだから、自分の意思に沿わないのであれば変わってもらえばいい。腹をくくって“やる”と決めれば来年からできる」と主張した。

 橋下氏は「大学から私立高校、私立中学、私立小学校のすべての無償化にかかるのが7~8兆円。それを半分にして、4兆円は地方で、残りの4兆は国でとする。今予備費で積んでいるお金や防衛費の増額を考えたら、国は3、4兆円ぐらい簡単に出せる。そもそも増税せずにできると思うけど、仮に消費税を1%上げたら2.7兆円の税収だから、3%上げれば大学も海外留学も含めて全部国が面倒見るよと。それを言えば多くの人はいいと思うんじゃないか」と提案。

 泉氏は「やりくりがしんどかったら、一旦国債で繋いでおいて、その間に状況を整えて財源を合わせればいい。今は危機的状況なので、まず“安心”のメッセージを国民にしっかり出さないと」と強く訴えた。(ABEMA『NewsBAR橋下』より)
 

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